2021年8月31日火曜日

『まんがタイムきららキャラット』2021年10月号

 『まんがタイムきららキャラット』2021年10月号、昨日の続きです。

『恋する小惑星』

今回はナナと一緒に地学オリンピックを受けるチカにスポットライトが当たります。

この子、姉の影響で石に、地学に興味を持つにいたったわけですが、その自分の気持ちは本当なのか、そういう迷いを胸中に抱えている。そんなこと気にしなくってもいいのに。好きなら好きで、楽しいなら楽しいでいいんだよ、と思うのは当事者ではないからでしょうね。自分の「好き」は自ら見つけた気持ちではなく、姉にくっついていった先にあっただけじゃないのか。いうならば姉の好きという気持ちを真似しただけ。そうした疑問を持ってしまっているみたいなんですね。

でも、地学オリンピックの試験対策すべくイノ先輩に相談し、そうしたら昨年予選で知り合った冴木を紹介してもらえて、こうしてだんだん広がっていく人間関係? さらには試験を受けている時に感じたこと、苦手と思っていた気象分野も、ナナからいろいろ教わるうちに面白いと思えるようになってきている。

ああ、この話はチカの巣立ちなんだ。姉の影響下にいた自分を肯定しながらも、さらに広い世界に視野を広げていく。そこにはナナからの影響があり、地学部の先輩たちの影響があり、さらには冴木から得たものもあるんだろう。広がる人間関係、広がる知識や興味、そしてそれはこの子の世界そのものの広がりであるのでしょう。

試験の帰り道、桜御影、万成石を見つけたチカ。そこでの冴木との対話、それが弾みましてね、ああ、チカ、いい感じに吹っ切れたみたいですね。ええ、なんだか勇ましくもある、そんな足取り。ちんまりしたこの子の、そのうちに息衝く情熱、衝動、その片鱗が見えてわくわくです。

『あやしびと』

びっくりした! もう人間界なのか。組織での研修を終え、ふぶきとともに人間界にやってきたアヤ。正直、研修であるとかの状況をじっくり描いてくるのかと思っていたから、あまりのスピーディな展開に戸惑いを覚えるレベルであります。

さて、展開のはやさ、まだまだ序の口でしたよ。引率のメメを薬物で昏倒させるふぶき! いったいなにごと!? 離反なの!? 謀反なの!? ビビりたおしていたら、ああ、これ、アヤのためなんだ。外出、自由行動が制限されている。なら引率者を無力化するほかない。

ふぶき、アヤのためにここまでやってくれるんですね。これ、それだけの恩義を感じている、その現れなのかも知れませんね。

向かう先はアヤの実家。アヤの友人を名乗り、アヤの母からいろいろ聞き出すふぶきの頼もしさ。しかし、これでアヤも知らなかった事実を引き出して、アヤ生存! 事故以来ずっと眠り続けている。ああ、中身が向こうの世界にいってしまったから……。

あまりのことに動揺を隠せないアヤを抑えるふぶき。しかしアヤ、これはたまらないよなあ。やっとこさ、死んでしまったことを受けていれて、妖人たちの世界で生きていくことを受けいれたんじゃないか。なのにまだ生きている。自分の世界に戻れる日もくるかも知れない。

これは、なにかつらい選択をしなければならない未来が待ってたりするんじゃないか。生きていた、それは希望なのだと思う。ただし、その希望を掴めばみぞれたちとの生活、皆と育んできた友情を手放すことに? 両方のいいとこ取りをできればいいのに。したたかに欲張っていってほしい、本当にそう思います。

2021年8月30日月曜日

『まんがタイムきららキャラット』2021年10月号

 『まんがタイムきららキャラット』2021年10月号、一昨日の続きです。

『RPG不動産』

この世界、本当に剣呑だ!

サトナから提供された大邸宅での有給休暇。なにもしなくてもいい、ゴロゴロだらだらしてても大丈夫という状況を満喫していた不動産の面々だけど、ついに判明してしまった、この屋敷から出られない!

この軟禁状態、いったい誰の意図によるものなのか。ルフリア、ラキラは完全にサトナのこと信用していますよね? 実際サトナのことを信用していても大丈夫なのかな。いやもう、この状況下で誰を信用すればいいのか、まるでわからなくなってるのは読者だけなのかも。少なくとも琴音も含めて不動産の皆はサトナだけはなにがあっても大丈夫、そんな意識でいるのは間違いないですね。

絶対開けるなといわれていた地下の秘密の部屋。屋敷中調べてみてもなにもわからない。開けていないのはここだけと、琴音が部屋を開けること提案するんですけど、いやもう、ここにサトナたちが隠したい秘密とかあるのかと思ってた。あるいは、この軟禁状態を脱するヒントなりギミックなりがあるのかと思ってた。

とんでもなかった! 琴音にささやきかける怪しげな声。うわ、ソーシャルハッキングだ。人のいい琴音は鬼気迫る切迫した助けを呼ぶ声にたまらず扉を開けてしまって、そうしたら、なんだこれ、おどろおどろしいのが出てきたぞ! ほんとにこの扉、開けてはいけない扉だったんだ! 琴音が掴まり、続いて助けに走ったラキラも囚われ、無事なのはルフリアひとり。

これ、ルフリアが彼女らにとっての希望になるのかい!? そんなルフリアの前に現れた謎の少女。そして地獄めいた世界に囚われている人たち。そこには勇者もいて!

いやもう、これ、どうなってるの。ほんと、なにを信じてどう動けばいいのかまるでわからん、剣呑そのものな状況に完全振り回されてしまっています。

『紡ぐ乙女と大正の月』

紡、現在に戻ってきた? 母の声で目覚めた紡は覚えのある部屋にいる自分を見つけ、朝食は今や懐かしくさえ思える母の玉子焼き、そしてひとり学校へと向かう通学路にて、あの大正時代の生活はいったいなんだったのか。

と思ったところで、紡、またも目覚めるのですか。授業中、眠ってしまっていた。謎の写真について考えていたらよく眠れなかった。そんな紡の脳裏には、謎の写真、原敬暗殺、自分の存在が歴史に影響している? などなど思い悩むことがやたらと増えて、ほんと、大正時代のこととかそうそう興味ないと覚えちゃいられないですよね。答えあわせもままならずもどかしい紡。実際、紡が原敬を覚えていたの、それだけで立派ですよ。

唯月が紡のこと、未来に思いをはせているのではないか、戻りたいと思っているのか? 心配して、いろいろおずおずと話しかけてくるその様子がいじらしくてたまらなかったです。紡と離れがたいのだなあ。そんな唯月が本当に愛らしくて、そして紡の答を聞いて嬉しさ感じている唯月のまたチャーミングなこと。ああ、唯月にとって紡の存在はそれほどまでに大きくなっているんですね。

しかし、あの写真の謎、あの写真が紡に伝えようとしていることはなんだろう。そもそも伝えようとしてるのかどうかさえわからないけど! ともあれ紡には思い出してほしい。大正帝都に起こる歴史的大事件。ほんと、これがずっと気掛りでならんのです。

『まちカドまぞく』

台風を受け、桃の家に避難していた面々。桃とシャミ子が向かうと、なんと小倉が死んでしまっていた……。いったい誰がそんなことを!? 第一容疑者のリコがいうには事故なのだそう。さらにいえば、小倉はまぞくなので死んではいない、仮死状態。

かくして語られる台風の夜の出来事。というか、これ、リコが小倉の死を引き起こすきっかけを作ったのは間違いないっぽいな……。でもリコの探索で得られた不思議な空間、これ、桃やシャミ子の見つけた情報、その裏付けないしは目的地っぽい。ということは、リコ、えらいこと引き起こしはしたものの、桃、シャミ子の探しものにおいては功労者でもあるわけか。

なかなか難しい状況です。

今回描かれた小倉のこと。夜中、トイレにいきたいと良子に付き添いを頼む小倉がなんか可愛いよな、とか思ってたけど、小倉、自分の存在が失われること、めちゃくちゃ怖れていたんだな。見るからに怪しい小倉の存在、そこに真正面から踏み込んでいく良子が頼もしい。もしかしてまぞく? からはじまり、なにが目的のどんな人なの? リコの介入にも負けず、ふわっと誤魔化される可能性も真顔で潰して、がんがん押し込んでいくのね。ああ、この子頼もしいわ。そうでした、姉の参謀になるんだって、軍師になるんだって、以前いってましたよね。その約束、この子なりに果たそうと必死なのかも知れませんね。

しかし小倉、想像以上に危うい状態だったんだ。本の魔族。情報を集めて増やすことが小倉の存在意義で、しかしこの子、今の小倉が持っていたのはたった1ページの行動指針。その情報にもとづいて、安全地帯と見なしたシャミ子の近くにいようとしていた。ああ、シャミ子をおもちゃにすべくストーキングしてるのかと思ってた。ごめんよ、小倉。君はただただ自分の身の安全を求め、サンクチュアリとしてのシャミ子に頼っていたんだね。

今回は小倉が死ぬ前の状況が語られるにとどめられました。いわば前提が整理されて、そしてここから小倉の死にまつわる顛末が語られる。というか、リコの狼藉編? あの謎の空間、おそらくは暗黒役所なのだろう、そう予測はするのだけど、予測すると思いっきり外してくるからなあ! いやもう、ただただ次回を待ちますよ!

2021年8月29日日曜日

『まんがタイムオリジナル』2021年10月号

 『まんがタイムオリジナル』2021年10月号、一昨日の続きです。

『ネコがOLに見えて困ります』

兄貴が連れてきた女性。見た目はどう見てもスーツの女性、普通ならお客さんだな、職場の同僚とか後輩とかかな? となるところが、ミコトの場合はちと違う。動物が人に見えてしまうミコト、兄ちゃんのことだ、平然と動物を連れてきてるのかも。人? イヌ? ネコ? 疑いながらここでめちゃくちゃ慎重に距離感はかるのが面白くって、それだけに人と判明した時の驚き、この勢いったらね! 笑っちゃいますよね。

兄ちゃんの会社の後輩、波田さん。近々猫を飼う予定というので、猫飼いの先輩にいろいろ教わりにきたというんです。でもほんと、この人、涙もろいというけど、それにしても限度ってものがなくない!? なるほど、波田という名前、涙からきてるんだ! ほんと、OLさんと社長ちゃんを見て、あまりの可愛さに泣く。で飼い主、めちゃ喜ぶ。

ここからの展開も、猫たちと遊ぶミコト。ミコトに甘えるOLさん。そしてふたりの来歴を聞いてまた涙! いやもうね、こんだけのことでここまで感激しちゃうの、自宅に猫がやってきたらどうなっちゃうの?

いろいろ大騒ぎだった波田さん。せっかくのメモも涙でぐちゃぐちゃ。でも、きっと自分でいろいろ学んでいけるよね、こんだけ熱心な人なら。そして猫を飼いはじめた波田さん。家族全員が号泣って! いやもう、これだけ熱い思いをそそいでくれるんだから、猫ちゃんもしあわせだと思います。

『敷金礼金ヤンキー付き』

七恵、太っちゃった? 去年買ったパンツ、なんとボタンがとまりません。それでショック受けてるのがなんか可愛くて、これ、たえも同じこと思ったみたいですね。ヤンキーっていってもこういうとこは普通の女子だって、いや、自分も同じようなこと思ってたからツッコむ資格はないんだけど、ヤンキーだって太ったらやだって思うよなあ、それこそ女子なら。

ダイエットを決意した七恵。でも、まだ十代なんだから基礎代謝も高いだろうし、その気になったら結構はやくやせられるんじゃないかな。とか思ったら、もともとのカロリー収支から改善する必要ありそうなんか。カップ麺、ケーキ、チョコ、ポテチが常食。あー、ポテチはあかん、油を飲んでるようなもんだっていうよ? でもおいしいんだよなあ。

たえが食生活の改善を提案するのですが、七恵、素直に従いながらもいまいち理解してないのがおかしくて、でもこういう人、多いと思うよ? ボウルといわれてボール出すのも、それなりにいると思うよ? ほんと、基礎的な理解がゆきとどいてないというリアリティが実際すごかったです。

けど、この七恵のダイエット、地道に運動でなんとかしようとするんですけど、走るのは苦手、つらい、でも喧嘩となれば生き生きとして! ほんと、喧嘩でやせるダイエット!? いや、そうはならなかったんだけど、喧嘩ふっかけたのが災いしてチームあげての襲撃受けて、からの必死に逃走ダイエットになっちゃうの、うまいこと繋がったなあ! いやもう、つかまんなくてよかったですよ。ダイエットもとりあえず成功したみたいだし、ほんと、喧嘩だなんだと物騒だけど、やっぱ活動してエネルギー使うのが早道だったわけですね。

ということは、冒頭の七恵、ここのところ平和が続いたからこその増量だったのかもですね。

『カントリー少女は都会をめざす!?』

夏なので怖い話をします。というんだけど、どうにもしまらないのがこの子たちらしいといいますか、だって亜紀とっておきの廃墟ホテルの話、その真相に八重が関わってるとかどういうことなのか。幽霊、お化け、怪奇の類と思っていたのに、八重だけが知っている、そのいないはずの4人目、私だわって。他人の肝試しに介入して怪奇現象になるとか、ほんとただものじゃないですよ、八重さん。

今回の怖い話は、本当に八重が大活躍で、そもそもからして発想がちょっとおかしい。近所のコンビニがつぶれたの……。亜紀と大河がついてこれてへんやん! というか、みなちゃんは怖がりすぎでは!? いやほんとおかしい。さらに八重駄目押しの2周目怖い話、有名な外食チェーン店がうちの県から撤退した……。

スケールアップしてる!

そもそも考えてみれば、最初の廃墟ホテルの話も、いくつもいくつもホテルが潰れてましたよね。ここが田舎だからか、あるいは不況のせいなのか、いずれにしても自分の住んでる町が県が、どんどんさびれていくという悲しみ、これは実際うちひしがれるよなあ。自分の周辺もこんな感じよ? どんどん店がつぶれていくねん。つらい、つらいわ八重ちゃん……。

しかしこの怪談と思わせて徹頭徹尾リアリスティックな八重のスタンス、最高に面白かったですよ。と、ここで気づいたんですが、これ、怖い話とはいってるけど怪談とはひとこともいってなかったね!? なるほど八重ちゃん、おかしくなかった。むしろ正しいのは八重でした。

『とびだせT.O.Z』

学年別大会に出場するマナ。これがこの子にとっての初試合となるわけですが、緊張してるの、勝てないとわかってても怖いと思う気持ちがぬぐえないというの、いや実際わかる気がします。

しかしチームメイトが酷いというか、誰もマナのこと期待してないどころか、走る前からなぐさめモード! ああ、これはマナも落ち込むよなあ。あるいはむしろやる気になったりする? とか思ったら、スターティングブロックでの失敗との合わせ技で、なんかリラックスできたみたいですね。

今回のマナのレース。結果こそは最下位だけど、スタートの反応のよさとか、これ今後の伸びに繋がったりするのかな? 期待させてくれそうな強みが垣間見えたり、2ヶ月前のタイムから2秒以上縮めたと前向きな評価を受けたりと、マナが陸上に取り込む上での指針が得られた、そんな回だったと思います。また、レースを終えたマナを迎えるチームの皆のあたたかさ。マナが泣いちゃうのもわかるよ。ほんと、このくだり、感動的だったと思います。

この漫画、はじまった当初は兄貴の独自すぎるトレーニング手法にドン引きしたり、マナのつっこみを面白がったりと、スラップスティックなおかしみが強く感じられたものでしたが、こうして続くうちに、マナそして兄貴も成長して、選手としても人としても変化し伸びてゆく、そうした様を見せてくれるようになったのですね。

こうした変化が当初から企図されていたものならごめんなさい。でも、こうして描かれようとするもの、ことが変化して広がりを持とうとすることに対しても、伸びゆくものの見せる魅力、輝きを感じてしまうのです。

2021年8月28日土曜日

『まんがタイムきららキャラット』2021年10月号

 『まんがタイムきららキャラット』2021年10月号、発売されました。表紙は『NEW GAME!』。グランドフィナーレ、今号で最終回を迎えます、ということで青葉と紅葉をセンターに、イーグルジャンプとその関係者、漫画の主要人物が勢揃い! といった感じの賑やかで祝祭感あるイラストが華やかに表紙を飾っています。しかし、こうして見ると主要人物、猫もいるけど、多いなあ! これだけの人数があって、そのひとりひとりのこれまでを思い浮かべることができるの、それがまたすごいことだと思います。青葉が一緒に仕事してきた人たち、しっかりと存在していた、そんな実感があるのですね。

今月は新規ゲストが4本です。

『七×七不思議』

7×7で49不思議なのかな!? と思ったら違いました。

主人公の女の子、中二病をこじらせているほうが小堤七。七が学校の七不思議に挑むから七×七不思議ってわけですね。

屋上で痛いこといってたら、霊能力があると勘違いされて七不思議の解決に駆り出されることになってしまいました。美徳白子というのが、七不思議の解決をしようとしている女の子。まずはトイレの花子さんだ、ってことでトイレにいって儀式をしてみたら、なんとまあ、本当に個室から女の子が出てきたのね。

これ、最初、お腹痛くて苦しんでる普通の生徒さんなのかな!? とか思いましたよ。でもまぎれもない霊の子で、でも花子さんじゃない、たまたま学校のトイレで死んだだけ、って、ガチ幽霊なのは怖いな! 七不思議、花子さんじゃないだけで不思議には違いないじゃん!

ずっと自分は花子さんじゃないって誤解を解きたかった。その目的を今回果たして無事成仏と相成ったわけですが、ああ、本当に解決する系の話なんだ!

第1回目から意外性を重ねてくれた、その一点でも充分によかったと思う。でもこれ、順調に解決していったら7話で終わっちゃわない!?

『こってりブラッド』

こちらは吸血鬼ぶってる子じゃなくて、ガチ吸血鬼なのね。でも手持ちの血が尽きてしまって大ピンチ。なんとかせんといかん、というのでクラスの子に血を求めようというのですね。

しかしこの子、浦戸イアは内気で無口。クラスメイトの小照に話しかけるも全然会話のペース掴めなくて、でもちゃんと吸血鬼であること、信じてもらえたのは第一歩でしたね。

この漫画、別に人を襲って血を奪おうとか、そういう世界観ではなくって、むしろずっと平和的。吸血鬼の保護団体とかあるらしい。でも給付される血にも限りがあるから、無計画に飲みすぎると足りなくなっちゃう。このくだりで示された、吸血鬼の存在が認められている社会の有り様? 保護団体があるってことは、吸血鬼は絶滅が危惧されてるのかな? それで保護されるってことは、危険視されていない、共存可能な存在と見なされてることもわかりますよね。

こういうところが掘り下げられていったりしたら面白そう、なんて思いました。

血を求められた小照ですが、噛まれて吸血鬼になってニンニク入りラーメンが食べられなくなったら困る! それで断るまではいいけど、ラーメン食べにいかないかって誘っちゃうんだ! これ、信心が浅いから十字架とか利かないっていってたみたいに、わりとニンニクだって平気だったりするのかな? むしろハマったりするんかな? と思ったら、残念、ニンニクは駄目なのか!

でも、ラーメン食べた小照の血、ドロドロこってりでおいしいんだ! 健康には問題あるのでは!? ともあれ、こうして直接の吸血を避けながら血をわけてくれる友達ができたの、いやむしろ一緒にラーメン食べにいける友達ができたの、イアにはいい変化になりましたね。

『おさとうVRツアー』

VRゴーグルで飛び込むVR世界。見た目天使っぽい女の子になってVR世界をエンジョイしているリリエルですが、一人称がボク? ということはリアルリリエルは男の子だったりするのかな? いや、まさかおっさんではあるまい……。なんてこと思いながら読み進んでいったのですが、VR世界での出会いとかがテーマになりそうですよ。

VR世界だからこそ、出会えた人がいる。一緒に話して遊んで、楽しんでと、そんな人がいる。加えて、現実にはこういうの一緒に楽しめる友達いないんだという台詞、ああ、わかる、それすごくわかる。オンラインなら一緒になんかできる趣味の知りあい作れても、リアルだと難しいんですよね。つまるところ自分も陰キャなのかな!? でも、このくだり、共感する人結構多いんじゃないかって思いましたよ。

この漫画で描かれたVRは、お菓子食べたりしてますけど、味や食感も伝わるの!? いや、リリエルが最初にいってたように、VRおままごとなのかも。いずれにしてもこうして出会えて仲良くなって、そして思ったままの言葉で励ました、その気持ちがリアルにも影響しているの、いい感じだなあ。

ええ、リリエルの中身、草野リンと、VRで出会ったゆゆめいの中身、こちらはリンの先生なんだ! 知らず違う姿で出会って、その気持ちで繋がったというの、本人たちさえもわからないそこに趣を感じました。

『我ら不登校』

引っ越しで転校した先の中学校が、ものすごく荒れていました! どうしても馴染めそうになくて、初日から早退してしまったゆめ。家族に心配はかけられないと、あてどなく町をさまよっていたのですが、猫を追い掛けていった先の川辺で不思議な子たちに出会ったんですね。

学校にいかず河川敷学園で卒業をするその名も我ら不登校!!

