最初に取り上げたのは、サイトこととねが77777カウントを達成した時でした。次に取り上げたのは、2007年7月7日、7並びがめでたい、そんな日でした。そして今日は、最終巻の発売日。長く『まんがタイムきらら』誌に連載されてきた『1年777組』、先日最終回を迎え、そして単行本が出て、ああ終わっちゃいましたね。ちょっと寂しい、けど不思議と悲しくはない。そんな不思議な感想は、漫画の中で語られるべきはきっちり語られていたからと、そんな風に思うんですね。恋愛に疎い女の子こりすと、これまた奥手な男の子ねことの、もどかしくもほほ笑ましい恋愛をめぐる四コマ漫画でした。当初こそはまったく恋心の通じないという、そんなこりすがだんだんと変わってきて、そしてあのラスト。よかったです。長い時間をかけて少しずつ描かれてきたことが、あの一コマに凝縮されて、ああ報われたねと、そう思えるようなラストでありました。
しかしこの漫画に限らずではあるんですが、四コマは単行本になると大化けすることがあって、いや、連載が面白くないなんていってませんよ。連載は連載で面白かった。けど、やっぱりページ数という制限がありますからね、一度にたくさん読むことはできません。ストーリーをもっている漫画なら、それこそひとつの場、ひとつの場を積み重ねるような展開になってしまって、その回だけで完結するならいいんですが、長丁場となるともう — 。この先いったいどうなるのという飢餓感は次の号を心待ちにさせる原動力にはなるけれど、翌月には前回のことなどほとんど忘れてしまっているってことも度々で、このテンションの持続しないというもどかしさがですよ、正直いろいろたまりません。ところが単行本となると、当然ですが、一気に読めます。すると、連載では気付いていなかったような大きな流れというものも意識できて、ああ、こんな風に繋がるのかと思うことも多くって、それになにより気持ちが途切れません。この気持ちを持続させられるというのが一番大きいですね。こりす、ねこと、そしてきつねへの共感、動かされた情感の全部が、束ねられたように太くなってラストエピソードへとなだれ込むことができた。そして、ハッピーエンド、後日談。ああ、いい話だったね、楽しかったね、嬉しかったね。読み終えてしばらく、その余韻に感じている。その余韻が、この漫画の終わったという実感を上回って幸いでした。
うん、幸い。この漫画のよさってこの幸いって感じだったのかなって思います。恋愛のさや当てがあったりする漫画ですけど、結構あこぎな手を使う人もあったりするんですけど、けれどそれでもぎすぎすしない。それはみんなが根はいい子だからで、悪ぶってみたりしてもほんとはいい人、さらに加えて表から裏から外側から中身まで、無垢っていってもいいくらいの善良さもった人がヒロインだから、もう悪くなりようがないですね。友達同士がなんのかんのいいながら楽しそうに、それもただわいわい遊んでるだけじゃなくて、大変なことを乗り越えてみたり、困っている時には助け合ってみたり、そんないろいろが漫画の雰囲気を決定づけて、そして私が受け取ったものというのが幸いっていう感覚だったということなのでしょう。幸いの漫画は、紆余曲折を経て、そしてやっぱり幸いで終わって、けどその紆余曲折、いくつもの出来事がより一層に幸いの感情を後押しして、だから読み終えた時にはもう気持ちが幸い一色で、いい漫画だったなあ、いい漫画でしたよ。終わっちゃったけど、けど私がこの漫画を好きだったこと、そしてこれからも変わらず好きでいるだろうことは確かなんだろうなあと思う。本当にいい読後感であったと思います。
私が『きらら』誌を読みはじめたその時に連載されていた漫画、だんだんと少なくなってきて、ああ変化していくんだなあ、主流のジャンルも雰囲気も変わっていくんだなあ。そんなこと思う昨今。いや、いいんだ。今の雰囲気も好きなんだよ。けどそれでもいいたいことがあります。またひとつ、好きだった漫画が終わって、心に一区切りついた気分です。長らくお疲れさまでした。楽しかった、いい漫画でした。ありがとうございました。
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