2015年10月3日土曜日

『まんがホーム』2015年11月号

『まんがホーム』2015年11月号、昨日の続きです。

『宇宙ファラオ☆パトラちゃん』、すごくいい雰囲気のいいお話でした。パトラちゃんのいつもの場所を占有している女の子がいる。なんでか仲良くなって、一緒に遊ぶようになって、パトラの地球の家来第一号ならぬ、地球の友達第一号になる。パトラちゃんがいいですよね。いつも年下の彼女が、めずらしくお姉ちゃん。すごく面倒見がよくて、もうほんとこの子、すみれのこと、大切にしてるってわかるの。けど、これが一夏の出会い。夏休みでお婆ちゃんのところに遊びにきてたというこの子と、贈り物交して、また来年も遊ぼう、そういって別れる。最後のパトラの言葉が素晴しかった。…いいんだよ、わらわのことなんてそのうち忘れちゃうさ。しみじみとしたその言葉に、この子の大人びた表情が垣間見えて、すごく素敵でした。

『200年の夜と孤独 — おひとりさま吸血鬼』は、年月を重ねている、その利点が見事に発揮されていますね。ハロウィーンの季節がやってきました。かくして今年も月夜野さん、大活躍。例の、ちょいこわ看板たちがふたたび店内に溢れて、しかもこれが大人気っていうんですね。ほんと、面白いなあ。しかもバイトくんも参戦。おおう、きらりん吸血鬼娘。超可愛いじゃん! 月夜野さんの看板が人気なのはともかく、バイトくんのお嬢さんも一部で人気だったりして、いやもう、ほんと、その気持ちわかるわ。そして最後にバイトくんへの月夜野さんのお願い。ああー、これが扉のあの子なのか。月夜野さん、友だちができたんですね。

『歌詠みもみじ』もハロウィーン。しかし、この漫画、川柳がね、すごくよいの。気が利いてるし、ちょっとした皮肉、くすぐりなんかもあって、もういっつも感心してるんですよ。今回だと「カワイイは実は自分に言ってるの」。ほんと、この事象に対する批評性、素晴しいわ。よくできてる。漫画としても面白い、悪くないって思ってる、その上に川柳が一味も二味もそえて、これ、作るの大変だろう、漫画としてのネタ、その上に川柳、その双方を組み合わせて面白いと感じるレベルに仕上げていかないといかない。もうほんと、見事、見事で、毎回楽しみに読んでいます。

『マチ姉さんの妄想アワー』、これも本当に面白い。いやもう、理屈がうんぬんじゃなくて、「カチカチ未来」とかね、あのラストの「ひどくね?」の台詞、一発の威力よ。実に切れのいい台詞でした。しかし、今回一番威力のあったのは「多いと不安」ではないかなあ。「アダルト金ちゃん」もかなりきたんですけど、「多いと不安」の、危険な自然派って表現が、そして怯えてる動物たちが、もう本当に冴えてて、最高ですよ、素晴しいです。「光源氏と若紫」って、昔話じゃないじゃん! けど、「あかんやつや!!」から「さいなら私の人権」、そして落ちの「ファミリー誌だぞ」。なんておかしいんだろう。安堂友子からは天才を感じる。ほんと、天才に努力工夫を重ねた、そんな味わいがたまりません。

  • 『まんがホーム』第29巻第11号(2015年11月号)

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