2022年7月31日日曜日

『まんがタイムきららキャラット』2022年9月号

 『まんがタイムきららキャラット』2022年9月号、昨日の続きです。

『恋する小惑星』

チカの姉との関係、うちにもどかしく思い悩んでいたこと、解消できたみたいですね。姉からの自立を望んでいる? いやむしろこの子の悩みは自分自身に対するもので、姉の影響で石が好きになった、地学部に入ったのも姉の影響だった。もしかしたら自分が好きなのは地学ではなく、姉が喜ぶのが嬉しかったから、それで後を追っていたんじゃないか。

自分の気持ちに対する疑いを抱いてしまっていたというのですね。

今回の地学オリンピック参加は、姉の影響から外れた場所で自分を見つめなおしたかったから。その成果、あったみたいですね。夜の自主的非公式ミネラルショーに高揚したチカ。そこで見せた表情は、自身思いもしない笑顔だったということ。好きなことに浮き立つ気持ち、それはまぎれもないチカの好きなことにまっすぐな姿勢ですよね。

ナナをはじめ、ユイやリオからもいろいろ言葉をかけてもらったチカ。ええ、しっかり前を向いて、好きなものに向きあえる、そんな気持ちを取り戻せたようなんですね。

こうして自分を振り返って、悩みを超えることができたから、姉に対しても好きという気持ちをまっすぐに向けることができた。ええ、この数日の経験はチカにとって実りのあるものだったようですね。本当にいいお話でした。

『ササエルの中には誰もいない』

ビーチのPRと聞いていたのに、海に出てみればゴミ袋を手に浜辺の清掃。清掃活動してる人、たくさんいるんだけど、ササエルの格好はさすがにちょっと浮いてますよね。というかさすがに仏頂面。そりゃまあ、気持ちはよくわかります。

そんなササエルを一発で満面の笑みに変えてしまうのは、我らが稲井茅。ああ、ササエル、身バレを本気で嫌がっている! しかし、ここから描かれる好意の錯綜。ササエルをダシにして茅の意識を自分に向ける千鈴、ほんといびつな感情だなあ! いや、まあ、茅からすれば千鈴は幼なじみでしかないんだもんな。クジベェくんやササエルにしか興味が向かないんだもんな。

さて、今回も身バレの危機を回避しながらササエルとしての活動もまっとうしなければならない小依。茅や千鈴への対応で、小依になったりササエルになったり、思わぬ早着替えするはめになってもう大変。でも、なんといわれようと小依は不在ですで通した方が身バレリスク低かったのでは? だって、どうやっても同時には存在できないんだからさ、不自然さが増すだけですよ、小依さん。いや、そうしてリスクを賢明に避けられると、今回みたいな面白さはなくなっちゃうんですけどね。

その後、ササエル、テレビのインタビューに応えたり、子供たちと交流してみたりと、PR活動もばっちり頑張って、マスコットキャラとしての使命、しっかり果たしていましたね。実はこうしたマスコットキャラとして頑張ってるササエル、結構好きなんですよ。

そんなササエル最大のピンチ。車内での着替え中、千鈴と茅にバレそうになった! からの、あの対応!? いやいや、無茶するなあ! いやほんと、なんかササエル、こういう展開多い気がする。小依、体張ってるなあって思いますよ。

『ニチアサ以外はやってます!』

特撮研が人手不足に陥った原因、それが判明しましたよ!

特撮研の皆で先代部長に会いにいくことになりました。祝黒兎。なんでもできる自称天才。自他ともに認めるとかいってますが、実際その才能は本物のよう。監督、脚本、音楽、造形、アクターなどすべてをやってのけていたらしい。と、それはいいんだけど、結局なんでもかんでも自分ひとりでこなしてしまって、部員は見事に置いてきぼり。ついていけないと、大量退部を発生させてしまった……。

でも、なんでもひとりでできる祝だけど、決して集団での製作を否定したりはしていないんですね。なんでも自分でというのはあくまでも自分のスタイルで、異なるスタイルも尊重している。とはいえ、自分が参加するとなれば他のもの全部押し退けてでもあれこれなんでもやってしまう。

ううーん、難儀な人だなあ。それでいて後輩から頼られるのは嬉しい。協力も惜しまない。いろんな感情、性質もろもろが、一緒くたに織り込まれてる、そんな感じの人なんだなってのが、素直な感想でありました。

博見が祝に協力を求めたの、あかねの気持ちを高めるために巨大セットを作りたい。ただいろいろ制約がある、その中で現実的な案として祝が出してきたのが強遠近。そのメリット、デメリットもともに提示しつつ、そしてきちんと勉強して理解することを皆に求めてくるんですね。

おお、すごいや、この人、相当な正統派。なんとなく生わかりで事を成すことを許さない。勉強を、努力を求め、そしてそれを自分自身にも課している。そうか、ただ才能がありますってだけじゃなく、そのベースとなる知識、理論の習得、習熟にも余念がなかったのだなあ。

いや、本当に強烈な人が出てきたものだと思います。特撮研メンバーはえらいこと振り回されていますけど、でもこれはきっといい勉強になってるのだと思う。今回必要となった強遠近だけでなく、学び、作る、その姿勢においても学ぶところあったろうなあ、なんてこと思わされる強烈な回でした。

2022年7月30日土曜日

『まんがタイムきららキャラット』2022年9月号

 『まんがタイムきららキャラット』2022年9月号、一昨日の続きです。

『ごきげんよう、一局いかが?』

冴に麻雀友達ができましたね!

お昼休みにひとり、アプリで麻雀をやってることをクラスメイトの千星に知られた冴。冴になのか麻雀になのか、いたく興味を持たれたようで、今日も冴のもとを訪れた千星。お昼を一緒することとなって、さらには麻雀についてもいろいろ質問を受ける。

あっさり負けてしまった冴。よほど凹んだか、今日はもう打つ気になれない? 千星にやってみないかと水を向けてみたら、たいそうお喜びになられて、冴のとむらい合戦とそれはそれは乗り気でいらっしゃるんですね。

ここから冴による簡単な麻雀講座。麻雀を知らない人にはいい感じ。で、この説明された範囲で、できるだけ頑張ろうとしている千星が実にいい感じでした。うっかり鳴くと役が作れない。うかつに捨てると振り込んでしまう。などなど、麻雀の基本的なところ、初心者がハマりやすいところをしっかりトレースなさっている千星。そんな彼女が、鳴かずに対対和ができそうと、ありえないこと口走って、いや、それは対々じゃない! 四暗刻だ!

っていうのもまた初心者にはよくあるケースだっていいますよね。わからないまま同じの3枚ずつ揃えていって、うまいこと和了れたらびっくりの四暗刻。和了れて嬉しいはないちもんめ、嬉しそうな千星のその気持ちの根っこ、和了れたからじゃない、勝てたからでもない、役満作れたからでもない、冴の仇討ちができたから! っていうのがすごくいいじゃありませんか。

なんか一度に距離の縮まったように感じられて、でもそれからのやり取り! まさかのマウント! いや、まあ、冴より強くなる可能性は否定できないレベルで充分ありえるよね。からの、冴の一緒に麻雀やりましょう宣言。負けず嫌いゆえの発言が、一緒に楽しみましょうのお誘いになってるの、いやはや裏腹。でもそのままならなくも、なんだかうまくいってる感じが面白い。

かくしてふたり一緒に麻雀する仲に。どんな具合に取り組んでいくことになるのかな。ほんと、次回くらいには千星が冴よりも強くなってたりしそうで、わくわくです。

『mono』

車載カメラのテストに出向いた皆。白樺湖に集合して、ビーナスライン経由で美ヶ原に向かうというのですが、景色がいいという撮影テストに適したシチュエーションに加え、道が悪いという、カメラステーの振動テストもできるという一挙両得ルート。ほんと、この目的を一度にかなえようとする合理性、あっぱれであります。

ずっとカメラの脱落を怖れてる春乃がいいですよね。あんまり心配なら、丈夫な紐かチェーンでカメラ本体とステーのどこかを繋いでおくのもありなのでは? クイックリリースが提案されていましたけど、だったらなおさら紛失予防のストラップですよ。

今回の目標、ひととおり達成したその先、美ヶ原でふたりを待っていた光景、一面の雲海というのもまたよかった。ええ、きっとこういう、すごい! っていうのが描かれるものと思っていたんですよ。それが見事こうして展開されて、ああ、見どころだ! 読者ながらちょっとした達成感覚えたのでありました。

『うさパン焼いて悪いかよ!』

いい話だった……。

可愛いものが好きながらも、自分には似合わないと頑として認めないちりみと、そんな彼女をパン作りに誘うタクマ。その関係が進展した今回。その進展するにあたってタクマが乗り越えることとなった事件。ちりみと他校の不良とのケンカの途中、見られてしまったちりみの手作りパンノート。それを馬鹿にされたことに、タクマ、ちりみ以上に激しく怒ってみせたというのです。

ケンカなんてからっきしなのに、ちりみの気持ちが馬鹿にされたことが許せない。ちりみが可愛いパン作ってなにが悪いのか。恐怖に震えながらも立ち向かって、一方的にボコられながらもちりみの可愛いを大切にしようとしたタクマの気持ちの強さ、真っ直ぐさ、これには感動させられるものありました。

ちりみのノートの存在を知った時のタクマの気持ち。どれほどに嬉しかったか、それだけに馬鹿にされたのが自分のことのように悔しかったかもよくよく伝わって、タクマ、本当に素直でいいやつだなあ!

そうしたタクマの気持ちがちりみにも伝わったか、あるいは身を呈して自分のことを守ってくれたことについての感情も手伝ったか、真っ赤になってしまったちりみ! いやもう、この子もすごく感情のあらわれやすい、純ないい子ですよね。いや、ちょっと素直ではないんだけどもさ! で、その感情の機微に気付いてあげられないタクマ!

このちぐはぐさもまた面白かった。

こうして3話できっちりしっかり、ふたりの目標の定まるまで、その気持ちの通じあうまでを描いてみせたところにも好感。いやもう充実の導入、読みごたえ抜群でした。

2022年7月29日金曜日

『まんがタイムオリジナル』2022年9月号

 『まんがタイムオリジナル』2022年9月号、一昨日の続きです。

『カントリー少女は都会をめざす!?』

夏といえば海、というわけで八重たち、皆で海へと連日繰り出すのですが、さすがに飽きた? というか、ちょろっと移動したらそこがもう海、思う存分泳げるし遊べるっていうの、絶好のシチュエーションなのでは!? と思うんですが、やっぱさすがに飽きるのか。あの、海がどんどん特別でなくなっていく表現、水着から普段着に変わっていくのがね本当面白くて、ああ、この子たち、というかこの土地の人たちにとっての海の距離感ってこんな感じなんだ、っていうのがよくよく感じとれたと思ったのでした。

それこそ、海水につかった服のまま家に帰って着替えられるってことでしょう? ええ、ちょっと旅行客には無理な楽しみ方ですよ。

このへんの浜は砂浜じゃなくて、たくさんの貝殻に埋め尽くされていうの、ああ、これビーチコーミングの絶好地なのでは? 和歌山、といえばビーチコーミング。でもこの子らも貝がら拾いやってますが、なかなかこれといった結果は出せてない感じ。やっぱりそれなりの知識ないしがないとうまくはいかんものなんだな。

そして八重の迷走? ちょっと遠くの海にいきますか。人がいっぱいいる海! っていうんですけど、いやいや、人がいない海、混んでない海の方が絶対よくない? いやほんと、大河とみなちゃんが曇ってますけど、いやほんとそうですよ、あえてコンディション悪いとこにいくなんて! でもさすがの八重も、どうせ時間かけていくなら都会の海より都会そのもの、人工物に囲まれたい。なんでもかんでも都会とつけばいいわけじゃないというのがわかって、なんだかちょっと安心しました。

『敷金礼金ヤンキー付き』

今回は水着回!? といいたいけど、あんまそういう色気とかなにかは感じない。むしろ真夜の迷走回。日焼けに憧れてアパートの屋根に上がったら、梯子が壊れて降りられなくなってしまった……。というのですが、日焼けするのに競泳水着? なんか微妙な柄よ? 特攻服ならぬ特攻水着? ともあれ、それ、顔と腕、足くらいしか焼けへんやん! それになんならガレージとかベランダでよかったのでは!?

といったような常識が通じるようなアパートではなかった。日に焼くなら太陽に近い方がいい→屋根の上! みたいなすごい短絡があったに違いないんですよ。

アパートの住人、大家総出で真夜救出作戦を練るくだりです。普通に考えたら警察なり消防なりに通報して助けてもらうのが筋ですよね。という、この超正攻法を大家が提案! 真夜に拒否されてしまうわけですが、まさか最短で正解に辿り着くとは、しかも大家がですよ! 実に意外な展開で正直驚かされました。却下されるんですけど。

次に現実的な案、二階の共用廊下に降りるというのも却下。で、ここからどんどん現実味がなくなっていくんな! いや、これ、真夜、助からないのでは!? どんどん不安になっていくやつでしたよ。

酷かったのが風船案! いやいや、これがゲームならいけたかも! もうちょいってとこで、鳥に割られてしまうみたいなやつね。次の案、背の高い佳に背伸びさせる。いやいや、届かないから! 本当にがっかり案が続いた末の諦めやっつけ案が、布団の上に飛び降りろというの。それにしても布団の量、少なくない!? というか、これを二階の共用廊下案と折衷させたらよかったのでは!?

いや、二階の廊下に飛び降りたら、衝撃で廊下が落ちるまであるな。ドリフのコントみたいだ。

ともあれ、自棄になった真夜の飛び降りと、それを見事に受け止めてみせた大家の活躍! 大家、ここぞという時にはやってくれる! ほんと、大活躍だったんですが、頼りになるところを見せつけて真夜の信頼獲得、みたいになるかと思ったら、大家、マジ怒りじゃないですか! まあ、怒るの当たり前ですけど、それでもちゃんと見捨てず体張って助けてくれるところ、怒りながらも結構妥当なアドバイスしてくれてるところ。ヤンキーたちから一目置かれているだけあるなあと思わされたのでした。

『オネェの恋のはじめかた』

桜子の残念感、これでもかと畳み込まれてきますよ! 勉強の次は料理。自分で作ってきたというお弁当。どうにも異質な音をたてる卵焼き。おいしくできたと嘘をついても、あからさまに駄目そうという。このほんとに残念な感じ。凪はあえてそれを受け入れて動じないわけですが、いや、これ、よっぽどでは!?

対して時宗はというと、さすがですよね、お弁当自分で作ってきてるんだ。男子高校生とは思えぬ彩り豊かでコンパクトなお弁当だな! いやでも、時宗、なんでもしっかりこなせてしまうの。地力があるってやつだと思うのですが、本人、きっといろいろ努力してるんだと思う。家事でもなんでも家族に甘えない、そんな自立心があるとか、あるいは家族に頼れない理由があるとか、そういうなにかがあるのかも知れませんね。

さて、桜子が時宗に料理を教わることになりました。はいいんだけど、卵の割るところからなの!? そりゃそうか。ここがクリアできてたら、あんな異音はしない。卵の扱いが駄目なところで気づくべきなんでしょうが、当然計量スプーンの理解も駄目。ほんと、調理実習とかどうしてたの!? いや、これも勉強がアレなところから推察しておくべきだったか……。

でも、頑張る気持ちがあるのはいいですよね。そして見事にほだされる時宗。かくして完成を見た卵焼き、途中から時宗のためにと思いながら作った、というので見事時宗も報われることになったと思ったところでその仕打ち! いや、これ、凪なら表情ひとつ変えず食べたはず!

まだまだ修練が足りませんよ、といいたいけど、不意打ちはつらいよね。時宗は頑張ったと思います。

2022年7月28日木曜日

『まんがタイムきららキャラット』2022年9月号

 『まんがタイムきららキャラット』2022年9月号、発売されました。表紙は『ばっどがーる』。優をはじめとしたメインどころ4人が芝生に寝転んで、ああ、青春感じさせるワンシーン! と思いきや、ついてる吹き出し、その台詞が実にさわやかでない! 念願の表紙を喜ぶ、ここまではいいけれど、なんとかして一年間くらい居座れないかしら。いや、気持ちはよくわかる! でもそれをこうして言葉にしてしまうその面白さ。ちょっと現金で、ちょっと図々しくて、で、それを気にしないふたりと、なんか気まずそうな表情してるふたり、その対比がまたおかしかった。ええ、表紙から笑わせにきます。

今月は新規ゲストが2本です。

『迷子のお星さま』

流れ星に出会いを願った天川せいらのもとにやってきた謎の少女セリカ。今しがたの流れ星なのかな? と思ったら、いつも空からせいらのことを見守っていた? ということは、たまたま流れた星じゃなく、せいらのもとに向かって流れてきたということなのかな? あるいは星はすべての人を平等に見守っている。いやどうなのでしょう。このあたり、いつか語られたりするのかな?

帰れなくなったセリカを自分の家に招いたせいら。このセリカという子、さすがお星さまというべきでしょうか、地上の世界についての知識がちょっとおかしくて、それもこれも持参のガイドブックがすべて悪い。お金の重要性を説くのはよいとして、必要とあらば強奪してもよいとなると、ちょっといろいろ問題が……。ええ、この本をなるたけはやくセリカから引き離さないと事件に発展しかねない予感がしますよ。

一緒に街に出て、買い物を楽しんで、というか、セリカに高い服を買わされて、わりとせいら散々な目にあってません? その後もクレープ屋を襲いそうになってるし、ええ、ここでもっと強引にいったら強盗になるところだった! と、こんな具合にいろいろ大変なセリカだけれど、せいらはそれでも仲よくなろうという気持ちがあるようで、しばらくふたり一緒に暮らすことになるんですね。

セリカ、この世界のいろいろを知っていくことになるんでしょうか。そして、セリカの存在がせいらにどのような影響をおよぼすのか。その相互作用に注目ですね。

『茂林堂コーヒーハウス』

樹々の合間から双眼鏡にてコーヒーハウスを観察する女の子。この店を訪ねて、はるばる四国から上京してきた。東京を知りたい一心で、四国はぽんぽこ山から出てきたというのですが、なんとこの子、野々原こまき、正体はタヌキなのだそう。

タヌキたちが、人の社会に溶け込んで営んでいる喫茶店。それが茂林堂。店長の茂守はこべ以下、店員みんなタヌキというこの店に、住み込みで働くことになったこまき。まずは今夜の歓迎会に臨みます。

歓迎会では緊張のあまり、あいさつのメモを落としてしまって大変なことに。なにをいったらいいものか、わからなくなって焦ってしまったところを、店の先輩、餡堂きなこに助けてもらって事なきを得ました。

このふたり、これからもいいコンビになっていきそうですね。そしてこの自然とともにあるような喫茶店、この店の癒しの情景。そうしたものも魅力になっていきそうです。

2022年7月27日水曜日

『まんがタイムオリジナル』2022年9月号

 『まんがタイムオリジナル』2022年9月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』。なんかいつになくゴージャスじゃない!? 山下さんと花ちゃんが水着にて登場。なんだろう、ふたり、すごいコントラストだな。元気溌剌快活といった印象の山下さんに対し、ゴージャスファビュラスエレガンスな花ちゃん。本編よりもずっと濃密に妖艶さまとってる! そんな印象に驚きです。『冷めないふたりのひとりご飯』はレイカ、武蔵が水着で登場。ふたりのお揃いの水着、本編扉でもしっかりアピールされてましたね。今回は水着は水着でも、ふたり組というテーマなんでしょうか。『小森さんは断れない!』、『らいか・デイズ』もふたり一緒での登場で、えっと、らいかのこれは耳に入った水を抜いている? やたらひょうきんなポーズになってるらいかがいい味出してます。

今月は新規ゲストが1本です。

『慧都様にはお見通し!?』

冒頭の説明から、探偵ものなのかな? 学園に起こる事件を華麗に解決する慧都お嬢様? とか思ってたら、びっくり、全然違うね、これ!

いやもう驚き。お嬢育ちが災いして、プライドばかり高くなってしまった慧都お嬢様。クラスメイトの誘いも素直に受けることなく木で鼻をくくるようにしてあしらって、なのに凝りずフレンドリーに話しかけてくれる梓さん、この子は天使かなにかか、聖人なのか!?

梓がたこ焼き食べにいこうと誘ってくれたんですね。慧都はけんもほろろの対応で、でもたこ焼きはちょっと気になる。いったいどんな料理なのか? 知らぬ食べ物、たこ焼きへの興味はやむことがなく、そこへ執事忠佑が煽るもんだから、慧都も後に退けなくなって、どんな料理かわからぬままにたこ焼き調理に挑戦することに!?

って、忠佑、完全に面白がってるよね? お嬢様が全面的に悪いとはいえ、ノーヒントでたこ焼きを作ることになってしまって、ああ、これ、あれだ、ずっと前にNHKでやってた『妄想ニホン料理』的なやつだ。ええ、まるで予想とは違った展開をして、ほんとびっくりでした。

今回は二本立て。前半で慧都の人となりを知らせつつ、ノーヒントたこ焼きに挑まねばならなくなる自業自得状況を描いて、そして後半では材料だけ用意してもらった状態でたこ焼き調理に挑む。妄想ニホン料理ほどかけ離れた料理にはならず、さすが慧都様の推理力? 材料や器具がヒントになったとはいえ、ここから正しくたこ焼きに辿り着くのはさすがでした。

これ、毎回こんな具合に、慧都の自業自得でノーヒントチャレンジみたいな展開になっていくのでしょうか。正しくゴールに辿りつくのもありだけど、大失敗するのも面白い。いや、きっと慧都様のことでしょうから、見事正解なさるのでしょうね!

『おしかけツインテール』

花梨、受験前日ですよ。ホテルに泊まり、翌日に向けしっかり休む。まさかこの状況で大きなミステイクがあったりはすまいな! いや、ほんと、よかった、大丈夫、これという失敗もなく、ええ、これまでしっかり準備して、迷ったり悩んだりもあったけどその都度しっかり乗り越えてきた、そうやって成長した花梨だからこその落ち着き、安心なんだろうなって思わされて、いやほんと、なにごともなくてほっとしましたよ。

でもこの状況の花梨に訪れるピンチってのがおかしい。テレビでやってる映画、地球に迫る隕石は実は鮫だった! シャーマゲドン! ってのがあの手この手で花梨の眼前に展開されるのがおかしくって、あのイラストがいかすよね! でもIQ下がりそうっていうので花梨必死に抵抗! いやもう、ここからのダブルヘッドシャーマゲドン! サテライトシャーマゲドン! どんどんエスカレートする鮫の脅威がおかしくって、いや、でも、この映画に興味を持った花梨、そのことを知らず花梨におすすめしようとしてくれている俊郎。なんだかんだわかりあってるぽいところ、よかったですよね。

今回は試験前夜の情景。次回こそが試験本番!? ええ、花梨、頑張るんですよ。しっかりその実力を発揮するのですよ。

『ローカル女子の遠吠え』

うお、ここでもたこ焼きか。しかも変わりたこ焼き。卵焼き用のフライパンででっかいの作って切り分けて食べるのね? あの球形のとはまた違う仕上り、味わいがありそうで、ちょっと試してみたくなる。あ、うちにはたこ焼きのプレートありますよ。だからそれで普通に作りゃあいいんですけど、でもこうして見せられると試してみたくなっちゃいますよね。

今回は特別編で、秋津クッキング回だったのですが、秋津さんのフラストレーションの原因、男はみんな美人が好きっていうやつね、これには一言申し上げたい。そりゃまあ美人は好きだけども、桐島と秋津なら、秋津の方が美人じゃない? 秋津の方が可愛くない? いやもうほんと、秋津は美人だし可愛いし素敵だし、だから桐島のあざとい振る舞いなんて真似ないで! 品位が落ちちゃう!

いやもうほんと、今回は秋津の魅力ほとばしって名作、誰もが秋津を好きになる、好きにならずにいられない名エピソードでした。

『となりのフィギュア原型師』

飯塚イスカが声をかけた原型師。おこめ、半藤の師弟コンビに触発されて、自分も弟子が、仲間が、パートナーが欲しくなってしまった模様。それで、今やってるイベントで対戦した相手、三々沢みみにアプローチしてみたっていうんですね。

高身長の控えめ女子。可愛いとテンションあがってる飯塚ですけど、ここでちょっとした見誤り。なんとまあ、三々沢って女装男子なんですね。フィギュアの面相に入れ込むあまり、自分自身の面相をも完成させてしまった。その情熱。やりだしたらとまらない、とことんまで追求してしまうところ、みごと飯塚の眼鏡にかなったみたいですね! ええ、悩みや葛藤もあったれど、ふたりの相性、なかなかに悪くなさそうですよ。

しかし、三々沢が男と知った時、飯塚の脳裏に浮かんだこれまでの嫌な思い出! これ、すごかったな。ほんと、どんだけ嫌な目にあってこられたの! ねえ、飯塚、したたかに状況を自分有利になるよう運ばせるような人だと思ってたんだけど、そうじゃなかったんだ、苦労してきたんだ。申し訳ない、申し訳ない……。そんな思いにとらわれてしまったのでした。

今回明かされた飯塚の特殊能力、おこめセンサー。三々沢におこめと似たものを感じるというのですが、これ、やりだしたらとまらない、とことんまで追求してしまう、そうした性質についての反応ですよね? そしてそれは飯塚の次の対戦相手、朝倉ゴーレムにも感じられて、というのですが、ああ、飯塚、朝倉に負けちゃった! かくしておこめ、おこめ先生のなにかという朝倉ゴーレムと戦うことになるようですが、これ、やっぱなにか新たな局面? みたいの見えるんですかね。なにか、予想もしないところで、おこめらしさとおこめらしさがぶつかる! そんなことになったりしそうな予感です。

