『まんがタイムオリジナル』2012年1月号、発売されました。表紙は、おおう、なんだこれ、すごいぞ、山下さんが真っ白だ。いや、白衣じゃなくて、真っ白なコート。素敵だ。いいお姉さんじゃないか。ヒロインみたい! 雪の結晶の降る赤い背景に白、冬の寒さに赤とコートの暖かさ、季節感あふれるいい表紙です。山下さんの他には、ネロとパトラッシュよろしく天使のもと眠りにつこうとしてる榊医師と婦長、トナカイ姿の『らいか・デイズ』、サンタ姿の『よゆう酌々』女将に『社外秘神田さん』であります。
『あねぐるみ』が面白い。今回は楠木弟の所属する総務の仕事を描いて、社員の個人情報を扱うところから、備品の補充、荷物の受け取りなどなど。仕事ぶりがうまいこと紹介されるのもよいのですが、失恋の痛みみたいな小ネタが実にいい感じ。気のきいたネタまわしをされる方ですよね。通販もそう。御札や塩の袋もそう。自転車修理だってそう。ただネタを盛り込むだけでなく、そのネタが生きる状況をちゃんと用意してるんですよね。今回は全体を通して個人情報がテーマになってましたが、うまいこと仕事上守らないといけない個人情報はダダ漏れになってないんですよね。個人的な関係にもとづく情報のやりとり、みたいなところがあって、それで大変なことになる弟。いや、もう、不憫なんですけど、面白かったです。
『そこぬけRPG』は、なかなか深まってきてますね。毎年の恒例、年末の追い込みなんですが、メインはすでにそうしたところから恋愛のどうたらこうたらに移ってきてるんですね。久太郎が、来年は異動して広報にはいないかも知れない。なんて思ってしんみりなどしてるわけですが、そこから怒涛の告白展開ですよね。ばっちりしっかり告白する。それに対して釣り合いってものを考えなさい、これはやんわりと断り? いや、異動して女王様と犬の関係から離れたらオッケーってこと? それとも、しっかり働いてポジション築いてはじめて成立? いかようにもとれそうですが、でも、なにか動きはじめてる、そんな感じがひしひしとしますよね。これで異動がなかったら、それはそれでおいしい展開だと思います。
『オトメシュラン』のヨウ様。男に間違えられて、女性客のハートを掴んでというのは定番展開ですけど、クリスマスのディナーを予約した一見のお客さん。ここぞと気合いを入れた彼女とのデートを成功させんと、必死で頑張るルミ子さんが最高でしたよ。彼女さんの視力を訊ねる、照明を少し落とす、さらにはヨウ様に沸き立つ他の客にイケメンの存在を察知した彼女さんを、慎太つかってだますなど、いつもとちょっと逆の展開ですよね、面白かったです。フランス語の訳をこっそり教えるエリなどもいい感じで、この店をあげての応援体制。ほんと、いい展開でした。
『アサヒ! — 動物園に行こう』、実にいいですよ。あのフラミンゴ婦人会が最高です。主婦の井戸端会議、といった定番のネタなんですが、微妙にブラックで、実に面白い。象の母子もそうなんですが、動物ながら人の世界の暗い部分、嫉妬とか人付き合いの面倒さみたいなのをですね、重くなくコミカルに描いて、それがいいんですよね。今回の象の母子の、いたいのいたいのなんかは、そういう戯画的な部分はないんですが、あの、おろおろしてるふたりとか、本当に面白いです。オーソドックス、ネタが丁寧、それでいて可愛さもなかなかで、あのうがいするアサヒ。実に可愛かったと思うのですよ。
- 『まんがタイムオリジナル』第31巻第1号(2012年1月号)
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