昨日の続きです。
『まんがタイムきららキャラット』2025年9月号、『ごきげんよう、一局いかが?』
時はバレンタインデー。日頃お世話になっている感謝の気持ちを表すため、贈答品を贈る日。冴も乃々花、純礼にお歳暮、じゃなかった、バレンタインの贈り物を贈って、またふたりの手作りクッキーを贈られてという、嬉しいイベントを楽しんでいます。
しかし千星となるとちょっと状況が変わってきます。皆が憧れる千星さま。皆が次々贈り物をしたら、トラックが満杯になってしまうに違いない。というわけで、千星への贈り物はなしという不文律があるのだそうですよ。
いつもなら千星もそれでよかったのです。でも今年は違った。どうしても欲しい相手がいる。それが冴! 不文律がため冴はプレゼントをくれないかもしれない。だというのに、文香にも真白にも贈り物して、これは悔しい! これはたまらないと、千星さま、策を弄しあそばした!
それは麻雀で勝ったらかばんの中身をぶんどる! もらったわけじゃない、奪ってるから問題ない! ものすごい理由をつけて対局するんですけど、こんな大事なときに冴が好調!? 乃々花のサポートも不発に終わり、ああ千星、泣き出しそうです。
と思ったら、ここで冴から贈り物。千星さまじゃないなら大丈夫かなって、こちらも無理な理由で不文律を掻い潜って、でも特別なふたり、特別な相手。こうしたやりとりもまた尊し。その、なんとしてもという気持ちもまた嬉しいものですよね。
『魔法少女は羞恥心で強くなる』
らいむからコラボカフェに誘われた真侑。さらにここにゆずも参加することになって、というのもノクタンが持ち込んだあやしい薬を飲ませるのが目的!? 人を従順にさせる薬。危険はないっぽいんですが、従順になった真侑はいかなる変化を見せるのか。素直に、従順になった真侑は脅威にならない。ノクタンの意図とゆずの願望が、ここに交わってしまったというのですね。
かくしてコラボカフェですよ。ゆずの差し出す毒入りドリンクを、なんら警戒せずに口にする真侑。ですよね、この素直さが真侑のよさですもんね。さらにはお姉ちゃん、らいむも一口飲んじゃって、ここからはじまる甘い夢の世界!
妹への思いをためらわず口にし涙ぐむ姉! からの、らいむへの感謝を言葉にしつつ頬を寄せていく真侑。ゆずにしては、たまったものではない。姉相手に嫉妬を隠すことができず、私とも写真をと真侑にせがんでみれば、いつになく密着してくる真侑。ああ、夢の時間ではありませんか。
でも、夢は続かない。ノクタンが乱入、からの変身した真侑に容赦なく攻撃を加えるノクタン。薬のせいで羞恥心をなくした真侑はまるで無力で、けれどノクタンを優しく抱きしめ、その角をさすりはじめる!
ここに嫉妬心を露にするゆず! 結局は、ノクタンは自らの策により破れることとなるのか。羞恥心を取り戻した真侑はノクタンを退け、すべてはなかったことに。でも真侑もゆずも全部覚えてるんですよね? ってことは、あの真侑に仲良くしようといわれた思い出は、いずれゆずを変えるのでしょうか? 少なくとも、ゆずにとってかけがえのない記憶になればいいですよね。ちょっとしたごほうびですよね。
『お花の妖精さん』
見場がおっさんそのもの、あまりにもビジュアル的によろしくないお花の妖精さん。
その真実が明らかになった後編。いやもうびっくりしましたよ。おっさん! あんた、本物のおっさんだったのか!
かわいい絵柄に、やばめのおっさんを混ぜ込むことで、とんでもない異化効果をもたらしたこの漫画。でもたとえ見た目おっさんでも、これがこの世界における妖精だというのなら受け入れるしかないのかと思い込んでしまっていたら、屋敷の主が一目で見抜いたように、これは妖精なんかではない。でも主はこのおっさんを咎めるでもなく、シオンを支えてくれたことに感謝し、見逃そうというのです。
いずれ弱っていくお花の妖精。今際の際に自分の真実をシオンに話した妖精、いやさただのおっさんは、シオンの花壇を美しいと思ったのは本当と告げ、そして最期に自ら美しく咲き誇るのでありました。
って、このビジュアルで、なんかわりかしいい話だよ!? 少なくともいい話だと思わせるような説得力持って、いや、つっこみどころも多いのよ? おっさん、埋められてからもずいぶん元気に長生きしたよね!? とか、いや妖精のふりしたことはともかく、なんらか助かろうとか思わなかったの!?
あまりに潔すぎる妖精のおっさん。その高潔さゆえに生まれ変わりも許されたのかもしれませんね。いや、ほんとにそうかな。なんか騙されちゃいないかな。ほんと、なんともいわれん読後感でした。
- 『まんがタイムきららキャラット』第21巻第9号(2025年9月号)