これ、自主的な活動なのかな? それとも出席が認められて、ちゃんと卒業扱いにしてもらえるのかな? いずれにしても学校に馴染めない子たちが自主的に集まって、友達作って、勉強して、いずれは卒業していけるのだとしたら、これは素敵な活動だなあ!

参加している子たちも、高2のなぎさ、中1のちさ、高3のあけみと幅広く、そこに中2のゆめが加わって、高校生、中学生がバランスよく揃いましたね。で、このメンバー、一番学力優秀なのがちさで、一番成績悪いのがあけみ。これはこれでバランスとれてるんかな!? いや、とれてないな……。

でもこうして皆が集まって、苦手意識とか劣等感とかまったく関係なく、のびのびと学業にいそしんでる姿は悪くない。加えて、彼女らが学校に居場所を得られなかった理由とか背景、そしてこの河川敷学園ができるにいたったくだりとか、いろいろ気になるそのへんが掘り下げられたりしたらきっと嬉しいだろうなあ! これからの伸びに期待しちゃう一本です。

2021年8月27日金曜日

『まんがタイムオリジナル』2021年10月号

 『まんがタイムオリジナル』2021年10月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』、テーマはお家で運動? ヨガ、ストレッチをしている山下さん、見た目にもしっかり凛々しく素敵です。『らいか・デイズ』らいかは、マットの上でブリッジしてますね。あの表情! なんか嬉しそうで、髪が全部逆立っちゃってね、その様子に小学生らしさ感じさせてくれていい感じ。『小森さんは断れない!』しゅりもなにやら難しそうなポーズを決めていて、ああ、ヨガも本格派!? しかしすごい腹筋ですな。どんなトレーニングなさってるのだろう。

今月は新規ゲストが1本です。

『夏っちゃんはととのわせたい』

なんか冒頭から不穏な雰囲気! この男の人も…この男の人も…今から裸になるんだあ…。って、つまるところ銭湯よね? サウナよね?

ええ、そのとおりでした。

夏々の家は銭湯兎見湯。人手が足りないと番台を手伝うことになって、でも夏々は人付き合いが苦手なタイプ。見知らぬお客さんといろいろやりとりするなんて無理と尻込みしてるんですが、この銭湯で働いている熱波師の泉さん、この人との交流でいろいろ開かれていくんですね。

熱波師ってなんだろう。いわゆるロウリュってやつかい? ああ、やっぱりそうなんですね。サウナで発生させた蒸気をタオルであおいで、利用者に熱波を送る。自分は利用したことないんですが、好きな人にはたまらないものがあるみたいですね。そして水風呂にはいって、気持ちをしゃきっとさせる。これをととのうとか最近ではいってちょっとしたブームになってるみたいですが、実際自律神経系が刺激されてぴしっと「ととのう」のかも知れませんね。

そして、夏々、ただサウナでととのっただけでなく、番台の仕事、銭湯の仕事にも前向きになれたみたいで、ええ、しっかり刺激受けたみたいですね。これからは夏々が熱波師としてお客さんをととのえていく、そんな風になっていくわけですね。

『おしかけツインテール』

俊郎さんはいったいなにをなさってるんだろう。「?」と書かれた布をかぶって、いったいなんの儀式? と思ったら、占いなんだ! 秘密結社かなんかかと思った。

花梨がなにか悩んでいたというんですね。そんな花梨を元気づけようと、手持ちのアイテム、タロットカードで占ってあげようという俊郎の親心。でもその見た目はヤバい。というか、ちゃんと前見えてるんですかい?

で、このタロットがめちゃおかしい。のっけから宇宙飛行士の逆位置ときた。見たことないぞ、こんなの! でもカードの図案こそは独特でも、しっかり花梨の悩みに踏み込んでいってるようで、結構当たるのか? 信じていいのかこれ? だって、宇宙飛行士の次はお茶と羊羹やぞ?

でもほんと、占いといっても胡散臭いオカルトというより、カードにしたがって、花梨の悩みに触れ、その内心を整理しつつ、前向きな気持ちを引き出そう、そうしたカウンセリング的なニュアンスの強いやりとり。これ、俊郎との信頼関係も手伝ってるのかもなあ。いやほんと、素敵な話だったと思います。

『おだまき君の道草ごはん』

テストで満点とれた! と思いきや、名前を書き忘れて10点減点。おー、減点ですんでよかった。学校によっては0点にされるところもあるとかないとか。とはいえ、本来学力や理解度をはかるためのテストで、名前欄という本質に関わらないところでのミスで減点されるの、理不尽といえば理不尽だよなあ。

ともあれ、自分のミス、うっかりがもとで、苧環に勝てたかも知れないチャンスをふいにしてしまった穂高。まあショックだよね。わかるわ。自分だったらきっと後々ずっと引き摺ってしまうと思う。と、そこに加えてボールぶつかったり水びたしになったりと、ふんだりけったり、かわいそう。そんな穂高のこと、ちょっとでも思いやってくれる苧環が読者である自分にも救いと感じられます。

しかし、この穂高がやたら可愛いのどうしたものでしょう。テストの結果に期待してにこにこしてるの可愛い。減点に呆然とするところも、申し訳ないけど、可愛い。落ち込みジャージ姿、可愛い。苧環に話を聞いてもらってちょっと嬉しいところも可愛い。でもって白詰草の草冠のシーン! うわあ、これ、爆発的に可愛い!

いろいろ思い悩んで、フラストレーション溜めがちな穂高ですけど、こうして苧環と話すことで、悩みが相対化される? ちょっとでも気持ちが落ち着いて、そして悩みや不安や落ち込みから脱することができるの、よかったなあってほっとした気持ちになるんですね。自分自身こうして落ち込んだり悩んだり迷ったり弱ったりするものだから、ほっと救われる穂高の姿を見て、同じように安らぐのだと思う。いろいろじたばたしがちな穂高に自分を重ねあわせて、感情移入してるのかも知れませんね。

だから、穂高が嬉しそうにしてると自分も嬉しい。草冠で穂高をドキドキさせてくれた、苧環のその行為が嬉しい。紆余曲折、一進一退ながらも、苧環に心を開いていく穂高の様子が嬉しいのですね。

『となりのフィギュア原形師』

今回はお祭りにいきますよ。仕事の締め切り間際だというのに代表はやる気ですよ! 仕事ばっちりなのかといえばさにあらず。工房のスタッフ、皆は結構ちゃんとしているのに、代表ひとりがピンチで、いや、まだピンチになると決まったわけではない。ピンチになりそうな気がしますけど……。

お祭りと聞いてじっとしてられないのはせっちゃんも同じ。浴衣着て登場! さらに代表の髪もやってくれて、あ、それ、ただのおしゃれでなくコスプレ要素だったりするんだ。

半藤はいつもどおり、代表も髪以外はいつもどおり。対してせっちゃんは浴衣フル装備、はぐはちょっとおしゃれにキメて、斉藤もうさんくさいけどいい感じじゃないですか。こういうそれぞれのちょっとおしゃれな姿。なんだか珍しい、でもって嬉しい。気持ちの浮き立つような思いがしますよね。

今回もなんだかわいわいやって楽しくやって終わりなのかな? そう思ったら違いました! うおー、代表、踏み込みましたよ! 半藤とふたりきりの時間、今日は仕事じゃないし滝舘おこめじゃなくて桐山こるりの話しない…?

