2023年11月23日木曜日

『まんがタイムきららMAX』2024年1月号

 『まんがタイムきららMAX』2024年1月号、昨日の続きです。

『ギャルとネクラの吸血関係』

木羅きらり、いやさ鬼良ららに狙われたいよね。はたしてこのまま吸血されてしまうのか!? さらには、まくるとの眷属関係を上書きされてしまうなんてことに!?

一種緊迫の状況。こうした局面において、一番その心情、明瞭に描き出されたのがまくるであったの、これ、大変よかったと思いました。弱気で内気で、日頃自分の思っていることを表現しきれない、そんなところのある子なのに、いざいよねがとられてしまうかもとなったら、ここまではっきりと自分の気持ち、思いを口にして、決して譲らない。

これが眷属への愛の深さといわずして、なんといおうか。この抑えきれなかった気持ち、迷いも不安もすべて一緒くたに吹き飛ばしてしまうほどの感情の高まり。ええ、愛でした。まごうことなき愛というやつだったと思わされたのでした。

しかし、まくる、あんまりむくわれていませんね! まくるの心、いよねは知らず。けど今回はきらりがとりなしてくれて、これで少しはまくる相思相愛への道も整備されたと思っていいのでしょうか!?

『マグロちゃんは食べられたい!』

最終回にして意味深な終わり方!

マグロと過ごしたある一日を思い返しているみさき。雪の降る冬の夜。マグロの気持ちの変化を確認するもそれはあたわず、むしろふたりの背負う文化、考え方の違いをより強く意識させられることになってしまった、そんな思い出。しかし、そこには確かにマグロのみさきに向ける思いの確かさがあって、みさきをかけがえなく思っていること、一緒に過ごした日々を大切なものとして振り返ることのできる、そんな運命的なものさえ感じているということ。しかしそれらが明らかとされるほどに、ふたりの願いの断絶も色濃くなる。

ここで、みさきはどういう判断をしたのでしょう。

最後に描かれた、新生活へと踏み出すみさきの様子。そのかたわらにはマグロがいて、一緒に語らっている、そう思わせる描写が続くにもかかわらず、みさきはひとり。その思いの中でこそマグロとともにあるけれど、ということはすなわちマグロは本懐を遂げた、そう考えていいのでしょうか。

実はずっとこの漫画を読むたび、とりわけこうして感想を書くたびに、ある漫画のことを思い出していました。藤子・F・不二雄の『ミノタウロスの皿』。料理として供されることをなによりも誇らしく感じている少女と出会った青年の物語でしたが、『マグロちゃんは食べられたい!』は『ミノタウロスの皿』では辿り得なかった結末へと向かうのではないか、そうした期待をずっと抱いていたのでした。

こうして結末を迎えた今思うのは、確かに『ミノタウロスの皿』がとり得なかったラストであったのかも知れないということ。『ミノタウロスの皿』では、少女を食することができず逃げ去るのみだった主人公と違い、みさきはマグロの思いを受けとめた?

だとしたら、みさきの思いやいかほどのものだったのだろう。今もこうして大切な、かけがえのない友人として思い浮かべるマグロへの思いとはうらはらに、自分の求めたものとは乖離する未来にいる自分。ここに至るまでの道筋や、これからも続く日々でみさきが思うなにか。それはいかなるものであるのか、あったのか。

思うほどに、感想は複雑にからまり、沈思せざるを得ない。ええ、これは最後に難題をいただいた、そう思わずにはおられない結末でありましたよ。

0 件のコメント: