2014年9月15日月曜日

のぞむのぞみ

 のぞむのぞみ』、完結巻です。女の子の格好に興味のあった少年のぞむが見舞われた災厄。突如性別が転換してしまってからの日々。いつか男に戻れる日まで、体の変化をいかに隠し通すか。彼の一種追い詰められた状況がどういう決着を見るのか、すごく気になっていたのでした。彼の変化に気付く誰かがあらわれるのか、それとも最後まで隠し通せるのか。そして彼の経験したこの奇妙な出来事、それがどのように彼の心に痕を残すのか、あるいは残さないのか。どうにでも展開させられるだろう現実味のない前提、それゆえにこの先がどうなるか予想がつかず、それだけに描かれるものには、強く作者の意図が反映されるに違いない。そうした期待があったのでした。

驚きました。こうなるんじゃないか。こういう展開があるんじゃないか。いろいろ予想していたことが、もうまったく通用しなかったのです。どれだけ自分は不自由なのか、そう思わずにはおられなかった。しかし、その予想外の展開に、戸惑いながらも、驚きながらも、こういう道があるのか。1巻時点では足りなかったピースが、2巻で徐々に埋まっていって、そしてあの結末。物語としてはすごく正しく、そして魅力的だった。のぞむが、違う性を経験することが、身体内面ともに新たなのぞむとしてのあり方に繋って、得たものもあった、失ったものもあった、けれどそのすべての経験があって、今ののぞむであるんだろうな。その変化こそに意味があった。そう思えるラストであったのでした。

しかし、このラストを迎えて、やはり思いを強くしたのは、この漫画は、性別の転換というショッキングな、あるいは突飛なものを描いて、けれどそれを決して非現実的なものとして扱ってはいないということでした。非現実的ではないとはどういうことか。ひとつは、性別の転換や違和感は現実にも存在するということ。ISであるとか、あるいはGIDというあり方、それが読んでいる間、ずっと私の意識にのぼっていた。IS、インターセクシャルはその性別を幼少期に確定させることが難しく、また外形でもって決定されていた性が、成長にともない違う性に向かうこともある。そうした話は現実にも聞き及ぶものであり、すなわちのぞむのありよう、変化への戸惑う気持ちも悩みもすべて、あながち非現実的なファンタジーと切って捨てられるものではないのだ、そういう気持ちが拭えなかったのですね。

そしてもうひとつ。のぞみの戸惑うのは、男の体から女の体に変わってしまったことだけではないということです。自分の身体が、女性として成熟していく、その違和感、不安。それは、男だった自分が女になっていくから、単純にそれだけではないのです。性の転換がなくとも、子供から大人になる、その変化に戸惑う気持ちは多かれ少なかれ誰にでもあろうかと思われます。この、自分の身体が徐々に違っていく。その違和感、知識では理解していても実際にそれが訪れるとなると、簡単についていけるものではない。なのに、気持ちをおいてけぼりに、身体だけは、状況だけはどんどん先へと進んでいってしまって、ええ、のぞむの経験していることは、多少、とあえていいますが、多少誇張されてはいるものの、一種普遍的なものであり、誰もが抱える、自身のイメージとその身体、そのギャップ、それを性の点にしぼって濃密に描いてみた、そういえるものなのだろうと思ってしまうのでした。

ものごとは、極端にデフォルメされることで、その実際が明確になる、そういうことってあります。すなわち、『のぞむのぞみ』とは、極端に描いてみせた、性をとりまく青少年の意識の物語であり、それは主役のぞむの周辺にいる友人たち、そして妹の気持ちや思いの揺れ動き。彼、彼女らはなにを見て、なにに引かれ、受け取り、さらにはなにを選びとっていくのか、そうした様子に彼らが時に自由であれず、また時に与えられたものから自由となる、精神のダイナミズムが見えてくる。ええ、このダイナミズム、見事でありました。

ちょっとネタバレになるかもだから、嫌う人はここでストップ。ほんと、ヤス、お前のこと、ちょっと尊敬する。この人は、見えるもの、その外形的なあり方にとらわれることなく、本質を見つめていたんだな。なにが自分にとって真実であるか、しっかり見据えて、その一番大切なものをずっと離さないでいた。ほんと、真正の人だ。

  • 長月みそか『のぞむのぞみ』第1巻 (TSコミックス) 東京:少年画報社,2012年。
  • 長月みそか『のぞむのぞみ』第2巻 (TSコミックス) 東京:少年画報社,2014年。

2014年9月14日日曜日

オリンライジング! — アイドライジング!外伝

  ハセガワ・オリン、見事燃焼してみせたのか。見てくださいよ、3巻のこの表紙! 舞い散る紙吹雪の下、見事、してやったりというこの表情。どんだけ魅力的であるのだろう。戦うアイドル、アイザワ・モモの活躍を描く『アイドライジング!』。その外伝である『オリンライジング!』では、モモのライバル、ハセガワ・オリンの戦いが描かれて、そしてこの3巻こそは、モモ、オリンふたりの戦い、あるいは関係にひとつの決着がつけられるのですね。思えば、ふたりの関係は、モモのアイドルとして歩きはじめる、その時に既に始まっていたのでした。だから、モモを描くにはオリンははずせない。また、オリンを描くにはモモをはずすことはできない。ええ、これはふたりの見事な山場にして、素晴しい決着。そしてまた新しいはじまりであった。開かれたエンディングが清々しくさえある。そんなオリンの生き様、オリンライジングがこれでもかと表現されていた、そして伝わってくる物語であったのですね。

なにからいったらいいんだろう。オリンの事実上のお披露目となった、マツリザキ・エリー、アイザワ・モモ戦への乱入。あれが、モモと共に挑んだリベンジマッチへの布石となっていたことか。最初は、派手な負けっぷりでもって観客を魅了すべく、すなわちはじめっから負けるために戦った。その彼女が、今度こそは モモとともに勝利をつかみに格上の相手に挑む。同じ演出を選びながら、しかしその心の奥底に根付く思いはまったく違っている。なぜか。なにが彼女を変えたのか。そのオリンの辿った心の道行こそが、この物語の背骨であることは間違いなく、けれどそれをいったら、オリンの屈辱的なはじまり、そこまで遡らなければならないし……。

多くのものが、オリンの決着に流れ込んでいるんですね。モモとの確執。下積み地下アイドル時代に掴んだものから、アイドライジングの舞台に臨んで、その過程で得たもの、あるいは与えてきたもの。それらすべてが、最後のモモとの勝負のゆくえに繋がっている。豊かだったと思うのです。どうすれば観客を楽しませるか、それに特化したオリンの戦いは、時に無様で、時に滑稽、あるいは卑怯にさえ見える。真っ向勝負なんて柄じゃないといいたげな、変幻自在なエンターテイナー。けれどそんなスタイルの向こうには、いつだって彼女の真っ向勝負があった、全力だった。時には納得いかないことも、いやむしろ、いつだってアウェイだったといっていい。そんな舞台ばかりだったのに、オリンは自らを賭け金にして、逆境を引っくり返してきた。観客を沸かせ、魅せるために燃焼しきって、だからいつだって、あんなに清々しい負けっぷり、その影に見せる最高の笑顔はオリンと読者だけが知っている — 、ええ、特権ですよね。魅せられた、それは読者も同じだったんですね。

そんなオリンの完全なアウェイ、負けることで勝つ彼女が、本当に負けてしまった戦い。それが、この漫画のテーマであるオリンの生き様、オリンライジングを際立たせていた、そう思っています。彼女が本当に戦わなければならないものはなんだったのか。彼女の戦いの舞台は、はたしてどこにあるのか。それが掘り下げられて、ええ、そこではオリンの生き様、勝敗の外側にある勝利を掴むための真っ向勝負、それが失われていたんですね。なによりも大切にすべきだった、オリンのスタイル、それが忘れられてしまった理由。ずっと根深くオリンの心に潜んでいた確執や嫉妬がより明確にされた。オリンは、自分の弱さに立ち向かうことができなくて、結果、自分でそうと決めた自分の生き様、そいつを貫くことができなかった。勝負の以前にすでに負けていたんです。誰のせいなのか。モモなのか。だらしなかった自分なのか。鬱屈していたもの、すべてを曝け出したあの瞬間、オリンの戦いが転換したんだと思う。物語が、ドライブにシフトを入れた、そうした実感をさせたあのシーンは、これまで描かれてきたものを、一気に掴んで、ひとつの方向へと向かわせるための起爆装置であったんですね。

挫折があったからこそ、その後の躍進が光る。けれど、ほんと最後の最後まで、油断できないのがオリンライジングです。やってくれましたよ。けど、あのラストへの道行は、そのまま未来への布石となって、そしてモモに対するオリンの約束であったのですね。おそらくは、より苦しく険しい道を選ぶことになるだろう選択なのだけれど、自分の気持ち、その奥底にある信念に従わないではおられなかったオリン、彼女のその選択こそがオリンライジングである。打算もなく、自分の生き様、その内なる声に従った結果がこれ。ほんと、最後まで油断できない彼女の、彼女らしい、清々しい決着。その未来へと開かれた様は、きっと彼女がこの先辿るであろう道行、その可能性の大きさを感じさせるものであった。目の離せないアイドル、オリンの生き様が凝集されて、際立つ — 、そう思わされるものだったんですね。

ああ、そうそう。ちょっとネタバレになるから、嫌う人はここでストップですよ。モモとオリンによるリベンジマッチで、モモの切り札であるトリックアーツが温存されたまま決着して、あれー、使わなかったのかあ、まあオリンちゃんが主役だもんなあ、そうぼんやり思ってたんですよ。いや、ほんと、予測できないって。いや、ほんと、あれはやられました。今だにやられるピザもそうですが、ほんと、ハセガワ・オリンは必ずやる。ド肝を抜く。思いきりやられて、それがもう最高です。

  • 藤島真ノ介『アイドライジング!』第1巻 広沢サカキ原作 CUTEGキャラクターデザイン (電撃コミックスNEXT) 東京:アスキーメディアワークス,2013年。
  • 藤島真ノ介『アイドライジング!』第2巻 広沢サカキ原作 CUTEGキャラクターデザイン (電撃コミックスNEXT) 東京:アスキーメディアワークス,2014年。
  • 藤島真ノ介『アイドライジング!』第3巻 広沢サカキ原作 CUTEGキャラクターデザイン (電撃コミックスNEXT) 東京:アスキーメディアワークス,2014年。
  • 広沢サカキ『アイドライジング!』第1巻 CUTEGイラスト (電撃文庫) 東京:アスキーメディアワークス,2011年。
  • 広沢サカキ『アイドライジング!』第2巻 CUTEGイラスト (電撃文庫) 東京:アスキーメディアワークス,2011年。
  • 広沢サカキ『アイドライジング!』第3巻 CUTEGイラスト (電撃文庫) 東京:アスキーメディアワークス,2011年。
  • 広沢サカキ『アイドライジング!』第4巻 CUTEGイラスト (電撃文庫) 東京:アスキーメディアワークス,2012年。

2014年9月13日土曜日

『まんがタイムジャンボ』2014年10月号

『まんがタイムジャンボ』2014年10月号、昨日の続きです。

『花の任侠物語・しずか』は、またぐっと先に進めましたね。静花が自分の身の上をいつか友達に明かしたい、そう思うのだけど、いきなりだとショックが大きいかも知れない。というわけで、舎弟をひとりずつ紹介していこう、なんてことになるんですね。って、それ、駄目だろ。どう考えとも駄目だろ。というわけで、紅葉が抜擢される。夏祭りですね、紅葉をともなっていくことになるんですが、紅葉はくれはとしても約束してる。どうしたらいいのか? ええ、ちょっと大変なんですね。しかし、友人は気を利かせて? やってこず、結局紅葉と一緒にお祭りを回ることになって、しかし、それがどうもくれはの正体、それを静花に気づかせるきっかけになるっていうんですね。はたして、どうなるのか。あのくれはを見つめる静花の目。これは、次回、なにかドカンときそうですね。

『凪くんの不運な棚ぼた』、こちらも動きがありそうです。座敷が座敷ママと一緒に買い物にいって、残されたのは平太郎と疫病神のふたりだけ。以前は平太郎を意識して、いろいろ疫病神が慌てたりしたもんですが、今回は余裕余裕で、って、いや、やっぱりそんなことはなかったのか。自分ばかりドギマギしてバカみたいじゃないか。怒っちゃうんですけどね、実は平太郎も同じだという。しょっちゅうムラムラしてるという。いや、たしかにそうなんだろう。もしかして、ふたりの仲、進展しちゃう!? そんな雰囲気になっちゃって、けど、それは許されないことなのか。神様の世界なのかな? 疫病神を監視していた男がいうんですね。連れ戻さねば。ええ、平太郎の心配していた、いつか座敷や疫病神がいなくなってしまうのではないか。その心配がかたちになる……。ええ、これは山場ですよ。

『事件です!シャーロッ子さま』。潤がいいですね。平民、って、今は平民ばっかりですけどさ、いいとこのお嬢様じゃないってことですね、気にしちゃってる。それでちょっと凹んでるところにからかわれたもんだから、怒っちゃって、けどそれが樹莉の相談にのることで、ちょっとやわらぐんですね。いやあ、樹莉、いいですよ。潤が中庭で拾ったノート。樹莉の書いたものだったんですね。ミステリーを書いている。けど、それを秘密にしてるのは、事件とか殺人とか、物騒な本ばかり読んで、物騒なことばかり考えて、そのことを父に否定され、友達にも距離を置かれて、それで孤独だったのか。潤が樹莉にいったこと、樹莉は少し先にいってるだけだよ。もう少し大人になったら、同じ趣味の友達も見つかるよ。その言葉、とてもよかった。ほんと、いいお姉さんだなあ。樹莉とも仲を深めていきそうで、ええ、いい関係つくっていきそうじゃありませんか。そしてシャーロッ子さまとも和解、潤が頭を冷やして、シャーロッ子さまも素直じゃないながら謝って、ええ、こちらもいい関係になりそうですね。ふたりは対等なんですね。

  • 『まんがタイムジャンボ』第20巻第10号(2014年10月号)

2014年9月12日金曜日

『まんがタイムジャンボ』2014年10月号

『まんがタイムジャンボ』2014年10月号、発売されました。表紙のテーマは、天海さんと仲間たち。天海さんが眺めている机の上、チビキャラ、デフォルメされた『レーカン!』の面々が、いろいろ元気、マイペースに動きまわっていて、実に可愛い表紙にしあがっています。ちんまくても、それぞれのキャラ性、うまいこと出てますよね。いいですよ。

『保健室のつむりさん』、ゲストです。養護教諭つむり先生は、保健室のベッドで寝ていることしばしば。なるほど、弟が在学中なのか。マイペースな姉つむり。弟にいろいろ世話を焼いてもらって、またちょっと姉っぽい傍若無人さも持ち合わせていて、自分の部屋が散らかってるからと、弟の部屋とトレードする。学校でもマイペースで、生徒にいろいろ世話してもらってる。そんな先生なんですね。けど、そのマイペースさが生徒に人気、あの聞き上手なところなど、よかったですよね。

『タヒチガール』、すごいことに! あとひとり入部したら、タヒチアンダンス部発足というところまできて、その最後のひとりがなかなかこない。お嬢様がやる気出してるところ、いいですね。むしろマイもマハナもマイペースで、リンがひとりでいろいろ頑張って、やきもきしてる、そんな雰囲気。そんな中、まさかの雅のファインプレー。なんか、ちっこいのを小脇に抱えて持ってきたぞ! ほんと、やばいぞ、この子! 最高だ! で、この子が待望の新入部員になるんだろうな、そう思ってたら、おおう、男の子か。女の子に間違えられたくない、その一心でこの学校に入ってきたっていうんだけど、なぜ元女子校、男子の少ないこの学校に? って、なるほどなあ、女子ばかりなら自分でも男子と見てもらえるに違いない、その一心というのか! おかしかった。オリタヒチは戦いに赴く戦士たちも踊ってた、そうした情報を得て、入部を決意。で、あの落ちでしょう? いや、期待どおりですよ? でも、ほんと、すごく似合って素敵でした。うん、いける、いける!

『きつねとパンケーキ』は、ゆめの家、パン屋に皆でおとずれるんですね。いや、もう、ゆめ、めちゃくちゃ可愛いな。ゆめのパパ、月山颯太も素晴しい。24歳パン職人。って、えらい若いのに、店持ってるのか、すごいな、やり手じゃん。和巳、結人が若さに嫉妬してるのがおかしかった。って、31なんてまだまだ若いじゃんよ! あの、お父さん好き好きのゆめのオーラが素晴しい。紺乃、昴と三人で店の手伝いしてみたりね、ほんと、この感じ、とてもよい。お客さんがどっときて、てんてこ舞いになったところで、颯太が助け船を出す。ほんと、このゆめとパパの関係がすごくいいんですね。っていうか、昴んところは非常にアレだし、紺乃のところも結構アレだし……。ねえ。でも、この、娘大好きパパの魅力がたまらん漫画です。

『けいさつのおにーさん』、ゲストです。長野県を舞台にした警察ものですね。若手の穂苅士朗に、ちょっと年配の手塚衛。主にこのふたりのコミュニケーションを描く? で、ちょっとなんかラブラブっぽい? 手塚さんの手作りごはん大好きー! って、君! 穂苅、手塚のことがいろいろ気になるんですね。それでいろいろ聞き出そうとしたり、けどなんかそれっぽくかわされちゃう? そんな手塚を動揺させる穂苅の笑顔とか、ちょっと赤面の手塚とか、署長大変です、ふたりがデキてしまいそうでわくわくします!

  • 『まんがタイムジャンボ』第20巻第10号(2014年10月号)

2014年9月11日木曜日

『まんがタイムきらら』2014年10月号

『まんがタイムきらら』2014年10月号、昨日の続きです。

『ランキンガール』、なるほど、皆がこうして仲よくなっていくわけですね。ランキング2位のほたるに妹みやびを引き合わせてみたら、有名人だっていってものすごく緊張してる。そこからなんだかだんだんに仲よくなって、それがね、上手に弁当を作ってきたみやびのこと、ほたるがすごいって誉めるのね。また、ほたるが素直にありさ、ほたるのこと気にいっていて、最初の緊張もとけていく? いや、完全に打ち解けたわけでもないっぽいけど、でも皆知り合って、それで自然に自分の地を出していく。無理してたありさが、普段の自分を出して、それを美鈴がスクープ。親しみやすさ感じられたからでしょう、ランクも上昇するっていうんですね。上位ランカーでしのぎを削る、そうした話ではない。皆で仲よくしているところ、それがメインに出てきてというところ、それを自然に楽しんでいくのがよさそうだなって感想でありますよ。

『しゅばりえーる』は、のっけからセリーゼですよ。寝惚けてがおーって叫ぶは、フルヘルムかぶったまま寝てるはと、ほんとこの子は面白いです。さて、今回のメインはサツキでありますね。姉になにかプレゼントしたい、そう思って街に出るんですね。そこでジャスミンと合流。ジャスミンの見たかったという服屋につきあって、いろいろ試してみる。ジャスミンのドレス姿、いいですよ。普段、あんまり見慣れない格好ですけど、いやいや、とても魅力的。綺麗といわれてなんか困ってますが、いやいやなにを困ることがあるのでしょう。今日はサリアの聖人のお祭り。店主の好意に甘えて、ドレス姿で繰り出せば、いよいよ街の人気ものといった次第。ふたりの躍る姿が大人気なんですね。ふたりのダンスを楽しむ様子。そしてサツキから贈られた髪飾り。そうした交流、ちょっといつもとは違って、悪くなかったですよ。

『かなはメランコリー』、かなはは兄貴がモテるのが気に食わない。いや、別に嫉妬とかじゃなくって、単純に悔しいんですなあ。自分の目立たなさをなんとかしたいと思って、兄貴と対決してるわけですが、それでもパッとしない。知名度は上がってるけど、兄貴あっての知名度。あんまり嬉しそうじゃないんです。しかし、今回も兄貴と対決していて、じゃんけんで負け、コイントスで負け、あれでもこれでも負ける。というか兄貴の強運? それが際立ってるんだなあ。これは、かなはの、とにかくなんとか対抗しようと頑張って、立ち向かってみても、全然かなわなくって、くやしー! そうなってる様子を見てなごむ。そんな感じの漫画ですね。別に負けてもみじめじゃない。けど納得いかない、って、そんなかなはがいいんだと思います。

My Private D☆V、『そよ風テイクオフ』のうみのともであります。描かれたのは、大正レトロモダン。矢絣に袴、足元はブーツの女学生、海老茶式部とかいわれたそうですね、そんな子がかわいいと、また女給さん、着物にエプロン、カチューシャもつけて、そうした和洋ミックスがよいというんですね。そう、この和洋ミックスはいいと思います。当時のモダンが取り入れられてる。それが不思議とマッチしていて、独特の魅力を作ってる、そう感じさせられますよね。私もこうした時分の習俗には興味があって、いろいろ見たり読んだりしてました。ええ、レトロモダン趣味、その魅力、たしかにわかりますよ。

  • 『まんがタイムきらら』第12巻第10号(2014年10月号)

2014年9月10日水曜日

『まんがタイムきらら』2014年10月号

『まんがタイムきらら』2014年10月号、昨日の続きです。

『ギタ×マン!』、文化祭当日ですよ。あめり、うるるが緊張してる、と思えば、るっか、マサ、ええ!? 大丈夫か、君ら! ギター組ははんぱでない緊張に陥ってるんですね。ギター組、心配だなあ。そんな彼らを救うのが、まさかのマサの妹なんですね。りりあ、いけてる女の子。ハキハキとして、明るくて、みんなびっくりしてるんですが、この子、まさかの兄萌えヘタレ萌えときたもんだ。変わった子ばっかりで、でもよいなあ。この子に可愛いといわれて、ちょっと嬉しいゆもちゃんも素晴しい。そして本番。ギター組の準備ができるまでを、マンガ組が繋ぐんですね。即興でリレー漫画。って、OHP使って、いいな、この思い切った感じ。このふたりですからね、即興漫画も急激な切り返しの連続で、ほんと、めちゃくちゃ面白かったです。というか、うるる先輩、変装してるのバレてないのか。ほんと、マンガ組、よく頑張った。そして次回はギター組。どうなる!? めちゃくちゃ楽しみですよ。

『サンタクロース・オフ!』は、エルナに町を案内するんですね。そんなに回る場所もないっていうんですが、駄菓子屋に、書店にして文具店、とこれだけなのか、確かにそんなになかったな。梅ジャムってあるんだ。すっぱいんだ。知らないなあ。ちょっと食べてみたい。そして村観丘にいってみようとなって、そこで意思疎通の欠片と出会うんですね。意思疎通の欠片の頼み、タンポポの種、それをより遠くへと飛ばして欲しい。樹にひっかかっていたのを集めて、風に乗せてやる。ちょっとしたこと、けどこのちょっとしたことにあらわれるもの、感情やなにか、それがよかったです。

『凸凹□(でこぼこボックス)』、これ、まだゲストなのか。今回は皆でプールにいくのですよ。すずめは乗り気じゃないんだけど、おきなちゃんはめっちゃ楽しみにしてるみたいで、押し切られちゃいましたね。おきなちゃん、スクール水着ですよ。って、これは競泳用とかじゃないのん? ゼッケンとかないから大丈夫よ! と思ったら、そうでもないのか。というわけで、ひめが選んでくれました。これで全員ビキニスタイルとなったわけですね。けど、一口にビキニといってもそれぞれに個性があって、セクシーなのから可愛い感じまで、こうしたバリエーションもよいですね。さて、すずめがプールに乗り気でなかった理由、わかりましたね。泳げない。おきなの教え方はいろいろ適当で、なのでひめが教えます。それでちょっとでも泳げるようになった。あの泳いでるすずめの表情、凛々しくてよいね! 今回のプールの、皆が楽しんだ、そうした様子、実によかった。すずめの笑顔、最高でしたね。

  • 『まんがタイムきらら』第12巻第10号(2014年10月号)

2014年9月9日火曜日

『まんがタイムきらら』2014年10月号

『まんがタイムきらら』2014年10月号、発売されました。表紙は『あっちこっち』の三人娘でありますよ。可愛いですね。秋の装い。これはどういうジャンル、カテゴリーの服なんだろう。森ガール? ちょっとフリルで、アースカラーが落ち着いて素敵。降ってくる本やお菓子、果物、お茶の中、3人も一緒に降ってきてるの? 三様のポーズが実にキュート。姫の葉っぱ柄、真宵の熊のあしらい、それがまた可愛いですね。

チェリーブロッサム!』、大倉山先輩の優雅な時間? かと思ったら、そうでした、そうでした、つばきが大変なんでした。大咲とゆうの関係を疑ってるんですが、ゆうはそんな事実はないと思うよ、他人のふりして伝えるんですね。でも、まあ、信じないよなあ。大好きな大咲が誰かにとられちゃう、もう不安が暴走しちゃってるんだろうなあ。でも、そのつばきの様子が、むしろゆうの内心に働きかける。もう今までの関係ではいられない。気持ちがもう変わってしまった。そうはっきりと意識してるつばきの表情はむしろ穏やかで、これは愛の強さなのか!? ところで、大咲、沙咲野とそんないかがわしい遊びを!? というか、つばきさん、やばいよ! 大咲の意識がやばいよ!

スロウスタート』は、万年さんの大変身ですよ。まあ、変身させすぎたからってんで、軽めの変身にとどめるんですけどね。コンビニにもいけない、そんなだった彼女を、その気にさせた冠が素晴しい。あの怒っちゃうところまでがセットですよね。今回は万年さんの社会復帰第一歩、それもあったけれど、でもやっぱり花名と万年さんが、いや花名とひろえが強い共感を持ってその気持ちを交換しあう。本当の友達になった、いやむしろ同志みたいなノリ? もしかしたら、はじめての理解者かも知れない。はじめて同じ境遇で、同じ不安を抱えて、互いに共感しあえる、そんな人ができたのだと思う。よかった、ほんとにそう思います。

『オリーブ! — Believe, “Olieve”?』、新連載です。手品部、オリーブ。新入生歓迎会? 部活紹介にて見事に花を出してみせたオリーブですが、真ん中のひとり、よく見ると浮いてる……。どうしてるんだろう、仕掛けを知りたくてスズが手品部を訊ねると、なんだか巨大な怪物が戦ってた。ああー、なるほど、この子ら、本当の魔法使いか。けどバレたくはないみたいで、必死で適当に誤魔化す。新歓でのことだって、ちゑは緊張すると浮くタイプなんだ、って、そんな言い訳通用するのか!? したよ! 皆で足湯にいって、話して、だんだんに打ち解けていく? 魔法でもってふわっと浮いた、それを自分の実力? そう勘違いしたりするの、いいですね。ええ、悪くなかった。スズが楽しみだっていってますけど、読者の私も同様、これからが楽しみですよ。

『コミュ障アイドルれいかちゃん』、ゲストです。メイドの格好で生ライブ、と思ったら、ネット配信なのか。なるほど、ウィッグで変装して、衣装は友人に借りて、なのか。ウィッグなしのショートヘアも可愛いですよね。この子、麗華、人とのコミュニケーションが苦手で、今日は入学式だっていうのに、はやくも学校にいきたくない。ネガティブな想像が足を重くさせるんですね。そこを、お隣、ではないのか? 窓から侵入してくる花凛に連れられて登校。新入生向けのガイダンス? そこで生徒会ユニットのライブを見ることになるんですね。って、生徒会がユニットでアイドル活動してるの!? ナンデ!? メンバー1人募集中、って、選挙とかすんじゃないの!? ともあれ、麗華は彼女らに憧れて、花凛に背を押されて、無理矢理に立候補させられるんですね。けれど意欲を感じられないと会長に拒否されて……。うん、麗華、ネットで頑張れ! そう思ったけど、そうはならんのでしょうな。なんらかの転換、気持ちの切り替えがあるのでしょう。どんな展開するのだろう、楽しみに待ちますよ。

  • 『まんがタイムきらら』第12巻第10号(2014年10月号)

2014年9月8日月曜日

SHOW BY ROCK!!

サンリオ発!バンドテーマの『SHOW BY ROCK!!』TVアニメ化決定、って記事が流れてきたのですよ。へー、サンリオでバンドなんだ。そう思って見てみたら、なんと、最近のサンリオってこんななのか! 驚きましてね、キャラクターが可愛いんですよ。うん、サンリオだから可愛いのは当たり前ですよね。けど、可愛さの傾向が違ったんです。ファンシーキャラとしての可愛さじゃなくて、萌え萌えじゃんよ! そんな感じ。へー、って思ってたら、これ、もとはゲームだったんですね。リズムゲーム。曲にあわせて、落ちてくる音符をタップする。ゲームは基本無料で遊べます。とのことで、こいつはちょっと遊んでみようか。ええ、プレイしてみましたよ。

面白かった。面白かったですね。とりあえず意外だったのは、アニメのキービジュアルに見える彼女ら、ゲームの中だとサンリオ的ファンシーキャラクターとして表現されてて、萌え萌えビジュアルは出てこない? 出てこないのかい? でもいいや、ゲームとして面白いから、小さなことは気にしない。いえね、コンボが一定数続いたら、特殊演出でムービーが流れて、ファンシーキャラから萌えキャラにバージョンアップ! みたいなシステムだと思ってたんです。けど、実際そういう演出があったら、落ちてくる音符がわかりにくくなるから、困るよね。

よく考えられてるなあ、そう思わせるところ、多かったです。ゲーム内のポイントは3種類あって、バンドやカードを強化するのに使うもの、ガチャを回すのに使うもの、レアガチャを回したりカード所有枚数やフレンド数を増強するのに使うもの。この最後のものが有料アイテムなんですね。カードはたくさんあるに越したことがない。属性が5種類あって、カードごとに強い属性、弱い属性がある。そのカードを5枚1セットにしてステージに臨むわけです。ステージに属性があるから、あわせていかないと高得点が狙えないんですね。

カードが揃わないと、ステージに対応できない。カードに余裕がないと強化もできない。カードを入手するにはガチャを回さないといけない。より有利に進めようと思ったら、レア、スーパーレアカードが欲しくなる。となると、10連上級ガチャを回したくなる。となれば、課金アイテムが欲しくなるよな! なるほどなあ。よくできています。自分の贔屓キャラのカードをストックしておきたいと思ったら、カード所有枚数も増やしたくなるしな。それも可及的速やかに増やしたくなるものな。ええ、よくできていると感じました。

ゲームとしては面白い、そういっていました。難度は低め、といいたいけれど、イベントのノーマルプレイしたら即死でした。先は、先は長そうだ……。

ああ、そうそう、キャラクターの話。最初はね、黒髪縦ロールのシアンのビジュアルがガツン! ときたんです。でも、よくよく見れば、レトリーが金髪ツインテ眼鏡という3コンボ。さらに引きこもり傾向ありですって! 4コンボ達成。というわけで、微妙にレトリーちゃんに傾いております。はじめてのレアカードもレトリーちゃんでした。ああ、運命を感じますね!

2014年9月7日日曜日

『まんがタイム』2014年10月号

『まんがタイム』2014年10月号、昨日の続きです。

はこいり良品』、古書店対抗ビブリオバトルでありますよ。前回の続きですね。コンセプトは、人を通して本を知る、本を通して人を知るとのこと。けど、メインは後者ですよね。各店主の個性がこれでもかと描かれて、いや、みんな、自分とこの事情を押し立てすぎでしょう。特に三番手。どれほどの不幸にみまわれたというのでしょう。今回の優勝はまさかの青空古書店。じーちゃんの商魂が見透されてたってのがおかしかったです。

『ちょっと舞ってふわこさん』、ちょっと気にいっていますよ。ふわふわ浮いてる女の子、ふわこはなんとスポーツ万能だというのか。これは意外、意外でした。けど、この浮く能力がズルいといわれる、むしろ排除されてきた、そうした過去があるものだから、とりわけあゆむが苦々しく思っていて、ええ、ふわこのかわりにあゆむが怒るところ、こういうのがいいのだと思います。そして今回は、いつも自分を守ってくれているあゆむ、彼女に自分の好きなことをやって欲しい、ふわこがそう思うんですね。それでサッカー部の助っ人に推薦して、結果的に負けたんだけどさ、悔しい、次こそは、そう思う気持ちがあゆむにあると、ちゃんとふわこが気付いて指摘してあげる。ええ、ふわこがいつも世話をされてる、けれどそればかりじゃないっていうのがわかった今回。ふわこにとっても、あゆむにとっても、互いに大切にしたい、時には支えたい、そう思える友人同士なんですね。よかったですよ。

『ノコひけ!工業娘。』、I科の女子連中がいまさらですがヤバくって、加減とか限度とかないんですね、この子たち。木で作るとなると全部木製品で揃えたい。学校の実習でR18作品を作っちゃう。って、BL? そして皆さんご期待、植原桜のストーカー日記。強烈で、最高で、ほんと、面白いです。そして今回は、普段あまり活躍しない、すなわち大人しい面々、小林香、村主晴子が終盤の重要人物となりまして……、いや、すまん、普通じゃない、大人しくもなかった。いきなり枝ごといっちゃうんだ! 壁の修復がうまくいったの、そんなに嬉しかったんだ。極めつけはラストですよ。ウチらただのI科なんで。うわー、I科の普通ってすごいなー! ほんと、しびれました。まともな子はおらんのか。

『ひらめけスイッチ』、梶木ちゃん、なんて可愛いの! 体が硬いんですね、って、どんだけ駄目なの! 背を反らす運動、まったく反ってないっすよ、それ! だいたいですね、冒頭のやさしさってのから面白かったんですよ。けど、それはむしろ静の面白さで、それが一気に扉で動に転じる。ページめくれば、さらにアクションシーンまであるという。ほんと、おかしいやら可愛いやら、最高でした。岩名の平目に共感思えるところなどもよかったですよね。でもって、平目の体が柔らかい理由、あれが面白かった。姉ちゃん、最高だな。というか、この漫画、ちょっといろいろドキドキさせられて、いやもう、へそまで見えてる!? 私は岩名が憎い。憎いのです。

  • 『まんがタイム』第34巻第10号(2014年10月号)

2014年9月6日土曜日

『まんがタイム』2014年10月号

『まんがタイム』2014年10月号、発売されてます。発売日、昨日だったんですね。書店にいったんだけど、気付かなくて、書店さんも気付いてなくて、今日改めて買いにいきましたよ。表紙は行楽の秋でありますね。今は昔でしょうか、昭和の風物。鉄道の窓から弁当売りを呼び止めて駅弁を買う、そんな時代の風景であります。弁当売りが『おとぼけ課長』、列車の窓から手をあげて呼んでるのが『まりあ17』のまりあ、って、すげえマッチングだな。すごいよ。めちゃくちゃ似合ってるよ、ふたりとも。そして『わさんぼん』牡丹も登場。着物で、ホームに出て呼び止める? なんだか、ちょっとシュールな感じになってますよ。