2022年7月26日火曜日

『まんがタイムきららフォワード』2022年9月号

 『まんがタイムきららフォワード』2022年9月号、昨日の続きです。

『巴マミの平凡な日常』

マミさん、高所は別に平気では? と思った冒頭。VRゴーグルを同僚から貸してもらって体験中だというのですが、この人がプレイすることになったホラーゲー。迫る大量のゾンビたちを迎え撃つ、そんなシチュエーションに苦戦していたマミが、銃を入手した途端に歴戦の戦士としての勘を取り戻すっていうのがおかしくって、これ、あれだ、退役軍人にサバゲやらせるとめちゃ強い、みたいなやつだ。

ほんと、この人、ぱっと見はだらけたお姉さんですけど、中身は間違いなく歴戦のソルジャーなんですなあ。でも日常でその技能が必要になること、ほぼないですよね。その、ほぼないはずの機会がこうしたゲームであるわけですね。

しかしただゲームやるだけじゃなく、キュウなあいつの介入で、どこか微妙におかしくなったマミの認識がさぐられたりすることになるの、面白かった。そうか、魔法使えるのが当たり前になりすぎてるんだこの人。それはもちろん誤った現実認識であるわけですけど、ゲームやらせると肌感覚で魔法やなにかに馴染めて強かったりするのかも。いや、むしろ制約あるぶん、ゲームだと不自由だったりするんかな。

特定部位にしか当たり判定のないボスに苦しみながらもしっかり攻略していくの、攻略情報なしの完全自力クリアしてるわけですけど、これなんかもう完全に魔女とのバトルの経験が生かされてますよね。めちゃくちゃ難度が高いといわれてるこのゲーム、一日でさくっとクリアするとかね、マミさん、この人、ソルジャーとしての資質をゲームに生かして、そちらでの成功をはかるのも可能なのではないか!? 例えばeスポーツ、あるいは配信。きっとマミさんにその気はないから今のままの平凡な日常が続くわけですが、ゲームソルジャー・マミという新しい可能性に夢広げてしまいますね。

『最果てのともだち』

人としての綺夜は死に、幽霊となったキヨ。彷徨った末に辿り着いた学校、学級崩壊するクラスにて、孤独に授業を続ける先生と出会い、そして先生の辿った運命……。前回、今回とこのところ続いているキヨの過去編。いったい彼女は何者だったのか。なにを求め、なにを得られずにいたのか。その思い残しをこうして説明されることで、この子の成仏に至る道も見えてくるように思います。

ずっと誰かのためになりたかった。悲しんでる人を救いたかった。自分の生まれてきたその意味を確認したかったんですね。そしてそれは人の根源的な欲求だと思われて、それだけに、悲嘆にくれるキヨに共感を覚えるものも多くあるのではないでしょうか。

そんなキヨの願ってやまず、なれど叶わずにいた思い。それがようやく叶うかと思われたのが、アサヒ、彼女と過ごした時間だったのですね。けれどその時間は失われ、絶望に沈むキヨの悲しさ。ともにあるという先生の思いこそが彼女の数少ない救いであったのか。

そう思われた時に、あの旧校舎へと向かうアサヒの姿。ああ、これがよい方向へと向かわせるのか、あるいは否か。その行く先、怖ろしいながらも一抹の希望を抱いてしまいます。

『先輩、ちょっといいですか?』

そうか、先輩はいつも妹とそんな特殊しりとりをして楽しんでいらっしゃるのか……。

さて、そんな先輩に不知火零からかかってきた電話。なにごとかと思ったら、突然の停電に不安になったとのこと。しかし電話はすぐに切れてしまい、ああ、電池切れ! 充電しようにも停電してるんだからどうしようもない! モバイルバッテリーとかノートPCがあったらなんとかなったかも知れないけど、まあ、持ってないんだね。ケーブルを挿しても充電されないスマートフォンを前に、状況把握できずにいる不知火の姿が、本当、この子の混乱してる様をよく伝えてくれました。

この子、停電が駄目なんだね。

ひとり屋敷にて震える不知火のもとに文字通り駆け付けた先輩。その行動はあまりに無鉄砲、招かれもしない屋敷に踏み込んで、どこにいるかもわからない零を探して、家捜ししたんだね。でも、今の不知火にはこれくらいしてもらってちょうどよかったんだと思う。突然の先輩登場に、安堵の表情を見せた不知火。そこからの先輩に対する感謝の気持ちを明らかにしていくくだり。それがとてもよくて、さらにネガティブに流れていくところで、一旦区切りをつけて仕切り直そうとする先輩の判断。素晴しかったと思う。

以前からもうその傾向はありましたが、今回は決定的だったかも知れませんね。不知火の先輩に対する、自分でもこれとはっきりさせられない気持ち。それがここまでかたちになってきた。けれど、不知火、意識してしまって先輩にちょっといいですかと聞きにいけなくなってしまって、ええ、大きな動きだと思います。ちょっと目が離せない感じです。

2022年7月25日月曜日

『まんがタイムきららフォワード』2022年9月号

 『まんがタイムきららフォワード』2022年9月号、一昨日の続きです。

『スローループ』

ひよりの船出ですよ。エンジンをかけ、漕ぎ出していくひより。湖の空気、雰囲気を満喫する小春とは対照的に、まったく余裕がないっていうのが、面白いっていったら申し訳ないなあ、でも免許取りたてで操船に苦労してるのがね、ちょっと大変そうで、けれどきっと大人になったら懐かしく思い出したりしそうだよね。なんて風にも感じられて、よいなと思ったのでした。

魚群探知機で当たりをとって、停船、狙っていくもまったくかからなくて小春がキレてる! いやいや、もうちょい余裕持っていこう。ひよりは釣りとなれば余裕出てきますよね。もう慣れたもの。大きいのがかかった? と思ったら、いやこれはスレ掛かりでは、からの大物ヒット確定。そこから徐々に寄せていって、小春渾身の取り込み。あぶなく湖に落ちそうになった小春をぐっと抱えて支えるひより、かっこよかったです。

大きなニジマス。小春も狙おうと頑張るんだけど、ハリがはずれて逃がしちゃってね、いやもうそんなにも悔しかったの!? この子の感情がよくよく現れてくるところ、ほんと魅力的ですよね。

今回描かれたこと。父ふたりの側では娘との関係、自分は父として合格だろうか。そうした悩みが語られていて、そしてひよりの発案でペア交換。ひよりは、操船に長ける恋の父に小春を託したい、その思いからなのでしょうが、これが父娘の関係になんらの答を導きそうと思わされて、ええ、恋の父、小春ペアが船上にて気づくこと、語られること、それがどういうものになろうというのか。期待が膨らむのですね。

『球詠』

熱い試合展開ですよ。ずっと変化球を見送り続けてきた新越谷。その作戦が球審という環境に働きかけて、これまで甘くとられていたボールが、厳しく判定されるようになった。ここまでが前回でしたよね。そして今回はというと、新越谷の見せた変化が描かれて、ボールと判定されることを嫌い、ストライクゾーンぎりぎりに入ってくるようになった園川のスライダーを、続けざまに打っていく、その躍進ですよ。

突然打たれはじめた園川に、美学キャッチャーが動揺。なんとか2アウトに追い込むも、1点を返されてしまい、さらにそこからも粘る新越谷。

ここでの園川降板、黒木に交代するという展開は、まさしく芳乃の望んだもの! 芳乃の狙いとはなにか。この交代に賭ける芳乃の意図、それが判明するのは次回! ほんと、この逆境において、いかに活を見出していこうというのか。いよいよ描かれようとする新越谷の逆転劇。こんなの、引き込まれないわけないじゃないですか。ええ、本当に引き込まれるようにして読んでいます。

『追風のジン』

マサムネさん! あなた、男性だったのですか!

いや、冗談じゃなくて。結構本気で女性の可能性を捨ててなかったんですけど、まさか本当に男性で確定で、いやまあ、びっくりした。

ともあれ、侍のマサムネと忍者のジン、本来相容れないふたりですが、ついに共闘と相成りましたね! 灰尊商隊のニンジャから逃げてきたココロに説き伏せられて……、いや? 説き伏せられて? いやまあいいや、ともあれココロの説得に心動かされたマサムネが、本来自身が取り締まる対象である忍者との共闘も決意させた。

ジンと共に灰尊忍者たちと渡りあうマサムネ。いやもう、こういう展開、期待されたものが期待した以上に提示されてきて、いやもう最高ですよ、わくわくしますね。ジンがピンチとなればマサムネがカバーする。その返礼とでもいおうか、マサムネ所有の忍具、月虹に風の力を付与し、かくして見事決着にいたる流れなど、まさしく見せ場でありました!

その戦闘の様子、ふたりの連携が引き出した強さが見事に描き出された今回。ユザワ村の危機もこうして回避され、マサムネとジンの間にも信頼が芽生えはじめることに? そしてスパナが唐草お届け隊に参加! やっとこさといっていいのかな、物語の中核を成すメンバーがあるべき場所に落ち着いた、そんな感じがしましたよ。

序章を抜け、いよいよ本格的に世界の秘密、あるいは物語のテーマに踏み入ろうとする段階に入った。そんな感触があったんですね。

2022年7月24日日曜日

『まんがタイムきららMAX』2022年9月号

 『まんがタイムきららMAX』2022年9月号、先日の続きです。

『今日の授業は恋愛です!』

転科を考えているしらべ。しかし、そこにはどこか思い悩んでいる節があり、その迷いとはなんなのか。それを探るべく、皆で合宿の買い出しをしつつ、機会あらばしらべを元気づけようとするさがりたち。こんな状況でなかったら、私服が可愛いね! とかいってはしゃいで楽しいエピソードになったろうに、けれどやっぱりしらべ、どこか心ここにあらずで、そしてひとり姿を消してしまうのですね。

先にホテルに戻ってる。しらべのメールに躊躇を覚えるさがり、その腕を掴んだなとせの頼もしさですよ! さがりにしかできないことを、当のさがりがやらないでどうするの。そうしたなとせの気持ちが痛く感じられて、ああ、この子はかつて自分が思い悩んだ時にさがりがしてくれたこと、それを今も大切に思っているのだろうなあ。それだけに、似た状況にあるしらべのこと、心配して、さがりにいってあげてほしいと思ったんだろうなあ。

思えばこの子たちはもともとさがりを奪いあう関係で、ライバルだったはずなのに、今ではこうしてさがりを中心にしながらも、ともに、互いに思い心配しあう友人になっている。その関係もまたこの子たち特有のスペシャルなものと感じさせられて、いいなあって思うんですね。

そしてしらべの事情。ずっと自分の本音を表に出してこなかった、どこか一歩引いているようなところのあったその理由、生い立ちについて語られました。しらべ、ずっと自分に近しい誰かを求めていたのでしょうね。わかってくれる人、知って自分を認めて、側にいてくれる誰かを求めて、ついに出会えたと思った相手、それがさがりだったのでしょうね。

ええ、しらべ、とてもいい笑顔でした。いやもう、えらいこっちゃですよ。いやほんと、普段クールな子がこうして表情崩すとドカンときますよね。

『妖こそ怪異戸籍課へ』

手の目の伊織ちゃんが里帰り! ということで睦子に課長に他多数、一緒にくっついて伊織の田舎、岩手にゆくのですが、実家での伊織が素晴しいですよね。いつもしっかりしてる。そんな子だけに、こうしてその年頃らしい表情、甘えたしぐさなど見せられると、なんだかほっとする。だって、ずっとお母さんにべったりなのよ? いやもう、かいらしいなあ! こうした母子団欒の様子見るだけでも充分満足してしまいそうな回でした。

さて、今回はコミカルな要素多めで、このところちょっとシリアスに寄り気味でしたもんね、バランスとってきてるのかな? 家事能力の低さをやけに取り沙汰される課長とか、相変わらずの饗子とか。と思ったら夏生は生来の真面目さゆえか、ほのぼの強めの今回においてもやっぱりシリアス担当といった具合で、でもそんな夏生に伊織の母が話してくれたこと。そのおかげあって気負いがとれた、そんな感じがありましたよね。ええ、夏生にとってもこの旅、出会いは意味のあるものになったんだろうな、なんてこと思わせてくれるものありました。

そして睦子に対する伊織の母の言葉。そのままでいてくださいというの、いずれ妖怪と人との関係に変化の及ぶこと予測なさってるのかな!? 手の目の力で、占いみたく未来におこることを察されたのかも知れませんね。

かくしてほのぼのだけというわけでもなかった今回。でもそれでもほのぼの強めと感じられたのは、いつもよりもリラックスして打ち解けてといった雰囲気が強かったからかも知れません。皆の私服? カジュアルな姿もまた魅力的で、伊織に夏生、それから饗子の格好、新鮮味あってとてもよかったです。

『桔香ちゃんは悪役令嬢になりたい』

いやあ、もうめちゃくちゃ面白いですよ。イトちゃんについての桔香の誤解。妹たちの見ているテレビがやかましくて好かん。皆から人気のチンパンジーのトミー君のことも好きじゃないんだって、イトちゃんがツナギやアオイに話してるところ、部分的に桔香に伝わっちゃって、これがまあ大きな誤解を引き起こすわけです!

いやまあ、桔香さん、この子すごく自己中心的な振る舞いしてるっぽい感じありますけど、実際にはまわりの皆に気を使いまくっていたり、あるいはむしろ自信がなくて、打ち拉がれてくじけて落ち込んで、みたいなことも多いでしょう? そのネガティブな部分が全開になってしまった! よりにもよって、大好きなイトちゃんから距離置かれちゃってる! うっすら思ったりしちゃいそうなところに、言質いただきました! みたいになっちゃって、いやいや、それ誤解よ? でも一度こうと思い込んだら決してそこから抜け出せないのがこの子なんだよなあ。

というわけで、桔香さん、めちゃくちゃ空回りするんな! いやもう桔香ちゃんらしいんだけど、やること極端で、いきなり水浴びてきたりとか、尋常じゃない! イトちゃんとの距離が近づくその度に水かぶりまくるもんだから、しまいには教室の床に水たまりできてるじゃん!

すごいよなあイトちゃん。この奇行を前にしても、基本揺らぐことないポーカーフェイスなんだぜ? ある意味、桔香の奇行慣れしちゃってるんだろうなあ。

そんな桔香とイトちゃんの和解。熱出して寝込んだ桔香のこと見舞ってくれたその時に、あれはチンパンジーの話だよって誤解解いてくれて、でそこからのハグ切望、あまりの桔香の切実さにイトちゃんも応じてくれて、ああ、イトちゃん、優しいなあ。どこまでもクールに振る舞おうとしてるイトちゃんの照れ隠しと、帰り道ひとりで思い出して熱くなってるその頬。いやもう、すごくいい子だと思いましたよ。

ふたりの関係。時にこうしてこじれる? みたいなことあっても、ちゃんとふたりの仲はいいんだって語られるところ。いずれもっと大きくなった時には、もっと自然に互いの大切に思いあってること、前提にした関係になったりしちゃったりするんかな、みたいに思われて、ええ、とてもいい話でした。

『リリカお嬢様に振り回される!』

リリカお嬢様が振り回すのは永野限定なのですか!?

雇用主の意向で、ちゃんと休暇を取るようにといわれた永野。いやまあ、有休消化率とかちゃんとしたとこだと気にしますよね。ええ、永野の勤め先がちゃんとしたとこで本当によかった! 

急遽、永野が一週間ほど休むことになったと聞いてうろたえるのがリリカなんですね。代わりの家政婦さんがきます。永野は完全にいなくなります。ここで側にいてっていえたらいいんですけどね、リリカ。でもそれがいえないのがリリカなんでしょうね。わがままを通すところ、その方向性が間違ってる。自分のこともっとかまってって、甘やかしてって、そういえたらいいんでしょうけど、意地でもそういうことはいわない。ええ、素直じゃないんですよね。

ヘルプできた中村さん。ベテランの方だ! この屋敷での勤務経験もあるというので、いろいろ任せて安心って感じなんですけど、リリカは見事に人見知り発動しちゃって、思ったこともいえなくなって、永野相手だと憎まれ口もぽんぽんいえるのにね、中村相手だと不快に思ったことがあっても口にできない、イライラも飲み込んでしまう。好きも嫌いも苦手も、いつもみたいに押し切れない。

リリカ、ついには元気なくしちゃって、そうか、この子、本当に永野じゃないと駄目なんだなあ。永野にならいえる、永野だからわがままも通せる。それはつまるところ、永野にしか甘えられない、ってことなのかも知れませんね。

そんなリリカの永野を迎えた時の様子。やっぱり憎まれ口なんですけど、ええ、やっと口にできたじゃないですか、そういう鬱憤晴らし。この子はこの子で永野に気を許してるんだ。でも、同じ気を許すなら、もっと素直に甘えたい気持ちとか、永野ひとりじめにしたい気持ちとか表に出せたらいいのにね、と思ったりするけど、それはどうしても無理なんでしょう。でも、今回はちょこっとだけでも言葉にすることができた。ええ、大きな一歩ですよ、リリカお嬢様!

この子も、今はまだ難しいかも知れないけれど、いずれ自分の抱える気持ちもろもろに整理つけられるようになったら、なにか大きく変わりそう。その時には永野との関係もまた違った感じになりそうだなって思えて、それがなんだかちょっと楽しみなんですね。

2022年7月23日土曜日

『まんがタイムきららフォワード』2022年9月号

 『まんがタイムきららフォワード』2022年9月号、発売されました。表紙は『ほうかご再テンセイ!』。メルアと詩織、学校の教室にいるふたり、こちらの世界なのに異世界での姿でもって登場。手にはオルタナフォン。これもまた放課後の情景、みたいな雰囲気あるイラストですよ。詩織のとこにメルアがやってきて、そしてふたりの視線はこちらに向いている。そこには誰がいるのだろう。机よりも低い位置から見上げる視線、ということは猫なのか犬なのか、そんな小さな誰かが画面のこちら側にいる。そんな小さな誰かに変身している、そんな読者の視点なのかも知れませんね。

今月は新規ゲストが2本です。

『宇宙の彼方に咲く花は』

遠い未来のこと、人が住むには向かなくなるまでに環境が悪化した地球から旅立つ船に乗る少女たち。

本当は地球の再生に力をそそぎたかったユジュ。かつての地球の姿を知ることが制限されているこの世界で、情報の管理をする一族の末裔であるユジュは、映像や画像に記録されたかつての地球の姿を見知っていて、それだけに地球の環境保全に対し熱意を持っていた。なのに、父の意向で惑星アキビメに向かう移民船に乗り込むことになってしまった。

ユジュよりも閲覧できる情報の多かった父が知っていたこと。娘を生き長らえさせるためには、娘から誤解を受けようともこうするしかなかったことが後に語られて、すなわちこの移民船こそは父にとって娘の将来を繋ぐ希望であったというのですね。娘が船内で見つけた、地球ではもう咲くことのできない生きた花。その花を新天地にて植え、育てるとメッセージに乗せ伝えてくれた娘に対する父の気持ち。はからずも、父娘の約束の果たされることとなる縁、それがこの漫画の物語としての核だったのですね。

しかしいずれ花とともに地球に戻るつもりであった娘と、その思いの叶わないことを知っている父との気持ちの距離。そこに、事実をあえて伏せていた父の思いの丈が隠れているのだろうな。もう存在しない希望でも、娘からその夢を奪いたくなかったのだろう、そうした気持ちの感じられるようなお話でした。

『ひなことぺろ二郎』

すげえ。いかれた世界が帰ってきた。かつて『あいらいく俳句』にてきららフォワード読者を渾沌と感動のるつぼに落とし込んだ骨抜きチキンが、原作者として帰ってきた。

それが『ひなことぺろ二郎』。最初絵柄が違うのでそれと気づかなかったのだけど、読み進めていけばそのテンションやら展開におけるノンストップ感とか、それにぺろぺろしまくるハムスターの圧やら娘の妊娠に感涙する母の圧やら即帰宅からハムスターに対する殺意丸出しにする父の圧やら、そのあたりに骨抜きチキンの風合い確かに感じられて、すごいな『あいらいく俳句』もこの絵柄だったような気がしてきた。いやもう、狂気とほのぼのの奇跡のコラボレーション、相容れぬ感情の交錯する不思議世界に圧倒されてしまいました。

しかしほんと、あの頃の勢い、そのままに帰ってきた感が強く、これからもこの勢いのまま読者を振り回しながらぶっ飛ばしていってくれるんじゃないか。そんな期待があって、第1回目にては誤解を通じて父母の33歳娘に対する望みなど読み取るとともに、娘のコンプレックスや鬱屈などもまた感じられるところ。今後の波乱の種もまた撒かれているなあ、そんな風に思われたのでした。

2022年7月22日金曜日

今日は休みます

今日は休みます。

2022年7月21日木曜日

『まんがタイムきららMAX』2022年9月号

 『まんがタイムきららMAX』2022年9月号、昨日の続きです。

『瑠東さんには敵いません!』

今回はとことん和村ちゃんが可愛い回でしたよ。

いったいどうした巡りあわせか、1時間目から4時間目まで、ぶっ通しで自習! 最初は浮かれてゲームをしたりらくがきしたり、さらには昼寝したりとやりたい放題にしていた和村がですよ、4時間目にはもうやることがなにもない!

いや、そういうことってあるのん!? 1時間目に消費したスタミナがちょうど回復してる頃じゃないのん? といいたいけれど、和村本人がないというのだからしかたがない。しかしなぜこんなにも暇なのか。その問に対する答がですね、そう! 瑠東がかまってくれないからってね!

いやもう、今回は和村の瑠東大好きがこれでもかと押し出された、そんな回でありました。

きっと瑠東は自分のこと焦らして楽しんでるのに違いない。そう思い込んでからの感情の揺れ動き、とんでもない動き方していない!? いやもう、それは尋常でなく、で結局は瑠東は課題に夢中で和村どころではなかったという落ち。ああ、ほんと、今回ばかりは和村の一人相撲でした。それだけに、この子の瑠東に対する気持ちも溢れ出て、ええ、それもちゃんと瑠東にバレてよかったですね。ちゃんと通じてますよ!

『コンビニ夜勤あくまちゃん』

うわ、ほんとにコンビニ勤務って大変だよなあ。自分も昔コンビニで働いてたことあったのですが、今ほどサービス内容が肥大化していなかったし、それに24時間営業店でもなかったので、それこそ夜中に一人勤務みたいな地獄を味わわずにすんだのですが、ほんと今のコンビニの扱ってる業務内容の幅広さったらね! それに要求される仕事量も半端じゃなくて、いやほんと、アルール頑張ってますけど、本当だったら時給千いくらとかじゃあ報うことのできない、そんな仕事だと思いますよ。

そんなアルールの受難ともいえるエピソード。一緒に働くはずだったタダが病欠。ヘルプも見つからなくて、かくしてアルールは深夜のコンビニにてワンオペをする羽目に。そこからの大変さ! ええーっ、都会だから? 夜中にそんなに行列できちゃったりするくらい客入りがあるのん!?

見るに見かねてイレイナが人の姿にバケて手伝ってくれるんだけど、うわー、見た目には可愛いけど微妙に対応しきれてないぞ。それこそ返本や廃棄の裏方作業をイレイナに任せれば? みたいに思ったけど、これどうもイレイナはやり方知らないっぽいな。かくして裏方作業もアル、接客もアルといったように、どうやっても手が足りないみたいなことになってるんですね。

あのしゃべらないお客さんのくだり面白かったですよね。言霊を対価に悪魔と契約したに違いない。そういってふたり納得してたら、去り際にありがとうですよ。ほんと、このやり取り、アルとイレイナの見込み違いや意外さに驚くその様子もよくて、ええ、これ、ちょっとした心の交流ではありませんか。

そしてアルール、この子は本当にいい子ですよね。翌朝の交代時、もうひとりの朝勤務が病欠! というのを聞いて、我らが手伝うと申し出るんですね。ワンオペのつらさはよくわかっている。わかってるからこそ、誰かがつらい目にあうのを放っておけない。ええ、この共感し助けの手を差し延べる姿。素晴しいものありました。

『ななどなどなど』

うわー、丸まって泣いてる小町ちゃんが可愛い……。って、いや、これ、なにがあったの!? 喧嘩なの!? と思ったら、どうもそうではないっぽい。そうか、るるにスイッチが入ったのね。負けず嫌いのスイッチが入ってしまったんですね!?

スマートフォンを入手して嬉しいななどが、急遽お泊まり会を企画、皆をお誘いしてしまいました。憧れのお泊まり会に浮かれるるるに萌、ここまではいいんですよ。ちょっとテンション高めに、みんなで遊べるようにってゲームもいろいろ持ち寄って、こうした様子は本当に見ていて微笑ましい。

でもゲームとなると勝ち負けはっきり出ちゃうでしょう。そうなると小町ちゃんがね……、ほら、残念なことになっちゃう。カードゲームで速攻ふてくされてるでしょう? 引っくり返っちゃってね、文句ばっかりいっちゃってね、でもそれがなぜこんなにも可愛いのか。最高だと思う。

でもって、問題はこれから。お風呂に入って、夕食もすませて、そしてここから大乱闘するタイプのゲームで対戦だ、ってなるんですけど、ああ、これはあかん。ななどはまったく知らない。小町ちゃんは動画見てわかってるつもりになってる。るると萌は昔やったことがある。こんな感じに練度に差があるわけですけど、いや、あのゲーム、格ゲーに比べると操作がわかりやすくて簡単! みたいな触れ込みだけど、全然そんなことなかったよ!? 位置どりとかまるでできないし、技も全然当てられないし、場外に出たら復帰とか初心者には絶対無理! いやもうだから、小町ちゃんがこうなってしまうのもしかたないと思う。いやほんと、勝てないゲームは面白くないよ。というか、このゲーム、ハンデ設定があるから、それオンにしよう。いや、ハンデありで勝っても、るるの気がおさまらないのか。いやもう、このゲームはミスチョイスすぎでしたよ!

