見にいきました。『UN-GO episode:0 因果論』。いえね、いこうかどうかずっと迷ってたんです。誰か一緒にいってくれる人はいないかなあ、そしたら行く気になれるのになあ、なんて思っていたのですが、誰もいなかったので、ええい、もういいよ、ひとりで行くよ! ひとりでいったのでした。『UN-GO』はフジテレビ系列ノイタミナ枠で放送されているアニメ。これ、さして期待してなかったのですが、見てみれば面白くって、じわじわ効いてきましたね。完璧とも最高とも思わないのだけど、不思議と引き込まれて大変に面白い。くっそー、面白いなあ。見終えるたびにそう思う。だもんだから映画、見ておきたかったんですね。
映画はテレビシリーズに先立つ、ええとどれくらい前になるんだろう、劇中に語られる戦争のはじまる以前まで遡って、結城新十郎と因果の出会いから描かれる。そのへんを克明に説明すると、映画見てない人には激烈なネタバレとなってしまうから我慢するとして、テレビシリーズにて描かれる人間関係ができあがる前のこと。虎山泉がとりわけ印象的だったんですが、あれれ、こんな人なんだ、えらいこと可愛いな、びっくりしたりもして、こういう違った側面や、テレビでは語られていなかったこと、それがわかって、なるほどと思わされることも多かったのでした。
けど、こういったら安心なのかどうなのか、今のところ、映画を見なかったらテレビシリーズが楽しめない、そういえるほどのものはなかったかなって思って、もしかしたら終盤に効いてくるのかも知れませんけどね、今のところはそこまでクリティカルじゃない。いや、それでも第2話まで見返してる今、なるほど、映画に見えたキーワード、それがちゃんとテレビに繋っていると思わされる。映画を見なくても楽しめる。けれど映画を見ると、そうかと思える要素がある。新十郎という人がなにを思っているのだろう、思いがそこにいたるといったらよいでしょうか。またひとつ、一歩向こうに踏み込む、そのよすがが提供された、そんな感触があるのですね。
『UN-GO』というアニメ、私がこれを面白いと思うのは、今私たちが直面している問題、それをうまく取り上げて、こうなったら嫌だなっていう未来を描いてみせているところです。例えば、今はネットが検閲等コントロールされていない(されにくい)メディアとして認知されてるけど、『UN-GO』の戦後だとネットこそが検閲されているメディアになっていて、アングラな情報などは直にやり取りされている。こうしたところが、面白い。ちょっとした嫌な未来を垣間見せてくれているようで、今の政治や世相、それらの先にあるものはこんな世界かも知れないぜ。想像力で未来を描きつつ、そこには今現在を生きる私たちの問題こそが語られるという二重性。フィクションが現在性に裏打ちされて、したたかなのです。こうした姿勢を見て嘲笑うような皮肉屋も沢山いるだろうけど、その挑戦が面白い。ひりひりする。やってくれるじゃん。くっそー、面白いわ。見終えるたびに、息吐くようにして声にするのですよ。
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他
- pako,高河 ゆん『UN-GO pako & 高河ゆんデザインワークス』東京:一迅社,2011年。
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