やばい、これは大威力だ! 半藤に直撃! いやもういい雰囲気になっちゃって、これ、進展する? 関係も変化していく? いやあ、こいつはわくわくってやつですよ。

続くんだろうか? ドキドキですね。

2021年8月26日木曜日

うしろの正面カムイさん

 Twitterをぼさーっと見てると、やたら流れてくる漫画プロモーション。自分はあれ結構好きでして、なんでもかんでも読んじゃうってわけじゃないですが、まあ開いちゃいますよね。中でも必ず開く漫画がありまして、例えばスーツァーマン、それから『ボスとヤス』。あと忘れてはいけないのが『うしろの正面カムイさん』。やっぱりインパクトって大事だよなあ。ほんとまずは注目させることの重要さを心底思い知らされるのが漫画プロモーションの世界。衝撃のコマ、驚きの展開を、コンパクトに切り出して画像数枚に詰め込み、これは! と興味を持たせるようにできている。いやもう、あれ、あかんですよね。ついつい読んでしまいます。

でもこの広告手法にはデメリットもあって、それはなにかといいますと、実際買って読んでみたらですよ、広告で見た時ほどにメリハリ効いてないんですよ。そりゃそうですよね。広告は展開のいいとこ取りしてる。広告の短い尺でインパクト与えるために、不要と判断された部分は容赦なくぶった切られて、要約も要約、そうしてできあがった鋭くクイックな切り返しが幾度も流し込まれてきているものだから、ゆったりと時間かけて展開するような漫画だともたついて見えてしまうんです。

逆にいえば、そこまで削れるってことなのかも知れないけど、そのゆったりした見せ方が漫画家本来のスタイルだとちょっと可哀そうだよね。広告見てやってきた読者はあのきびきびしたクイックさを求めてる、あれにドボドボに浸ってしまってるわけで、そんな人がオリジナルを見れば、あれー、思ってたとの違うーみたいになってしまいかねない。

広告ってのは難しいなあって思ったのでした。

で、『カムイさん』ですよ。びっくりしましたね、広告のクイックさ、そのままやんか! 広告で何度も見せられてきたクイックな展開、衝撃の描写、インパクトあるカムイさん登場シーンの数々、それがほぼ広告で見たまんまに展開されて、すげーな、広告に偽りなしってやつやん。

これこそは、漫画のスタイルと広告に求められるものがベストマッチした結果ですよね。怯える女子、迫る怪異、唐突に登場するカムイさん、戸惑う怪異、そしてセイッセイッ!

あの広告見て気になって読んでみた自分にとっては、間違いない、満足度高いといえる漫画でした。

でも、序盤こそはその広告で見たまんまや! って興奮があったのですが、巻を重ねるに従って広告にピックアップされたようなシンプルな話は減っていって、怪異がただカムイさんに成敗されて終わりではなくなってくる。ライバル的な存在が出てきたり、人の情に訴えるような話もあったりで、満足度高いなあ! ほんと、ネタバレになるから具体的には書かないけど、長いスパンをかけて描かれたエピソード、ちょっと感動したもんなあ。

いやもう、これ、広告見て興味持ってる人はぜひ通して読んでみて欲しい。きっと満足すると思う。単行本は100巻あったりとかしないから、まずは今刊行されている分をさっと読んで、面白かった! と続きを楽しみにできる。

ええ、試しに1巻買ってみて、そのまま3巻まで一気だったもんなあ。おすすめです。お市ちゃん、居ヶ坂小学校の花子さん、閻魔大王様が可愛くて好きです。

Kindle版

2021年8月25日水曜日

『まんがタイムきららフォワード』2021年10月号

 『まんがタイムきららフォワード』2021年10月号、昨日の続きです。

『球詠』

いつもとは違ってしまっているヨミ。咲桜のバッターが冷静に分析するも、強豪の雰囲気をまとわせるヨミに気迫負け!? 一度はしっかり捉えて返した打球をこともなげに捕球するヨミのその表情。

すごいな、ほんとにいつものヨミじゃないよ。新越谷の皆もヨミのこと気にしてくれていて、放っておかない、ひとりじゃないよというようにいろいろ気を配ってくれる、その寄り添ってくれる仲間のいるということ、とても嬉しく思える場面でしたよ。

そして今回、息吹が試すヨミのコピー。外観のコピーではすまない、その内面に踏み込み理解していかないとコピーできない。こうして全身全霊で自分のことを理解してくれようとする仲間がいるというのもありがたいな。ヨミには理解者がたくさんいてくれることが本当に嬉しく、頼もしく思える回だったと思います。

しかし試合はなおも膠着。投手戦ですねえ。どちらも決め手に欠ける印象があって、しかしヨミを心配そうに見つめる息吹、その様子が怖い。息吹はヨミのなにを感じとっているのだろう。心配しているのはどういうところになのだろう。一波乱ありそうと、ちょっと警戒気分です。

『ねことちよ』

ねこの育てている野菜。花が咲いてもうじき実も成りそう。これ、花を見るにナス科の植物ですね。でもねこはなんの花かまだ知らない。できる実を楽しみにしていて、けどそれをまきにナスとバラされてしまって、あー、まき、事情を知らないからなあ、とはいえちよの雰囲気見て、ねこの雰囲気見て、うまいことやっておくれよう。

ねこのこと、ナス嫌いなのか、子供だなあとかいってますけど、こんなチビっこの様子見て、うまいことあしらえないあなたも充分子供よ!

しかし、ねこ、せっかく育ててる野菜がナスとわかっちゃって、これからどうすんのかな。

そう思っていたら、ふみがうまいこととりなしてくれました。

ふみもナスが苦手だったんですね。でも今は好き。そこで好き嫌いについていろいろ話してくれるでしょう? それがねいい感じにやわらかで、ねこも気持ちをほぐされましたね。ええ、まきよ、これが大人ですよ! ええ、これが大人です!

