2020年1月13日月曜日

悲劇のUSSインディアナポリスを探せ

 Huluに近々くるというので昨年末から楽しみに待っていたドキュメンタリー『悲劇のUSSインディアナポリスを探せ』。この連休中に見ることがかないました。海底に沈んだ戦艦武蔵を発見したことで知られるポール・アレンのチームがフィリピン海海底で発見したインディアナポリス。なるほど、これは深海に眠る艦体を発見するまでの奮闘努力を描く、海底探査ドキュメンタリーだな。そう当たりをつけて、重巡インディアナポリスの来歴なども解説されたら嬉しいなあなど思いながら見始めたら、いやあ、まったくの見当違いでしたよ。メインは重巡インディアナポリスの来歴。撃沈にいたるまで、そして撃沈されてからも続いた悲劇的な物語が語られたのでした。

インディアナポリスで有名なエピソードは、日本に投下された原子爆弾の部品を運搬したというもので、そのエピソードについてもドキュメンタリー中で語られていました。当時の乗組員の談話によると、この任務が極秘であったのは乗組員に対しても同様で、鉛よりも重い物体、あれはなんなのかと艦内でも話題になったとかそういう話は興味深かったです。

そしてもうひとつのインディアナポリスの有名エピソード、沈没にいたる経緯とその後について。あらためて知ると、そのあまりの悲愴なることに、思わず涙ぐむレベルでした。

終戦間際の撃沈となったインディアナポリスは、その沈没したことが知られないまま、生存者は油の浮かぶ海上にてくるかどうかもわからない救助を待ち続け、助けられた後も、戦勝の喜びに水をさした、この不名誉の責任をとらせるべく艦長が軍法会議にかけられ有罪を宣告されるなど、散々な目にあうこととなり、とりわけ艦長の行く末などはたまらなく悲しいものであったのでした。

正直、米軍は、あるいはアメリカという国はフェアで合理的という印象を持っていたのですが、そうではないのだなあ。責任を回避したい軍の姿勢は、ドキュメンタリーの語りようもあるのでしょうが、やはり異質で、だってインディアナポリスを撃沈した潜水艦伊58の艦長を軍法会議に招集して、いかにインディアナポリス艦長が不用意であったか証言させようとしているとかね、戦争はとうに終わっているのに、不毛な責任の押し付けをしている。

こういう体面を守るために末端に責任押し付けるとか、日本軍の話聞いてるとしょっちゅう出てきますけどね、基本それがどの国であろうと多かれ少なかれあるのかと暗澹たる気持ちになれるドキュメンタリーでした。その後の、艦長の名誉回復のくだりこそは多少の救いではあったけれど、それにしたって遅すぎる。艦長は死んじゃってるんだものなあ。悲しさが薄らぐことはなかったです。

そもそもだいたいがこのインディアナポリス撃沈で、800人超が亡くなってるわけでね、それだけでもう暗澹たる気分になれる。これもまた戦争の悲劇であるなあ。心底そう思わされたドキュメンタリーでした。

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