大家さんは思春期!』、前田さんのハーレムが完成に近付いてきている……。帰ってきた102号室の住人、星谷捺美でありますよ。泣き虫どじっ子、ただし男。甘えたがりでペット系。いろいろいわれていたなっちゃんですが、キラキラさせて、花なんて飛ばして、そして前田にアタックですよ! よしきた、いいぞ! もっとやれ! 麗子さんは警戒してるんですけどね、チエちゃんには癒されるだけ、むしろ狙ってるのは前田なのかい? しかし、なんで? ですよ。前田ばかりがなぜモテる? ですよ。ほんと、なっちゃんとしあわせになってください。

鉄仮面のイブキさん』、素晴しいな。喜多くん、お姉さんがいるんですね。でもって、お弁当作ってくれるんですね。いいお姉さんだなあ。怒らせるとお弁当が貧相になる。なにやって怒らせたんだろう? なるほど、ドロ助、わんこを散歩に連れていくと怒るのか。伊吹さんが、喜多くん姉と仲良くなろうなんて考えるんですね。いや、もう、姉ちゃん、めちゃくちゃ面白い。人見知りなのか。伊吹さんのこと怖れてしまって、ほんと、なんか可愛い姉ちゃんだなあ。いやもう、今回は素晴しかった。キュートな姉ちゃん、ドロ助と遊ぶ伊吹さんの美しさ、そして男装伊吹さん。なんという凛々しさ! 美しさ! ほんと、素晴しかったです。ところで、喜多くん、モブとして認識されてるんですね。けど、いつかはビッグになるのかあ。

天子様が来る!』、「大冒険」の女の子、可愛いなあ! しかし、やってくれます。豪華な食べ放題、2本目2コマ目、作者の弟の名言ってのが、ほんと、ウェイターのいい笑顔もあいまって、しびれました。ほんと、弟ネタ、面白すぎてたまりません。

『ゆとりノベライズ』、おお、売れたのか。TW文庫でヒット。3巻はデカく、ドラマCD付けたりなんぞしてみよう。いやいや、すごいじゃん。あの編集さんの、自信持ってくださいといわんばかりの言葉の数々、しびれましたね。都の、気持ちがまだついていっていない様子に、その背を押そうという編集さん。このやりとり、実によかった。あと、この編集さんの都ゆとり好き好きっぽさがいいですよね。なぜそんなに着せ替えしたがるのか? そしてこのやりとりの直後に「コンビニへ」でしょう。これはやられました。都と里美のやりとりもまたおかしい。都が、ゆとりを失ってなのか、里美を挑発するかのような言動。ぐいぐいいきますね。里美ですよ。いい先輩だなあって思う。TWで売れてGLXでは売れないと焦る都に、きちんと向き合って、その作風とその強みを伝えてくれる。そんな里美がかっこよかったです。GXLの編集氏も同様に都のことを買っていると見えて、ええ、都、いいですよ。

『ツイてるベートーヴェン』、なんとも不思議な漫画です。よくあるクラシックファンってやつなのか? 音楽に合わせて指揮しちゃうみたいな、そんな話? なりきりベートーヴェン? と思ったら、霊媒体質の姉がウィーンでなんかを拾って帰ってきた模様。って、姉ちゃん、妹のクレジットカードを勝手に使うとか駄目だ! 犯罪だよ! だって私カード持ってないんですものー、とか、いやいやニコニコ笑いながらいうセリフじゃないっすよ! あ、カードを使ったんじゃなくて、カード番号を記憶させてあるネット通販のアカウントをクラックしたのか。いや、それも犯罪だよ! ニコニコ笑ってる場合じゃない。幽霊だかなんだかを拾って帰ってくるとかよりも、姉ちゃんの性格、モラルのなさが怖ろしいよ! といったわけで、運がいい、ツイてるお姉ちゃんと、ツイてない妹の私。うん、妹黄菜子の運が悪いのはわかった。確かに運が悪いのは事実なんでしょう。けど、姉がらみの問題は、運のよしあしじゃないよなあ。これ、姉ちゃんじゃなくてなんらかの霊、今回はベートーヴェンなのかい? そいつがやらかしてるって思ったらいいのかなあ。昨日の今日でピアノを買ってたりね、でもってそん時の姉ちゃんの表情見たら、姉の普通のそれではなくって、つまりこの傍若無人はベートーヴェンの仕業ってことなのかい?  とりあえず奇矯な姉ちゃんがいます、困ります、そういう話かと思ったら、そこにちょっとした恋愛の要素も飛び込んでくるんですね。なるほど、これ、姉ちゃんをきっかけに恋愛のどうこうが始まる、そんな感じっぽいですね。

  • 『まんがタイム』第34巻第10号(2014年10月号)

2014年9月5日金曜日

『まんがタウン』2014年10月号

『まんがタウン』2014年10月号、発売されました。表紙は『押しかけ時姫』、時姫をメインにして、上はセーラー、下は巻きスカート、独特の出で立ちに弓を持って凛々しくございます。そして他には『クレヨンしんちゃん』しんのすけに『居間には今外国人がいます。』の万希、『ちょい能力少女あゆむ』のあゆむ、『派遣戦士山田のり子』のり子の姿もずらり、華やかであります。

『押しかけ時姫』は、合戦を前に姫さま、意気軒昂でありますよ。学校で小山から聞いた。合戦の準備だ! 体育祭なんですね。時姫はすっかり戦と勘違いしていて、海斗の忠告も全然届かない。騎馬戦がある! いや、実際に馬に乗るわけじゃないから……。小山との会話もなんとなく成立して、なんとなくすれ違って、その塩梅が面白い。ええ、よかったですよ。二人三脚の解釈とか、でもって引っ張り回される小山さん! 最後にね、海斗からスニーカーを買って貰って、この時の嬉しそうにしてる姫が実にいい。ええ、姫、素晴しいですね。

『居間には今外国人がいます。』。万希、進級して中学2年生。あの個性的外国人たちとの生活にもすっかり慣れ、でもそれが微妙に納得いかない様子。ええ、これも思春期ってやつなんでしょうか。新しい自分を模索し、けどうまくいかなくて落ち込む。うん、そんな万希がいじらしくて、そんでもってちょっとちょろい。この子の、やっぱりちょっと子供なところ、それが美点だと思う。ひとり遊びに、そして進級祝いの大宴会。喜んでいいのかいかんのか、あの混乱している万希もナイスでした。

『涙の数だけ輝いて!』、直子のもとに届く脅迫状。恥ずかしい写真をバラまくぞ! って、半目写真! いや、これ、いいじゃん。なんか、いいよ。なんか逆に可愛くない? うん、いいよ。晴香がやっぱりいいポジションなんですね。身を引こう、そんなこと思う直子に、また逃げるのかと発破をかける。いや、直子以外段取りわかってないからって!? いや、どこまで本当なのか。ほんと、この真面目に向きあっていいのかいかんのかわからんところ、とてもいいです。エピソード通しての感想、それもとてもいい、ですね。直子を訊ねてやってきた松柳理瀬。自分のファンがやったことだと謝ってきて、そして、彼女もまたアイドルとしての再起をかけて活動しているんですね。いろいろあったけど、まだなんか不安もあるけど、でも同じこと目標にして頑張ってる仲間だって思えたりしたのかな、ええ、いい和解だったと思う。ピュアドールズの結束も高まって、高まって? わかんないけど、ええ、よかったですよ。晴香がとてもいい。

