2020年1月9日木曜日

『まんがタイムきらら』2020年2月号

 『まんがタイムきらら』2020年2月号、発売されました。表紙は『奥さまは新妻ちゃん』。初詣の情景ですよ。おみくじで小吉、それを振り返りながら見せてくれるその姿。おお、見返りの美人ですよ。落ち着いた着物姿もシックで素敵。ボカされた背景に浮かびあがる新妻ちゃんの、しっかりピントがあっていながら、くっきりしすぎずやわらかに背景に調和するような描かれようも、やさしくて、大変きれいで結構でした。

『星屑テレパス』

遥乃の秘密基地、灯台の地下だったんだ。遥乃の祖父が灯台の管理をしていた。その関係で、この秘密の部屋のことも知っていて、鍵も預っていた。ああ、これからはここがユウや海果、遥乃の活動拠点になっていくってわけですね。

ここからは皆で買い出し。必要な資材買って、お店から廃棄ペットボトルも貰ってと、ここで遥乃が大活躍するんですね。コミュニケーションに長けた仲間がいるの、いいなあ。と、ここで出会ったペットボトル大量回収してるお姉さん。お、この人、ペットボトルロケット作ってたりするのかな? なんか今後かかわってきそうな雰囲気ですね。

そしてここからは皆で遊ぶっていうんですが、いやもう楽しそう。こうして遊ぶのはじめてっていってる海果がしみじみと楽しそうで、嬉しそうで、これは本当によいひとときでした。そして雷門攻略の糸口発見? ああ、海果がいい表情していて、ここからの展開楽しみになる。続く雷門の様子との対照も際だって、期待も高まります。

『スロウスタート』

花名のお母さん、本当に面白い人だなあ。娘を驚かそうと黙ってきちゃったっていうんですけど、まさか合鍵忘れてくるとは。さらには加えて、今日に限って花名の帰りが遅くって、学校で友達と一緒に王様ゲームやっている。ここでのやりとり面白かったですよ。冠女王様の命令でたまてと栄依子が卑屈に振る舞ってる、まさにそのときに電話かけてきちゃって、しかも花名ったらスピーカー通話でうけちゃったから、こちらのやりとりも筒抜け。そしたら娘がね、はなちゃん様、花名様って、様づけで呼ばれちゃってるわけですよ。

そしてこれが続く万年さんの会話に関係してきて、この界隈で花名はVIP待遇なの!? ほんと、この誤解、面白かったです。準備万端いきとどいて、見事に花咲いた感あります。

そこからのトレーナーママさんとかも素敵。そして驚く花名。いやあ、いい表情でした。楽しい。ええ、こうした面白さに、親と子の関係見せてくれて心暖まる、よい話でした。

『さかさまロリポップ』

カラーがきれいだなあ! ふんわりとやわらかな色合い。コマの枠線も色つきで、緑と赤が交互にくるの、こんなの見たことないよ! いつもの原稿に色がつきました、っていうんじゃなく、もう根本から違ってきている。工夫だなあ。ほんと、これ、カラーで見られる機会、本当に貴重だと思います。

さて本編。柚希たちの調理実習風景。ここでの柚希大活躍ですよ。そうでした、この人、料理やお菓子づくり、うまいんでした。妹、詩月に頼まれて作ったおやつ。不評だった時代があって、工夫と努力で克服してきたそのくだり。ああ、柚希の調べて試してついにたどりついたってとこ、あれ、すごくよかったなあ。回想なんだけど、詩月とのやりとりと柚希の努力パート、同じ回想でも表現手法違えてきて、それが流れている時間の違い、時間の質の変化ともいっていいかも、それをしっかり見せてくるんですね。こういう工夫、見せ方、いろいろ、うまいと思います。

今回は他にも、芽依が語る詩月のよさ。あのコマ! 面白い。ここもまたなんか時間の流れというか質というか、違うと感じられますね。照れてなかなか口を開かなかった芽依だけど、一旦口を開いたらこんなにも滔々と言葉が流れ出す! いやあ、圧倒的でした。面白かったです。

『むすんで、つないで。』

ああー、どうしても大人の視点で見てしまう。いや、それはこの漫画にそういう視座がすでにあるんだと思う。小学生の視座、高校生の視座、教員の視座、親の視座。それが多層をなして、けれど重なりあって一緒になって、その自在さに荒井チェリーのたくみさを思うのです。

ものぐさが極まってるつなぐのところにやってきた路歌。花ノ子と苺の担任の先生で、その人が花ノ子の友人、同級生で幼馴染みでお隣さんであるつなぐに悩みを吐露する。こういうところ、なんかぐっときますよね。大人だって悩んでいるんだ!

それだけに、小学4年生組の楽しそうにしてるところがもうほんと見るだに嬉しく思わされましてね、ああ、この子たち、こうして元気にしてくれるだけでもうなんか満足しちゃうよなあ。とか思ってたら、やっぱり苺だけちょっと違うぞ? お土産のチョイス、その気配りというのか気を使うところ、いろいろ細やかだよ? とはいえ、ちょっとつなぐについては見誤ってましたけど。いや、だって、つなぐ、ものぐさがすぎるんだものなあ。

小学4年生と一緒に遊ぶ高校生のつなぐ。大きくなった時のこと話す花ノ子を見て、その時、自分は何歳なのだろう。この描写に、ちょっと距離を感じたんですね。花ノ子が帰ってきて自分の時間も動き出した。その表情はやわらかで、ほっとさせられたのですが、けれどこの一連のモロノーグ、まるでつなぐがもう花ノ子と同じ時間にはいないということも感じさせるようなところあって、この一抹の寂しさよ!

なんて思っていたら、おお苺よ、みんな同じだって、それぞれちょっとずつ違いがあるけど、同じ小学4年生なんだっていってくれて、これ、もしかして一番の年長者であるこの子、つなぐの寂しさを感じとって助けてくれたのか?

みたいに思わせてくれるところ。異なる視座の重なりとそれがまじわり一緒になる……。素敵な瞬間だと思いました。なんだか胸がいっぱいになったのです。

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