今年ショックだったことは、それはそれはたくさんあったわけですけれど、やっぱり地震ですかね。あれは現実感を失わさせる、そんな強烈なできごとだったと思います。私は阪神の震災を、わりと身近に経験していますが、東日本のものは正直その衝撃を超えた、そう思っています。そしてショックなこと。『ASCII.technologies』の休刊がそうでした。これ、2周年を喜んで、さあいよいよといったところであの地震。返本がものすごかったそうです。このままでは存続も危ういですよ、そんなこといわれてて、そうしたら本当に休刊してしまった。ショックでした。ええ、楽しみにしてた連載があったから、なおさらだったんですね。
この雑誌はIT技術者向けの雑誌で、それこそGPGPUとか分散コンピューティングとか、CPUのアーキテクチャ解説とか、汎用機を分解してみるとか、なかなかちょっと他所では見られない記事が多くて面白かったんです。自分では購読していなかったんですが、職場で購読してたのがきっかけで知りまして、けど職場での購読が支払いをめぐるつまらない理由でもってとりやめになったものだから、自分でも購読しようかな。そう思って定期購読を申し込もうとしたら、なぜかできない。おかしいな、調べたら最初にいった理由で休刊してたのですね。
いやあ、まいりましたよ。安い雑誌じゃないから、購読しようと踏み切るにはちょっと頑張りがいりました。けど、そう決意させるだけのものがあったんですね。楽しみにしていたのは「明日木大学技術育成部」、こっちが副題なのかな? 「アルゴリズムを学ぼう」という連載で、プログラムを効率よく組むに際し重要になってくるアルゴリズムというもの、それを学べるという連載だったのでした。で、これがですね、はじまってすぐに休刊ですよ。ええええ! うわあ、残念だ。まさにこれからだと思っていたのに。
この他には、「株式会社・初台アーバンギルド」、これ技術系ラノベってことでギノベといわれてたんですが、楽しみに読んでました。それから、「マンスリーRFCニュース」、これなんでかわからんのですけど好きでした。ただ技術的な話題にとどまることなく、エイプリルフールがらみのRFCとか、鳩でパケットを送るとかね、またその実証実験についての解説など、多様な話題が面白かったんですね。コンピュータとかいうと、なにか融通がきかなそうなものと思ってる人もいるかも知れないけれど、実際は悪ふざけが好きな、面白い人達のコミュニティなんだってわかる、そんな連載だったと思うのです。
私は新しいもの好きなんですが、でも実際に自分がなにかやろうという時には保守的といいますか、慣れたものから離れようとしない、そんなところがあります。だからこの雑誌に紹介されていたキー・バリュー型のデータベースとか、興味を持ちながら手を出してなかったんですね。でも、いつか試してみたいな。慣れてるのはSQL使ってデータを取得するRDBMSなんですけど、今はどうしてもRDB的発想でしかシステムを考えられない。けどKVS的発想で考えられるようになったら、なにか変わるんだろうか。わくわくしながら記事を読んでました。クラウドの特集とか、GPGPUでスーパーコンピューターとか、面白かったなあ。私にとっては、技術情報を伝えてくれるという以上に、なにか新しいものがある、そんなわくわく感を与えてくれる雑誌であったのですね。
編集後記、いや「編集会議」という名前でしたね。これがまた面白かった。締め切りを守ってください! とか、引っ越し大変でしたとか、そういうの書かれてるの。あと特集を組むにいたった経緯とか、前回の特集に対する感想とか、この雑誌を作っている人の存在が感じられる、そんな雰囲気が大好きでした。すごく親しみを感じさせる、そんなページだったんですね。
さて、そんな『ASCII.technologies』が創刊から最終号までDVDに収録されて発売されるというので買いまして、バックナンバーも丸ごと入手できて、嬉しい反面、この続きはないんだな、そう思ってちょっと寂しかったりもして、複雑です。冊子に各号の目次があるから、どんな記事があるか探しやすい。また、連載記事が掲載されてる号を調べられるインデックスもあって、読みやすく、アクセスしやすくなるように工夫されてるのがよかったです。またこれを全部読むとかなると、ものすごい労力が必要になってくるだろうから、必要なところをピックアップして読むことになるのでしょうが、こうしてまたまとめて読める機会が得られたこと、それがすごくありがたいのでした。
- ASCII.technologies編集部編『ASCII.technologies the DVD Complete』東京:アスキー・メディアワークス,2011年。
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