『大正乙女カルテ』、遠足なんですってよ。久しぶりに勉学を忘れて楽しもう、そう思ってる路乃が言葉の選択誤ったせいで、病に伏せってる、そんな風に勘違いされてるの、面白かった。かのとはなんか面白くないんですね。とにかく勉強したいから? いや、違ったんですね。兄に婚約者ができたのか。その婚約者に弁当を持たされたのか。それが面白くない。とにかく面白くない。この、不機嫌なかのとがなんかやたら可愛くて、夜になったら路乃のうちを強襲。兄妹げんかなのか。どっちも引かない、そんなふたりだから、なんか長引きそうですね。でもって最後のかのと、やっぱりいいわ。素直じゃないわ。

  • 『まんがタウン』第15巻第10号(2014年10月号)

2014年9月4日木曜日

スロウスタート

 花名、一ノ瀬花名はちょっと面倒くさい女の子。ちょっとのことで落ち込んで、自信なくして、内にこもってしまう。秘密がね、秘密があるんですね。友達にはとてもいえない。けれど心の中にずっと位置を占めている、そんな秘密があって、それが花名を少し重くしている。高校受験、試験の前日、おたふく風邪を発症してしまった。当然試験にはいかれない。だから本命は諦めて私学に賭けよう。その思いも消えてしまって、そうした花名の状況、大したことなんてない? いや、一大事だよ。花名の気持ち、痛いほどわかるよ。もう立ち直れない。そう思うのも当たり前。知り合いのいない場所でやりなおそう、そうなるのも全然おかしくない。ええ、ほんと、これ、衝撃でしたよ。

これ、いっちゃっていいのかな、ちょっと迷うんですが、自分の高校時代の友達にも、一年待った人がいたんです。そりゃ気も使いましたよ。けれど本人が明るくしてたから、なんでもないようにして付き合って、でも本当は影ではいろいろいわれたり、苦労もあったのかなあ。

もし自分がその立場だったら、その学校には通えない、そう思ったと思う。だから、花名のこと、思うと胸がずきずきする。いつかその秘密に発する不安やら後ろめたさやら、払拭される日がきたらいいな。そう思わないではおられない。ええ、花名、ほっとけないんですね。

花名、不安をともに通いはじめた学校で友達に恵まれて、十倉栄依子、百地たまて、千石冠、みんな個性的でマイペースで、いい子たちだと思うんですよ。花名のお世話になってる従姉、志温がその友達の話を聞いて安心する気持ちがわかる。父も母も、花名に対する心配が少し和らぐ、それもすごくよくわかる。ええ、いい友達に恵まれたね。一緒にいて楽しくて、花名が嬉しそうに過ごしている様子が見ていてとても安心できる。けど、だからこそなんだと思います。折りに花名の気持ちに射す影。彼女の秘密、それが花名にとって重荷になっているというそのことがひしひしと伝わってくる。その表情から、そのそぶりから、彼女の抱えている怖れが伝わってくる。心配が不安が流れ込んできている、それがわかるから、もうほんと花名、ほっとけない。

友達と一緒の時間が楽しければいいなと、花名の心配が和らげばいいなと、そう思う気持ちが折りに湧き出して、だから花名の両親、従姉にかなり近い位置から彼女のこと見ているのかも知れない。ほら、父がさ、母もだけど、花名にかける言葉がさ、なにげないんだけどさ、花名のこと思っているってすごくわかるの。こういう、ちょっとしたところに、その人の気持ち、思い、それを浮かび上がらせるのがうまいと思う。また、同じ浪人仲間といったらいいのかな? 万年さん、彼女の存在が花名にとっての救いに、また花名が彼女にとっての救いとなればいい。ええ、やっぱり花名のことを親身に思っている、そんな風に読んでしまっています。

親身になるのは、花名の存在が、ふわっとしながらも、そこに感じられる、そうした確かさを持ってるからなんだと思います。そして彼女を取り巻く人たちも、近しく感じられる、そうしたところがありますからね、花名、よかったなあ、そう思えるし、ああ、それが友達ひとりひとりが持って、確かにそうと感じられる魅力ってやつなのだろうなあ。ええ、皆が静かにしみじみとしてそこにある。そうした感触がとてもいい。とてもいい漫画なんですよ。

  • 篤見唯子『スロウスタート』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2014年。
  • 以下続刊

2014年9月3日水曜日

『まんがホーム』2014年10月号

『まんがホーム』2014年10月号、昨日の続きです。

『うちの秘書さま』は、七瀬と一緒にいくはずだった映画、それが仕事で駄目になった。それでごねるぼっちゃまが子供で子供で、メイド曰く仕事に嫉妬する新妻らしいですが、いやいや、子供っすよ、子供。しかし、メイド、いろいろ画策して、楽しそうです。プロポーズと勘違い、仕事に嫉妬するぼっちゃん見て楽しんでる。でもって、ぼっちゃん、会社にまでいくんですね。それで七瀬の様子を見て、随分考え改めたようで、けど、あの頑張るという決意ね、もうどうしようもなくってさ、七瀬の鉄拳制裁。いや、ほんと、ここに七瀬のがっかりした様がありありと現れていた、そんな風に思いましたよ。

『歌詠みもみじ』、久しぶりだ。嬉しいなあ。もみじの朝は川柳からはじまる。っていうんですが、もたもたしてるとお母さんが怒るのか。母かえで。いい感じにざっくりしたお母さんで、またもみじの川柳趣味にも理解がある、というか、これ母譲りなのか? 川柳を使っての母娘のコミュニケーション、面白かったです。そして父も登場。大学の教授なのか。ということは、川柳は父から? 母は父の教え子だった? しかし、父の川柳が酷い。セクハラ紛い、というか、まんまセクハラで、母のつっこみが唸る! 馬に船見るか乗るかで大きな差、こうしたものも面白い。ええ、今回もよかったです。

『そもそも受付嬢には向いてません!』、素晴しいな! 丸尾もこもいいんですけど、やっぱり先輩の竹さんがいい。扉の竹さんとかね、あの見守ってる、そんな雰囲気感じさせる表情がいい。ええ、ほんと、いい先輩ですよね。今回は、そんな先輩の歩み寄りがちょっと見えて、いつももこが引き込もってる机の下に入ってみたりね、なんか可愛い。もこと同じ業務なのに自分だけ太って悩んだり、それでもこの運動を取り入れようとしてみたり、って、人見知りになるのか! あのもこのリアクション、おかしくて実にいい。そして先輩渾身の丸尾の真似。最高だな! ほんと、もこも反省するほどなのか。素晴しかったです。

『マチ姉さんの妄想アワー』、これも素晴しい。今回は特に飛ばしてたなあ、そう思ったのは、猿蟹合戦以降ですよ。やめてよオジさん達ファミリー誌だよ、とか、博士モテないでしょ、さらには、浮気はするけどキスはさせない程度の気づかい、ほんと面白い。こういう俗っぽさ。わかっててやってる感。最高だと思います。かぐや姫の続柄なども実にいい。また夏の雪女も素晴しい。って、爺ちゃーん! あの下マツゲ2本の雪女も妙に可愛くて、こういう感触もまたいいですよね。