で、案の定負けてくやしい花いちもんめ、小町ちゃん、ななどの素直ゆえに切れ味鋭い問い掛けに泣いちゃってね、ああ、小町ちゃん、どれほどにいじらしいんだろう。で、ここからやることが小学生の男子かって妨害プレイなのね、いやさ、それ、友達なくすから! すぐさま、るるからガチ叱責受けて、心底呆れられて、というか、るるさん、勝負事となるとほんと人が変わっちゃうよなあ! いやもう、かつてこれほどまでに緊張感溢れたエピソードがあったろうか。こんなにもハラハラさせられたことあったろうか。

ちょっと過去になかったような緊迫感に、身も細る思いでありましたよ。というか、現場の空気を想像するといたたまれん。

でもだからこそ、るるの悲願が叶って、皆ほっと安心と達成感のうちに和解にいたったラストがよかった。ほんと、心の底からよかったと思いました。

『SAN値直葬!闇バイト』

ほんとヤバいよ、このバイト。最近、黙々と書物を読み耽っているこよ。熱心だねと話しかけたら、その口調からまるでこよのそれではなく、いったいなにごとか。ああ、なんてこった、前回も無事死亡して蘇ったこよ。ちょっとした手違いで、違う人間、ヘンリー・アーミティッジと入れ替わってしまったのか。

じゃないよ! こよちゃん、ヘンリーのドクロに入ってもうとるんか。いやもう、おっさんのドクロと対話するあかりがシュール。でもヘンリーが話のわかる人でよかった。可能なら戻してほしいといってくれて、かくして一件落着かと思ったら、まだ落着しとらん! 次に再びこよが死亡してはじめて入れ替わりが発動するんか。いや、SAN値が限界に達して死ぬのはその魂がこよだからで、おっさんの魂だとどうなのか。意外と抵抗したりせんのか。いやもう、これ、よっぽどヤバい状況なのに、あかりがすっかり順応しとる……。

おおう、あかり、あんたこそが怪異そのものであるよ。

しかし今回もまたヤバい案件が向こうからやってきましたよ。普通の人とあかりが勘違いしたお客さん。お求めはネクロノミコンだというのですが、えらい金額提示されて、一度はうろたえたものの、交渉が無理となったら躊躇いなく銃弾でもって思いを遂げようとするのね!?

店長死亡? そしてあかりも!? と思ったら、やるじゃん、ショゴス。見た目はキモいが、ボディーガードとしては一級だ! ここからの取っ組みあいと、見た目のヤバさ! 気持ち悪さ! すごいな、すごいよね。そして食えない店長と、続き課せられるミッション。

いやもう、店長の強欲。重ねて強欲かつ異常な順応見せるあかり。繰り広げられるカオスに、視角に訴えるグロテスク。異色なきらら漫画、相当な密度で押し寄せて、気持ちを掴んでなりません。

2022年7月20日水曜日

『まんがタイムきららMAX』2022年9月号

 『まんがタイムきららMAX』2022年9月号、昨日の続きです。

『こみっくがーるず』

かおすちゃんには考える暇を与えちゃいかんのだな。寮のみんな、仲間のその後を見ては自らを振り返ってしまうかおす。進学したり仕事したり、皆それぞれに頑張っている。なのに自分はなにもできていない。学業なし、連載も勝ち得ていない。と、こうして自信をなくしては原稿のクオリティを落としてしまう……。

ほんと、この子、なんとかならんのだろうか。誰かうまいことこの子をちやほやしてさしあげて!? そう思っていたら、くりすと美姫がかおすを訪ねてくれました。

うまく流行の波をつかんで乗っていくくりすと、かおす同様にアンケートにいい思い出のないという美姫。ふたりのこの違った個性と思い悩んできたこと、それらがかおすにうまく作用していくところが実によかったです。というか、ふたりの意見、その悩みに触れて自分のやるべきことに気づいた! みたいな展開じゃなくってさ、意見の食い違いの果てにわかりあって抱きあう、まではいってないか、でもふたりの心の通った状況に興奮してるかおすがね、いやもう、ほんと面白いというか、頼もしいといっていいものか、とりあえずよかったーっ! そうか、こうしてかおすのテンションがあがるイベント発生させれば、この子はきっとぐんぐん能力発揮して伸びるんだ!

でもただテンションアップで乗り切ったわけじゃない。くりすと美姫、連載を持ってる先輩としてではなく、負けてはいられないライバルとして認識するようになってるかおすの気概。ああ、この子も変わっていきますね、成長ですかね。ええ、編沢ならずとも、うっと感動覚える瞬間でありました。

『お姉様のVな事情』

カンナがVチューバー神酒シズクのファンであることを知ったミユキ。しかしこれでスランプに陥ってしまうというのが、らしいというか難儀というか、ほんと迷走してしまっています。

自分の配信を見てくれている人たちのこと、意識したことがなかったんですね。それまでは頭の中になかった視聴者、しかしそれが具体的な像を結んで、こうなればもうなにも考えずに好き勝手やるなんてできなくなってしまう。なにを求められているのか、どうアピールしていけばいいのか、すっかりわからなくなって、ただあいさつすることさえできなくなって、ええ、見事な迷走ですよ。

これ、自分を演じているミユキに戻ってしまってるんですね。誰かの求めるワタシを演じてしまう。そのくびきから解き放たれる場所、それこそがVチューバーの活動だったはずなのに、そこでも求められるシズクを演じようとしてしまっている。

そこに光明をもたらしたマリナがよかったと思います。Vチューバーとしての活動を手伝うことになって、憧れのミユキの裏面も知ることになってしまったマリナの、けれどたとえ想像していた憧れからはほど遠い現実のミユキを知っても変わらなかった気持ち。その思いがあるからこその言葉だったように思ったのでした。

けど、安心したのか大酒食らって、そして復活のやりたい放題神酒シズク。早速カンナが無茶な投げ銭してますが、この配信にまさかのマリナ映り込み!? シズク汚いオッサン説に激震走るのでは!?

ほんと、この動揺、その行方。どう決着させるのか、あるいはしないのか。ミユキ、マリナのみならず読者も予想外の境地に放り込まれそうな予感です。

『白魔導士はゾンビの夢を見るか?』

黒魔導士を自称する女の子、サタナキア。本名サキは兄フジオとともに車でこのゾンビはびこる世界を旅しているんですね。その子サキが見掛けた自転車に乗った女の子たち。我らがアヤ、そしてリルーなわけですが、温泉施設に入っていった彼女らから、しゃべる謎の杖を奪うだなんて画策しているんですよ。

うわー、ピンチなのでは? ジジ様、この子に連れ去られちゃうの!?

いや、可愛い庇護者、ペロにほだされて盗むのはやめてくれたようですよ。よかった、サキちゃん、悪い子じゃなかった。

このほのぼのとした人たちのやりとりが楽しい漫画。ですがその根底にはかなり厳しい状況があるということ、今回もまた意識させられることとなって、いやもうこれやっぱりちょっとつらい! サキが黒魔導士を自称する理由。あるいは魔法に憧れを持っている理由、その切実さに見事にやられてしまって、サキとフジオは父母を失っているのですね……。

思えばアヤもそうでした。明るくふるまってはいるものの、父との別れを経験している。そうした過酷な状況に生きる彼女たちにとって、リルーが見せたレサナの奇跡は、悲しみを払い状況を打破しうる、そんな希望にも感じられるのかも知れないと思わされて、その奇跡に望みを繋ごうとするサキの心情に痛く揺さぶられるものあったのでした。

すこぶる明るい、それゆえに時に垣間見える、苦難に立ち向かおうとする思いのいじらしさがぐっと心を掴んでくる。その塩梅、見事だと思います。

『ぬるめた』

最近のくるみは、ちあきの改造に頼るのではなく、自分自身の持ちあわせた能力発揮させていろいろやらかしてくれるみたいなこと増えてきましたね。今回がまさにそんな感じ。突如、早口言葉に開眼したくるみの引き起こすドタバタ。いつもの面々、ちあき、しゆきにさきなも最初の話題にこそ乗って一緒になって早口言葉に挑戦していたものの、終盤となれば当たり前に離脱して、くるみ残して帰ってしまう。

うわ、なんと、そうか、くるみさん、結構スタンドアロンだ! 自立なさってるんだ!

