遅れて、後から好きになるということがあります。例えばそれは現津みかみ。私は当初『からハニ』については、なんの興味も持たず、ただただ普通に読んで普通に流していたのでした。それはなぜかといわれれば、しごく単純に、私にアイドルの属性のないためでしょう。もう、驚くほどにない。古くはおニャン子クラブ、最近ならハロー!プロジェクトですか? もう全然興味がありませんでした。だから、女の子で構成されているアイドルユニット、Paste*lとそのマネージャーの日常を描くこの漫画にもそれほどの興味を持つこともなく、けどなにがきっかけだったんだろう、途中からなんか意識して読むようになって、遅ればせながら1巻を足で探すことに……。そして、先日、第2巻が発売されました。これで完結。終わってしまう前に面白さに気付けてよかったです。
しかし、なにが面白かったのか。それは、アイドルの女の子の、アイドルらしくない表情。マネージャーの颯太に愛着を持って、迫るというか甘えるというか、そうした様子の可愛さであり、認めてもらいたくて頑張る姿のいじらしさであり、そして仲間でありライバルでもあるメンバーを出し抜こうとするずるさ、けれどそれが皆でじゃれあってるようにしか見えないという罪のなさ、そうしたところであるのではないかと思っています。
和気あいあいとした雰囲気のなか表現される個々のキャラクター。五人五様にみんな違ってみんないい。颯太に対するアプローチもそうだし、メンバー内での立ち位置、そうした諸々から感じられる違いが個性を際立たせて、結果、彼女らを魅力的に見せることとなったのでしょうね。そして、そうした個性の違いは、漫画における役割りにおいても発揮されて、展開を引っぱるもの、主にいじられるもの、不思議さを売りにするもの、などなど。各自の持ち味が連携しあうことで、漫画の面白さが引き出されていました。そして、その持ち味を違えた誰もに、ちゃんと見せ場となるようなクローズアップが用意されているところなどは、それぞれのファンに対する気配りであるのでしょう。
しかし、そのクローズアップが、特に中盤以降に描かれるものが、いいのですよ。前面にキャラクター性を打ち出して、面白さに直結させるようなものがあったかと思えば、普段のわいわいとしたにぎわいの中では現れてこない、キャラクターの内面描写がしっとりとした感触を残すこともあります。そうした表現を見ては、『からハニ』はキャラクターに主導されるタイプの漫画であるのだなという思いを強くしたものです。けれど人間はこと人にこそ興味を示すようにできています。魅力的と思えるキャラクターがそこにあって、その個性に面白さ、楽しさを感じるというのはむしろ自然だろう。漫画内のキャラクターが別のキャラクターに引かれる、そうした引き合う様子、関係性のダイナミクスに面白みを感じるのも自然だろう。そんな風に思わせる要素がありました。それはつまりは、キャラクターが魅力的にいきいきと描かれていた、そうしたことを重ねていっているに過ぎません。ええ、本当にキャラクターたちが素晴しく輝いている、そうした感覚にあふれた漫画でした。
けど、ちょっと颯太さん、この人の一人勝ちという気もしないでもない。いやね、この漫画における黒一点。年若いアイドルにしたわれる、そうした役割りを担う彼は、いわば読者の代理人であるのだろうなあ。そんなことをいうのは野暮だってわかってるんだけど、けどいわずにはおられませんでした。う、うらやましくなんてないんだからねっ!
なお、私はみかちゅーが好きでした。
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