しかしねこの気持ちの変遷。それを言葉で表すのではなく、この子の行動もろもろで伝えてくれるの、とてもよかったです。ねこという子に向けられたまなざしがとても優しく、細やかに感情を、思いを伝えてくれるんですね。

『さよなら幽霊ちゃん』

幽霊ちゃん、ゆうの過去を知る手掛かりになりそうなもの、遺書が持ち去られてしまった! 持っていったの、顧問だったわけですが、返してほしいとお願いしても聞きいれてくれない! あなたたちのものではないでしょう? あるいはなにかを企んでるのではないか。

先生に信頼がないんですね。なのでまずは信用を得よう、そのためには新聞をしっかり完成させよう。

この遺書をめぐって、新聞づくりのモチベーションを高めたり、それからゆうの過去、ダンボールから出てきた猫のエサ皿を手にした時に思い出された記憶などなど。多面的な展開をさせてみせるその広げていきかたがとてもうまいと思いました。

新聞づくりでは、猫の捜索についての記事がめぐに託され、面白いとはいってもらえてるけど、めぐ本人は納得いっていないのか。面白いとは思えない。この感覚の齟齬? これが後々なにか引き起こしそうな予感がしますね。

そしてゆうについては、その思い出された記憶。生前のもの? ここにも物語の動こうとする様子がうかがえて、並列するこのふたつの流れ、交わるのか、あるいは個別の経緯を辿るのか。行く先の見えないまでも、いずれ物語の幕引きに向かっていく、ゆうについてはなおさらその色が濃く感じられて、若干の不安まじりであります。

2021年8月24日火曜日

『まんがタイムきららフォワード』2021年10月号

 『まんがタイムきららフォワード』2021年10月号、発売されました。表紙は『がっこうぐらし!〜おたより〜』。大きく完結と書かれて、ああ、ついに終わろうというのですね。人がゾンビ化する感染症がために平穏な暮らしも家族も友達も、みんないっぺんに失ってしまった彼女らの、希望をともに生存を果たす物語があり、そしてその後の復興、失ったものを取り戻そうとする彼女らの物語が続き、そしてそれが完結。あの衝撃の第1話から数えて9年がたったというのですか。それだけの長い時をかけて描かれたこと。まさか今が感染症禍真っ只中とは世の中わからんものですが、いずれ事態が落ち着きを見せたら、彼女らのように失ったものを取り戻す日々を送ろう、そんなこと思った最終回でした。

『先輩を追い出す方法についての研究』

あらまた物騒なタイトルです。いったいなにごと? と思ったら、生物部1年の鈴木くん、生物についての研究、実験、フィールドワークをやるぞと意気込んで入部してきたものの、生物部は2年のべにこ先輩のキノコ趣味に支配されていたのでありました!

いや、でもこれくらいひとつのテーマに没頭する人がいるって、悪いことではなくない!? キノコはべにこ先輩にまかせて、鈴木は自分のテーマを追求すればいいじゃないか! とはいうものの、どうにもこうにも巻き込まれ気味の鈴木少年。キノコの圧に抗えないっぽいところ見えますね。

それで先輩をなんとかして追い出そう、物騒なことを考えて策を練ってみるのですが、大量の虫をプレゼントしても先輩は平気の平左。むしろ寄生キノコの苗床にできると喜んで、当てが外れた鈴木よ、ここで虫を返してもらうところに生き物への愛情が感じられていいですね。

しかしべにこ先輩がヤバいというの。キノコ実験をすること自体はいいのだけど、鈴木を使って人体実験! 恋に落ちるキノコだっていうんですが、だったら落ちてやろうじゃないか、これまで女子からキモがられてきた自分に好かれればべにこ先輩も耐えられないだろう!

って、泣いちゃう、泣いちゃうよ。鈴木、自分のプライドを捨て、自滅技にて撃退をしようとするそのあまりの悲しさに、いやもうこの策は駄目だよ。でもこの技、思いの他効果を奏して、おお先輩、いい反応じゃん! いい感じに好かれてるんじゃないの鈴木ー、と思ったら、ここで君が逃げるのか。いやもう、鈴木の空回り。でも、今後はちょっと先輩との関係も変わっていきそうじゃないですかね。先輩からも、鈴木からも、変化の兆しが見えますよね。

『スローループ』

ひよりの誕生日に手巻き寿司をやりますよ。昨日のニジマスを刺身にしよう。それで張り切った小春が、可愛く装って — 。

ここから回想に入るのが意外でした。中学生の頃。ひよりと出会う前のことですね。父に彼女を作らないのかといってみたりね、そして学校でもいつもニコニコして、自分は充分しあわせという小春の、けれどその内面に触れるかのような土屋さんの発言。これ、中学の頃の友達、土屋との再会など今後あるのかと期待させてくれる。小春のいったこと、嫌われたくないだけ。これ、結構徹底していたのかも知れませんね。自分のやりたいこと、欲しいこと、譲れないこと、そういうのは表に出さずに、譲ることで自分を守っている。誰かといがみあったりしたくない。

そんな小春も今ではひよりにわがままいったりしてますけどさ、これ、ひよりとの暮らしで少しずつ変わってきた。そんな小春の見せた緩く笑った表情。それが本当にしあわせそうで、ええ、かつての自分はしあわせと言い聞かせるようにしていた頃とはずいぶん違っているんですね。

こうした変わった小春のこと、土屋に見せてみたい。土屋がどう思うのか、それを見てみたい。なんて思っちゃったんですね。

『追風のジン』

前回は物語世界のベースとなる情報をしぼって見せていたんですね。忍者がいる。その傍若無人な振舞いで皆から怖れられている。ジンはそんなならず者が許せない。そしてかつての忍者の頭目、叢雲グレンの謎を、残されたグレンの娘とともに追うことになる。

そうした情報を、導入となるストーリーをしっかり押し出しながら、活劇で見せ、人情で見せたわけですが、第2回ではそれをさらに掘り下げて、より明確に言葉にして説明したところがあれば、忍術、忍法についても説明がなされて、なるほど、忍術は後天的に習得される技術、対して忍法は先天的に身につけた超能力。そうした物語における設定やルールを明示していくのですね。

と、こうした説明だけでなく、きっちり物語でもってジンの人となり、彼がなにを大切にしていて、どういう存在になりたいのかを彼の実力とともに示してくるでしょう。こういうのがやっぱりうまくって魅せるなあって思ったのです。

まだ物語は序盤も序盤。大きく動くのはまだ先だと思うのですが、なにか気になる引きが提示されまして、これは気になる。このお嬢さん、ゆくゆくは仲間になるのですかい!? ええ、ええ、やっぱり魅せるなあって思うわけです。

2021年8月23日月曜日

『まんがタイムきららMAX』2021年10月号

 『まんがタイムきららMAX』2021年10月号、昨日の続きです。

『ぬるめた』

皆で海にきましたよ。ということで水着回なんですが、やってることは基本いつもとあんまり変わりませんな。ちあきの水着を用意していたさきなの気配り、じゃねえな、なんだこれ、でもまあいつものさきなですよ。きっちり着せて、当然写真に収めてるところね、さすがですよこの子。

しゆきの水着、これスク水なんか。いわれなんだらわからんかった。地味目シックなワンピースかと思ったら、確かに脇にはいった縫い目とか、スクール水着のアピールか。これ、高校では水泳がないっていってるから、ということは中学で使ってたのをそのまま今も着てるって感じですね。経済的でありますね。

海にきてもやっぱりくるみの改造がメインになってくるの、実にこの漫画っぽいですよ。水に濡れると色が変わるとか、なんのためかわからん改造にはじまって、浮き輪やらなんやらにトランスフォームさせられて、さらにはジェットで上半身だけ飛び立つ! 滅茶苦茶なノリなんだけど、このなんも考えずに思いつきでなんでも実装しちゃってる感がおかしくて面白い。あの、くるみの上半身がすっ飛んでく時、ジェットの圧を受けてちあきの前髪と眼鏡が浮くでしょう。なんかこれ好き。なんか楽しさが出ています。

この子たちのいろいろ、箸が転がってもおかしい、そんな頃特有のテンションありますよね。砂浜に書かれたマントヒヒの文字。それがマントヒヒヒヒ……になり、ついにはママント・ヒヒとなって落ち着く。このよくわからんノリ! でもそれがおかしいんだろうなあ。と、その楽しそうな様を眺めるのが楽しいんですね。

『社畜さんと家出少女』

おそろしい話でした。

いよいよ文化祭。ナルさんやホドさんもきてくれて、一緒に写真撮ったり、それからミユのミュージカルに度肝抜かれたり、そしてユキのメイドスタイルに心ときめかせたりと、楽しいことが次から次に起こる、気持ちもどんどんふくらむように盛り上がっていく、そんな序盤があんまりにもさいわいだったものだから、後半とのギャップたるや。まさかその日を締めくくろうという時に、ユキが母の姿を遠目に見つける!

