2010年8月16日月曜日

サマーウォーズ

  先日見た『サマーウォーズ』、よっぽど気にいったみたいですね。今日は漫画を買ってきました。いえ、最初違う漫画を買うつもりでいたんです。ですが、なぜかこれに手が伸びてしまった。1巻2巻を揃いで買って、レジにて「おねがいしまーす」、いや、叫んじゃいないですよ。もちろん狙ったわけでもなくて、でも支払いの時に気付いて、ちょっと苦笑しました。お願いしますっていうのは、いつものことなんですけどね。

 というわけで、漫画版。最初は読むつもりはなかったんですよ。あれは映画がいわば原作だから、それになにかを付け足す必要はないな、そう思っていたのです。ですが、どうも漫画について監督が絶賛してるみたいな話を聞き及びまして、え、そうなの? ふーん、そうなのかあ。まあ機会があったら読んでみるか、そう思ってたら、書店に既刊が揃っていて、ああ、買っちゃうか、買ったんですね、1巻2巻いっぺんに。で、帰りの電車で読んでみたらこれ全3巻なんですね。気付いてませんでしたよ。ええ、買ったんですね、電車降りて書店に寄って。もう2巻の途中まで読んでたものだから、どうしても3巻買って帰りたい。なんとしても今日のうちにラストまで読みたい。そう思わせるだけのよさがあったということです。

漫画の内容は、かなり映画にそったものでありまして、だから映画見てると、すんなり追っていける、そんな感じであるのでした。いや、むしろ映画どおり過ぎる、そう感じることもあるくらい。といったら、まるで映画を引き写しただけみたいな印象を与えてしまいそうですが、そういうわけじゃありません。映画では描かれなかったことを描いている、それは映画にのせきれなかった設定であるかも知れないし、あるいは漫画家杉基イクラの解釈、発想、センスのたまものかも知れません。映画に比べ言葉にて伝えられることが多いという印象です。ともない表現は親切なものとなって、伝えようとしていること、それがどんどん流れ込んできます。健二の決意、なにが彼を支え後押ししたのか、彼の抱えていた問題とはなにだったのか。そして夏希の焦り、栄おばあちゃんという中心を失った陣内家において、なにをできるだろうか、そうした気丈さは映画よりもより強く打ち出されていたように感じています。

漫画の説明は丁寧、そういいましたが、それゆえにテンポを犠牲にしているところもあったな、そんな印象も多少あります。例えばそれはナツキのこいこい大勝負の土壇場。一度の負けで勝負続行不能になるまでの打撃を受けてからの起死回生の大勝負、1度の勝負で4億のアカウントを毟り取る勝ちを収める、そのバックグラウンドが描かれていて、侘助によるラブマシーン本体への攻撃、それが効いていた、ゆえにあの大勝ちが成立したというのですね。けれど、そうした追加の情報があり、また家族の発話、花札の説明など、ルールがわかるわからんにかかわらず映像の力と勢いで畳み込める映画でやったこと、それを可能な限り引き受けたことで、ずばずば読み進めていけない、そんな感じになってしまっていたのがちょっと残念でした。

でも、映画で得られる感触、漫画が伝える感情、同じ事象を追いながら、それぞれ違った視点、興味をもって語っているといったらいいのでしょうか、互いに補完しあいながら、よりこの物語を豊かにしている、そんな風に思えたのは確かでした。映画がいいと思うこと、それはもちろんあって、そして、漫画のこの表現もいいな、そう思えることも確かにあって、これはそのどちらがよいわるいではない、どちらもがよいなと、そんな感想であったというのですね。また、漫画最後の番外なども、これがオリジナルかどうかは知りませんよ、でも、これはいいなと思ってしまう、そんな魅力をもっていた、ええ、いいエピソードでありましたよ。威力のある、いい落ちがついたと思いましたよ。

Blu-ray

DVD

CD

小説

コミックス

  • 杉基イクラ『サマーウォーズ』第1巻 細田守原作 (角川コミックス・エース) 東京:角川書店,2009年。
  • 杉基イクラ『サマーウォーズ』第2巻 細田守原作 (角川コミックス・エース) 東京:角川書店,2010年。
  • 杉基イクラ『サマーウォーズ』第3巻 細田守原作 (角川コミックス・エース) 東京:角川書店,2010年。

設定資料等

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