  • 『まんがホーム』第28巻第10号(2014年10月号)

2014年9月2日火曜日

『まんがホーム』2014年10月号

『まんがホーム』2014年10月号、発売されました。表紙のテーマは、楽器みたいですよ。メインにはエレキギターかまえて、ちょっとパンクな『らいか・デイズ』らいかです。ナバウサギの帽子被って、ちょっと可愛い感じに仕上げていますね。『スカートダーリン』から新宿さんは、制服姿のベーシスト。『まんがの装丁屋さん』はショルダーキーボードの律さんにタンバリンで間の手いれる事務所の面々。そして最後に『孔明のヨメ。』、琴を爪弾く孔明に笛を合わせる月英さん。この、いかにも苦手な感じがいいですね。

『孔明のヨメ。』は、郭嘉の塩と鉄の策を崩したこと。それが今後、どう影響するのか、そうした話を皆でしている。ええ、孔明は月英のことを心配し、月英はというと孔明のことを心配している。徐庶がですね、孔明を守るためにいろいろ講じてくれていたんですね。夜、孔明の故郷の歌を聞いて、その調べに胸を痛める孔明。そうした描写に、孔明の歩んできたこれまでを思わせてくれて、ほんと、これはこの先、より苛烈になる彼らの運命を予感させる、そんな描写ではあるまいか、なんて思わされたりしたのですね。そして最後に月英の発明品。おお、弾丸打ち出す筆! 007みたいだ。ええ、こういうのいいですね。かっこいい。

『200年の夜と孤独 — おひとりさま吸血鬼』は、月夜野さん死にかける、でありますよ。日中の日差しは、もう殺人的だという。その話を聞いて試してみた? 翌日、体調不良で月夜野さんがバイトを休むんですね。いや、試したわけじゃないんだけど、勢いよく雨戸を開けたら、殺人的日差しを全身に浴びてしまった。見事に包帯女です。しかし、これで確定しましたよ。バイト君と月夜野さん。ちゃんと吸血鬼であることを諒解してるんですね。これまで、適当に話をあわせてくれてるのか? それともちゃんと理解してる? 後者だとわかってすっきりしました。しかし、血でもって傷を癒やす。そうした様、目の当たりにしても動じないバイト君もすごいな。しかし、ほんと、バイト君、月夜野さんのいい理解者。ふたりの会話を見ているだけでも面白いですね。

『宇宙ファラオ☆パトラちゃん』は、テレビの夏休み特番、宇宙人は存在するのか!? に冷ややかな笑みでもって応えるパトラちゃんがいかします。まさか地球人は自分達が最高の知的生命体だと信じているのか? 確かに、地球人類を超えた科学力を持つ存在からしたら、滑稽極まりない話だろうなあ。なかなか納得させられて、いやむしろ小気味いい、そんな描写でした。けど、そんなパトラも自分の宿題となればまったくもって駄目で、というか、絵日記なのな。まあ、地球にきたの、自由研究とか、そんな話だったものなあ。おやつにスイカ。パトラの星では種まで食べる。これ、エジプトの風習に関係してたりとかするのかな? わからんのだけど、あの種をめぐるディスカッション。最後にはちょっと騙されたりする、そんな様子、面白かったです。

『敗者復活戦!』、古書店で働く人たちの話。徹夜でネット販売の荷造りとか、仕事とはいえ大変だなあ。けど、月穂、ずいぶん肝が太くできていて、呼び出しの電話が鳴ってるのに、それをあえて無視。部屋の外に電話機ごと追い出してしまうんですね。こういう、したたかなところ魅力的。明るく朗らか、素直なニーナといい対照を描いていますよね。ニーナもバイト申請が通って、正式に働けるようになって、けど今のところ、あんまりばりっと働いてる感じはないですね。昼はあんまり忙しくないんだな。帰宅すれば、ニーナの兄。ニーナのこと甘やかしてくれるんだけど、ニーナは自立したいと思ってる。今回は、そうしたニーナの仕事に対する意識、バックグラウンドが見える回でありましたね。

  • 『まんがホーム』第28巻第10号(2014年10月号)

2014年9月1日月曜日

アリノス☆ワンダーランド

 単行本で読み返してみると、すごいな、構成しっかりだ。ルリとみか、ふたりの女の子の同居もの。しっかりもののルリと甘えんぼのみか。いや、逆じゃないの? 甘えんぼのルリとしっかりもののみかの話ですよね? いえ、そのどちらでもあるっていうんですね。ふたりは子供の頃からの仲良しだったんだけど、いつのころからか立場が逆転してしまったというのです。昔のルリは凛々しくて、しっかりしていて、かっこよくて、みかにとっての憧れだった。なのに、なぜルリは変わってしまったの? 今はすっかりダラけてしまって、でもそんなルリがふとしたきっかけで昔を取り戻すことがあるんですね。なんとかして、昔のルリに戻したい。そんなみかと、なんとしても今の自分を維持したい、そんなルリのかけひき。それが実に見事、面白くてたまりませんでした。

いやね、みかがやばいんですよ。大人しくて常識人で、面倒見もいい、そんな子なんですけど、昔のかっこいいルリに出会うと、タガがはずれる。いや、一回だけか、でもあのみかは必見だと思う。どれだけこの子が、昔のルリのこと好きで好きで、憧れていたのか。それが端的に描かれた、そんなシーンだったと思うんですね。内気で引っ込み思案だった自分の手を引いてくれたルリに、友情を、憧れを超えた感情を抱いていたみか。それはみかの思い出エピソードの端々に語られて、そしてその気持ちは今もなにも変わっていないというわけです。だからこそ憧れのデキるルリに戻って欲しい。そんなみかの一途な思いは、果たして叶うのかどうなのか。

この物語は、昔のルリに戻って欲しいみかと、みかに甘えられる今の関係を維持したいルリの感情のせめぎあい。なにかのきっかけでルリは昔に戻る。けれどルリにとっての昔のルリとはどういうものであったのか。それが語られることで、だんだんわかってくるものがあるんですね。ルリは決して変わってしまったわけではない。むしろ、今、みかの前で見せているもの、それこそがルリのルリらしい姿ともいえる。なるほど、そうなのか。あの、凛々しくかっこよかったルリとは、ルリのまとっていた鎧であったのだな。そうとわかれば、わからなくなる。果たして、みかの望むように、かっこいいルリに戻ることがルリにとってしあわせなのか。ひいては、ふたりにとってのしあわせになるのか。それがわからなくなるんですね。

対立する願いを描いて、それをふたりともに納得いくかたちで決着させる。その道行が実に素敵であったのでした。ふたりの願い、それがなにに根差すものであるのか、どうした思いに発したものであるのかが、回を追うごとに次第に明らかになっていく。終盤で一気に向かう方向を明確にするところなどは、ああ、ついに、こんなにもふたりにとって望ましいところに着地点を見出して、本当に素敵な物語だったなって思わされたんですね。

ふたりの間にあったものは、ちょっとの誤解。必要だったものはちょっとの勇気だった。ふたつの問題がともに解消して、その先にあったのは、昔のふたりでも今のふたりでもない、これからのふたりの関係だったという、そこにこの漫画の最大の魅力と物語の醍醐味があった、そう感じています。