ああ、これ、ユキの危機管理なのか? すっかり忘れていた、気にもしていなかった、そんなつもりでも、ふと目の端にでもとまれば一気に意識が持っていかれて……。

ここからの展開、ミユの反応のはやさよ! 硬直したユキを、問答無用で教室に閉じ込めて隠す。さらに自分が盾となり、話し掛けてきたユキの母に、もう帰ったかもしれないと伝えて、穏便にお帰りいただく。ほんと、大活躍ですね。と思ったら、ここからの母の行動! いやもう、これ、おそろしいな。人の目のある学校でこれなら、家庭内だとどんななんだろう……。

これ、今、ユキはナルの家に転がり込むことで平穏を得ているわけですが、状況としてはちょっとマズい。いくら問題ありとはいえ、この親に見つかってしまうと、今の安全な場所に居続けられない、そんな状態になってる。本当、なんらかの手段でもって、正式にユキが親との距離を確保できる、安全な居場所を確保できないと安心できないって心底思わされた回でした。

2021年8月22日日曜日

『まんがタイムきららMAX』2021年10月号

 『まんがタイムきららMAX』2021年10月号、昨日の続きです。

『いのち短し善せよ乙女』

デモニカ、クラシカルメイドスタイルでお給仕なさってるの! それでエリカ、乙女を誘って喫茶店に出向くんですけども、なるほどこの喫茶店、例の交番のおまわりさんの妹さんなんだ。おまわりさんのとこで迷惑かけまくってるデモニカ。バイトの紹介もおまわりさんに頼ったのか。ほんと、この漫画で一番善行を重ねてるのは、このおまわりさんかも知れませんね。

しかしこの喫茶店でなにがどうなって善行に繋がるんだろう。とか思ってたら、まさかのデモニカ上司、サタンが来店! 直接乙女に手を下しに!? あるいはいつまでたっても仕事を完了できないデモニカを叱りに!? いや、どちらでもなかった。というか、エリカ、普通にサタンと仲いいんだな。というか、以前一緒にボードゲームやった過去が描かれてましたよね。今回もサタンと普通に話すどころか、悪魔にならんかとスカウト受けて、まあ、確かにデモニカよりか優れた悪魔になれる、そんなポテンシャルあるよなあ、エリカ。いやまあ実に剣呑なやつですわ、杏エリカ。

今回の善行アイテムはほうきだったんですが、そいつが活躍するの、デモニカがチャンスを作ったんじゃないですか! このアシストパターン、いつものデモニカだ! ってな感じがするんですが、今回ばかりは状況悪かったなあ、デモニカ。バイト先の上司に加え、本来の上司までいるところで大粗相しでかして、ダブル叱られが発生しとるやんか! ほんとおかしかった。

かくして乙女の善行完了。クラシカルメイド乙女、最高ですよね。でもって、次回最終回!? 嘘だといってよバーニー! でも、なんかこのサタン様なら話せばわかってくれそうな感じありますよね。

『のむラリアット!』

汚ない手でもってリングアウト勝ちを狙った海音。でも相手は時間内にリングに戻ってきて、さあ、どうする、どうなる、ここからなんとか善戦できるのか、桃、海音組!?

できませんでした。うん、ある程度予想してた……。

神輿落としって本当にあるのか、あるいはこのふたりのオリジナル技なのか。長身のふたりがかりで担ぎ上げて、だーんとリングに叩きつける、ボディスラムの亜種って感じでいいのかな? でも、この技、海音は一発沈黙だったけど、桃、一度はなんとか耐えて、ぎりぎり生き残ってるよ!

さらには先生から教えてもらった技、偶然とはいえ決めることができてたの、おお、桃の成長、今後持ち味生かして活躍するかもって予感をさせてくれた試合。残念ながら押さえつけられてフォール負けしたけど、桃の将来性をうかがえたという点では悪くない内容だったかも知れませんね。

続いては、翼、恵ペアが危なげなく勝ち上がって、そして残すは一試合。相手方、部長のいるペアが出てきましたよ。唐戸と階のふたりを相手に、タッグとしての結束を強めたみるく、星が立ち向かう。でも、二人の力で勝とうという星にみるくがいうんですよ、ありすも加えて三人だって、ほんと、これ、泣けるいいシーンでした。

試合がはじまって、サブミッションの使い手、唐戸の攻勢に苦戦する星。苦手とはいっていたけど、ここまで星の強みがつぶされるんだ! ここからみるくの介入! しかしどうしてこの状況から試合の流れを引き寄せるのか。見どころですね。

『六条さんのアトリビュート』

このみの母がきます! というので、いつまでもぐーたらしてる六条さんをしゃんとさせようと焦るこのみなんですが、焦りすぎたか棚にぶつかり、さらに悪いことに落ちてきたイルカのオブジェで頭打っちゃった!

まさかこれが誤解のもとになろうとは思いもしない! この状況を途中から見たこのみの母、まさか六条さんがそのオブジェでこのみを殴打したと思っちゃったの!? 思い込みの強い母! 問答無用で六条さんをぶっちゃって! さらには娘このみの説明をまるで聞きゃあしない!

ああー、ほんと、このみがちょっと苦手にするのもわかる。でも娘のこと心配してるのは間違いないんだよなあ。思い込み強い、過干渉、過保護、どういういいかたでもいいけど、ちょっと塩梅が難しい! 実際、えらい厳しい態度で臨んだ六条さんとの同居問題も、このみの説得受けて納得したら、もうそれで全解決ですか!? すっかりほだされて、このみは六条さんのことを好きとかいっちゃって、さらには六条さんのことも猫可愛がり!? すごい、すごい変わりようだ!