みたいな驚きというか感動ありましたよね。

クラスに早口言葉が得意な子らがいたんですね。かがり、それから照井。なんか早口言葉に四苦八苦取り組むさきなや、見事な才能披露するくるみの様子見て、面白そうと参加してきた、というかかがりと照井は仲間から背中押されてきただけか。ともあれ、この3人で競い合う早口言葉。まさかここでくるみが超絶早口領域に達するとかね! いやもう、くるみの可能性ってなんなんだ!

でも今回描かれた可能性は、くるみはちあきたちと一緒でなくても大丈夫なんだってことなんじゃないかと思います。放って帰られてしまったくるみ。この子が、教室に残ってた子たちと一緒に帰ろうとか、ファストフード店に寄ろうとか、そういう交流の幅を見せてくれたところ、自由な関係性が描かれたところ、それがなんかすごくよかったなと思ったのでした。キャラクターが自立している、自由に振る舞うことができる。硬直した人間関係の中に留まるのではない、そんな可能性を見たように思ったのでした。

そう考えれば、前回のさきなもそうでしたよね。そして今回も、帰る途中で少し交流してみせたちあきとれお。全然話題は広がりませんでしたけどね! でも、こうしたところにもまたちょっとした可能性が感じられて面白い。ええ、なにかしらの発展があったらきっと楽しいだろうな、みたいなこと思ってしまうのでした。

2022年7月19日火曜日

『まんがタイムきららMAX』2022年9月号

 『まんがタイムきららMAX』2022年9月号、発売されました。表紙は『ななどなどなど』。これがもう素晴しい表紙。海で? 遊んでいる小町ちゃんとななどなのですが、まずもってななどが溌剌として無邪気ないい笑顔見せてるのがいい。そしてその手前に描かれた浮き輪で浮かぶ小町ちゃんが素晴しい。小町ちゃん、美人よね。髪に、手にハイビスカスをあしらって、その華やかさにまったく負けない美しさじゃありませんか。額にかけたサングラスもまたよく似合ってる、いやもう、素晴しいですよ、小町ちゃん。でもなんか表情がちょっとこわばってらして、頬には冷や汗? これ、暑さのためでも水がはねたわけでもなさそう。ええ、自分に向けられた視線に対し、ちょっと緊張なさってるようです。いやもう、そうした細やかさも最高です、小町ちゃん。

今月は新規ゲストが3本です。

『おきゅいん!』

疲労困憊限界OL、白玉せりなが辿り着いたのは今日オープンしたばかりというメイド喫茶。呼び込みに導かれるままに入店したのだけれど、まあお客がいないのね。新規開店ではなく、店長の趣味と思いつきでメイド仕様に改められたというのだそうですが、ということは、基本もともとのお客はいるっぽい。でも新装開店してからはずっと閑古鳥。と思ったら、店長、ライオンの覆面して客引きしてたの!? それだ! それだよ、お客がきてない理由!

キャラクターが明るくて、動きと表情にめりはりもって見せてくれるところが大変よかったです。椅子ひっこめるの足でやっちゃったり、一番あどけない? あすかが早速ライオンマスク装備してみたりみたいな、そうした言動に魅力感じさせてくれました。

オムライスへのケチャップも印象的で、失敗したらあすかそこまで落ち込むんだ! 感情の起伏、それは自分の気持ちに素直ってことなのかも知れませんね。このおかげで、ただ明るく振る舞ってるだけでなく、その気持ちに明るさ快活さがあるんだなってわかる。そしておそらくはちなつや、店長モモにとっても、ちょっとずつ違いはあるかもだけど、同様の素直さがある。

ええ、恥ずかしくて萌え萌えきゅんとかできないちなつ。なんかしれっとキャンセルかます店長などなど、そうしたそれぞれの反応の違いに見える個性も悪くなかったです。

第2話あるんですね。このお店で繰り広げられるメイドたちとお客のお話。どんな展開を見せるのか、その広がりに期待したいと思います。

『蝶はなるなる育てられ!』

読み始めた当初の印象と全然違ってた! 予想超えてきましたね。これ、すごくいい感じですね。

自分が可愛いと自覚している山本蝶子。SNSに顔出し投稿してそこそこ受けてはいるんだけど、大きな伸びは期待できない。ファンこそあれど、幅広い支持を得るまでにはいたっていない蝶子の躍進が描かれる、そんな話になるのでしょうが、まさかここで大きな役割を担おうというのが、クラスメイトの村上鳴香。見た目は美少女、でもしゃべるとなんかあやうい子だね! まったく予想もしないようなキャラクターが投入されてくるっていうんですから意表を突かれました。

蝶子のファンだという鳴香、この子の手管。それが光った今回終盤、その見せ様がすごくよくて、第1話にして人物の基本的な紹介をすませ、目的を提示した上で、第一段階となる活動とその結果までをしっかり盛り込んできたその構成の確かさ。抜群でした。

鳴香曰く陰好み、蝶子のまた違った側面を開拓して、これまで蝶子がリーチできていなかった層に訴えていこうとするくだりが印象的。速攻現れてくる結果というのがSNS時代の展開のはやさなのかも。そしてなによりそのテンポのよさが、蝶子の高揚と鳴香の信頼獲得、感情と納得の段階をとんとんとんと駆け上がらせて爽快で、実に気持ちよく読めました。

これが第1回。次回は開幕からフルスロットル? あるいは、一旦落ち着いて状況の整理? どんな見せ方されようと、きっと期待に応えてくれるのでは、そんな思いにわくわくとさせられています。

『教えて!Xちゃん』

びっくりした。いきなりのビジュアルのインパクトもそうなんですが、まさかここからガール・ミーツ・ガール的展開をしていくんですかい? いやもう、切り口の工夫次第でこんなにも新鮮味や意外性ある展開させられるんだと感心させられました。D☆Vの可能性とでもいえばいいのか、こうした多様性、すごく好感が持てる。ええ、予想もしないもの見せてくれると、やっぱり気持ちもアガろうものですよ。

世界の怪異に興味津々な女子高生、節きな子が出会ったのは、頭部が謎の球体に覆われた女子高生。同じ学校の生徒みたいなんだけど、あんな子見たことない……。って、いやまあ、その不思議球体は目立つよね!? 一度見たら忘れないインパクトですよね!?

その子とのコンタクトに成功。名前やその正体もろもろ聞き出してみれば、天空より舞い降りしジャッジメント、謎のX。神に遣わされたXちゃんは、下界のもろもろを評価し、地球の、いや太陽系もろともなの? その存亡のジャッジをおこなうのだそう。

興味津々でXちゃんに食いついていくきな子、この子の行動如何で世界の命運が決するの、ヤバいのでは!? きな子ひとりを見るのではなく、もうちょっと広く、多様な世界の有り様に目を向けていただきたい! と思うものの、ほんと、きな子ひとりの行動が影響しまくって、なのにきな子はXちゃんのこと誇大妄想の中二病と思ってる!

それゆえのくったくない行動と、どんどん滅亡に傾いていくXちゃんの評点、そのスリリングな綱引き? いや、違うな、Xちゃん、めちゃくちゃデカい判断を担わされてるというのに、めちゃくちゃ個人的な感情とかでプラスマイナスしていく、そのチョロさ? 軽さ? のギャップがおかしいんだ。だってさ、強引に家まで連れていかれて5点減点、きな子から友達といわれて10点加点。めっちゃチョロい! というか、こんなんで世界の運命が決まるのか。いやもう、ヤバいな。

Xちゃんの明かされていない部分、それがまた面白さ? 読み手を引きつける魅力となっていたと思います。きな子の知ってしまった秘密!? 謎の球体、それこそがXちゃんの頭部かと思ったら、その中に人の頭がちゃんとあるんだ。不躾にも触れてみて、もち肌、小顔、きな子の入手した情報に期待感が醸成されたと思ったら、さらに付け加えられる胡乱なギミックからのアクシデントによるニアミス!

そこから親密になるどころか滅亡カウントダウンに入るの、Xちゃんの照れ隠しなのか、あるいはマジ怒りなのか。後者っぽいんだけど、このふたりの関係、今後深まるのか平行線を辿り続けることになるのか、どちらに傾けばより面白くなるのか、そのあたりほんとわからないのがいい感じです。

2022年7月18日月曜日

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2022年7月17日日曜日

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