2020年1月28日火曜日

『まんがタイムきららキャラット』2020年3月号

 『まんがタイムきららキャラット』2020年3月号、発売されました。表紙は『恋する小惑星』。みら、あお、すず、三人がチョコクッキーを作って、バレンタインの準備中? この服装、メイドのかっこうしてるのはスズヤベーカリーの差し金!? 手についたチョコ、ちょっとつまみ食いしてる風のみら、ちょこっと出した舌が可愛い、実にキュートな表情、素晴しいです。あおはなんだか緊張している様子で、これはがんばって作ったチョコレート、みらにどう渡そうかと思案している感じでありますね!

今月は新規ゲストが2本です。

『私の上司は中二病』

会社もので上司が中二病。なんかありそうでなかったみたいなところをさらってきた感がありますよ。

IT企業、企画開発部の部長が中二病。ウィステリアを名乗るも本名は結構普通で藤梅子。本名では呼ばれたくないっていってるの、梅子という名前が古風で嫌だったからとかなんでしょうか。同期で部下の、ええとこちらが主人公なのかな? 漆黒翼がその名前のせいでずっといじられてきて嫌だったというのと、方向性は違えど似た経験があるのかもなんて思いました。

しかしこの上司。ずっと騒いでる? 遊んでる? そんな風ではあるけれど、実際同期を置き去りに部長にまで昇格して、またその明るさ? 元気さ? ポジティブさで人気もあるってところ、これは実際読んでいてもなんだか愉快で、ついつい笑ってしまったりして、ええ実際わかる気がしたのですよ。

中二病ワールドなんていってるけど、自信たっぷりにみせてちょっと打たれよわい? そんなところがどことなく愛され系みたいに思えたところも好感でした。

『まちまちまぁち』

町のおもちゃ屋さん、そんな懐かしさみたいなの感じさせてくれますね。

おもちゃ屋まぁちの店長は、いろいろ駄目で、人気だからと際限なくプラモデル仕入れてしまったり、え? 人気だからいれたってことは、つまり発注ミスってわけではないんですね。ちょっと過剰で、これといれこんだら暴走しちゃう店長と、実質この店をしきっている店員、蒼咲のふたりが切り盛りするお店ライフ。最初はどうにも頼りなさそうな店長だったけど、お客がきて、これというおもちゃを出してきてから、がらりと変わったアクティブ感、ノリが出てきてよかったです。

今回のおもちゃはピンポンキャッチ。円錐型のラケットでピンポン球を打ち出してキャッチして遊ぶおもちゃなんですが、ああなんか昔やったことがあるような!

そういう、ちょっと懐かしさ感じたり、遊んで楽しかったこと思い出したり、ほのかに懐古的味わいあるところなど、昔こどもだった皆に通ずるそんなよさになりそうな感触がありました。

『mono』

おお、立山ダム。桜子の希望っていうんですが、ここで春乃のダムカレーリベンジがくるっていうのね、ああそうだよ、すっかり忘れてた! この執念、どんだけダムカレーを楽しみにしてたのかしのばれて、いきなりちょっと面白かったです。

しかし今回、なんだこのテンション。のっけからダム建設ドキュメンタリーにひっかかり、見事に感動。そこからはもうなに見ても泣く。というかずっと泣きっぱなし。おかしい! 記念写真も泣き笑いやんか君ら! ほんとおかしい。なんかおかしい。泣けば泣くほどこちらはおかしい。まったく不思議なテイストです。

とか思ってたらですよ、最後、ダムにひとしきり感情移入した果てに、泣き顔ばかりじゃもったいないっていって、みんな、笑顔の記念撮影するんですが、それがもう本当にいい笑顔で、あれ? おかしいな。なんでかここで泣けてきちゃった……。

不思議なノリを抜けたところに見えた、皆のすごく素直で自然な笑顔。そこになにかまっさらな気持ちのようなもの思ってしまいましてね、それがすごく胸にしみたんです。ええ、ほんと不思議な漫画。涙に笑わされて、そして笑顔に泣かされました。

『恋する小惑星』

あれ? なんかみらの様子が変です。あんなにやる気でいたのに、今日はどうにもぼーっとしていて、身がはいらない? いや、これ、違うな。あれだ、夜は星を見るから寝不足なのか!

いや、どうなんだろ。ただ単に座学が苦手なだけかも知れん……。

今回のクライマックス、夜の観測ですよ、あおが見つけた動く点に、小惑星かも知れない! そんな可能性見出して、一気に状況も緊迫。みら、あおたちもそうなら、読者である私もそう。一緒にドキドキしながら読み進めて、まさかここで念願の小惑星発見にこぎつけるのか!?

いやあ、ほんと、スリリングでした。可能性にかけて再撮影に臨み、しかしそれが既知天体と判明する瞬間。それまでの高揚した気持ちとあまりに静かで重い落着のコントラスト。自分の服を掴むみらの様子、表情こそは見えなくとも落胆しなかったわけがなく、けれどともに希望をも実感しているところ、これは感動的でした。

そしてきら星チャレンジも終了。発表にむけて資料をまとめる作業中、あおの活動が役立っていたこと、そしてチームの皆で記念撮影しようというときに、あおも一緒にと呼ばれて、皆で手をつないでジャンプ。ひとつの目標に取り組んで、ほんとに仲良くなって……。このくだりにも感動させられました。

ここに加えて、みらの気持ちのゆきついたところ。きら星チャレンジのみんなも地学部のみんなも、それぞれ好きなものが、得意なものが違っている。多様に存在する皆の世界がつながって広がる、そのダイナミズムに心が動いて、ああ、これこそがこの漫画の描こうとしていること、核になるものなのかも知れませんね。本当、素晴しい、そう思わせてくれる描写。みらの表情もまた素晴しかったのです。

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