でもここでまさか六条さんの幽霊ということがバレるとは予想外! だって、切り抜けられたと思ったじゃん! 六条さんの我慢が足りなかったのか、あるいはバレる運命であったのか、いやほんと、母来訪編は今回で終わりかと思ったけど終わらないなこれ。ほんと、これからどうなるんだ。

2021年8月21日土曜日

『まんがタイムきららMAX』2021年10月号

 『まんがタイムきららMAX』2021年10月号、昨日の続きです。

『リリカお嬢様に振り回される!』

わがままお嬢、リリカの傍若無人が光る漫画。家政婦の永野はたびたび困らされているわけですが、慣れちゃってる感もありますね。むしろリリカのわがまま放題があってはじめて働いてることを実感する、そんな感じになってる模様。

さて、愛されてることを実感できないがゆえに、満たされない思いを埋めようとして永野を困らせているっぽい、なんてことを前回は感じたわけですが、今回はそのリリカの心情や背景が掘り下げられて、ああ、愛し愛されるということ、それがわからないんだ。リリカの思い出す母との関係、それはどこか希薄で、そして足が不自由なこと、それを負い目にしているところも描かれる。

そうしたことをただ説明するのではなく、飼っている犬、シャルロッテとの関係、その交流を通じて自然に引き出していくところ、とてもよかったと思っています。シャルロッテにどう接したらいいかわからない。ふとしたことに、リリカの思うところがポツリと表に出てきて、そうかあ、決して悪い子じゃないんだな。永野のことも困らせてはいるけれど、嫌ってとかではないんだ。むしろ甘えたい、けど甘え方がわからない、そんな感じだったんですね。

第一話では、困ったお嬢様だな! けど続く第二話でしっかりリリカのこと、嫌な子ではないんだよって伝えてくるところなど、これもうまかった。この子のこと、ちょっと放っておけないな、そんな気持ちにさせてくれる。ええ、悪くなかったです。

『桔香ちゃんは悪役令嬢になりたい!』

桔香の幼馴染みの女の子がやってきました。引っ越しで離れ離れになった彼女とは手紙のやりとりをしていたんだけど、桔香、イトちゃんたちのこと下僕だっていって、ありもしないこと書いて送っちゃって、いやもう、そんな状態で遭遇したもんだからもう大変。幼馴染みのヤエちゃんをがっかりさせたくないからと、嘘にあわせて欲しいって必死でお願いするんだけど、だったら嘘は駄目だよ! でもこの無理難題にしっかりつきあってくれるんだから、お友達のみんな、ほんといい子だよ。桔香、この子たちを手放しちゃあいけないよ!

しかし、アオイにイトには無茶な性格付与しちゃったのに、ツナギについてはいつもどおりっていうの、これツナギの特性がナチュラルにおかしいからだよなあ! ほんとおかしい。

でもね、今回なにがよかったかって、イトちゃんだよね。桔香が場を離れた時に、イトちゃんのこと、桔香がどう思って手紙に書いてきたかって、仲良くなれて嬉しかったって、普段はなかなか口にできないようなこと、ヤエが聞かせてくれて、それでイトちゃんの表情がゆるむとことかね、素晴しかった。

この漫画、ちょっと奇行が目立つけど、そうした中に友達になれて嬉しい気持ちとか、素直にいえない思いとかがちりばめられて、それが時に顔を出すの、すごくいいんですよ。人づきあいの妙、ちょっと調子にのっちゃうのもひとつの表れかも。ほんと、最後反省してる桔香のイトちゃんに向ける感情とかね、それからそんなふたりを笑顔で見守るふたりとかね、とてもよかったです。桔香、いい友達にめぐまれました。自分のことのように嬉しくなります。

『お姉様のVな事情』

2回目にしてきっちり仕上げてきた、そんな感じありますね。普段は皆の憧れ集める素敵なお姉さんである苦楽園ミユキ。しかしその実態は酒飲んでくだ巻いて、その状態で動画配信なんてしちゃったりする、ちょっと困った自堕落お姉さん。小さな頃からミユキに憧れていた逆瀬川マリナも、リアルミユキの実像を知ってショックだったわけですが、なんだかうまいこと引き込まれて、私生活に動画配信にといろいろサポートするようになるのかななんて思っていたんですが、サポートしながらもミユキの長所を再確認していった今回。ああ、ただの駄目なお姉さんじゃないんだよって、マリナのミユキに向けるリスペクトを通じて伝えてくるのは実にうまかったと思います。

ボロ出しそうになりながらなんとかとりつくろっていく私生活を前半にて置いて、そして後半には配信の様子を見せるんですが、最初、この人ほんとに大丈夫かな!? そんな風にも思わせておいて、けどデキるところも見せていくなど、メリハリあっていい感じ。そして後半配信においても、リスナーのこと、そんなに細やかに覚えているものなの!? 他にも前向きポジティブなトークでリスナーの気持ちも引き上げていく、そうした様子も描かれて、この人の人気があるということがしっかり確かさをもって伝わってきたのでした。

こうなると、なるほど面白いなって思いますよね。ええ、納得させられる、そんなところありまして、さらにそこにマリナからミユキに向けたリスペクトだけでなく、ミユキからマリナに向けられる同様の思いも乗せられてくるのですから、ああ、いいですね。いずれマリナの物語もはじまりそう! とてもよかったです。

2021年8月20日金曜日

『まんがタイムきららMAX』2021年10月号

 『まんがタイムきららMAX』2021年10月号、昨日の続きです。

『瑠東さんには敵いません!』

瑠東さん、病欠! それでちょっとそわそわしている千紘。あー、やっぱり寂しいのかね。そう思ってたら、これ、授業中のはちょっと違うな! 落書き、ソシャゲをいつもは瑠東の背中に隠れてこっそりやってるのに、今日に限っては壁がないから落ち着かない! いやほんと、瑠東さんに頼りっぱなしですなあ!

でも、実際のところ、千紘、瑠東のことばっかり考えてる。昨日の雨のせいだろうか。あるいはその不在が、より一層に瑠東を思わせる。ええ、実際そのとおりみたいで、最初はいろいろ否定しようと理由やらなんやら探してた千紘だけど、見舞い、じゃないな、プリント届けにいったのか、その先でちょっと弱った瑠東から素直な言葉、私は寂しかったよ、をかけられて、ほんと、観念しましたね。ええ、千紘も寂しかったんだ。

当初からの謎、なぜ瑠東は千紘のことそんなにかまうんだろう。その理由、千紘のことが好きだからというの、はっきりと明言されましたね。ただなぜ好きになったのか、そのきっかけとかなんやらかんやらはまだわからない。でも、瑠東の気持ちははっきりとして、これは前進でしたね。ええ、千紘も観念するといい。もっと瑠東のこと好きになるといいよ。

『初恋*れ〜るとりっぷ』

マジかーっ! 新入部員ゲットを目指し部室にいった鉄道部の面々、彼女らをひとり部室で待っていたのは、まさかのプリシオンちゃん! なんで!? そらを追って鐘ノ台に入学してきた。ええーっ! プリシオンちゃん、前の学校やめてまで、留年扱いで新入学してきたのーっ!

もともとそういう傾向あったけど、無茶するなあ、プリシオン。とか思ってたけど、あーっ、そうなの! あなた、もう単純に年下だったの!

そらを追って入学、鉄道部にも入部。その行動力はすごいけど、ひやかし入部はおことわり。そういわれても即、鉄道好きだって答えてくるの。本当? 皆が疑惑の目で見てるんだけど、プリシオンちゃん、ほんとわからんよなあ。そらが好きなものならなんだって好きになりそうな勢いあるもん。となれば、鉄道が好きってのも嘘じゃないもんなあ。

しかし、プリシオンちゃん、ものすごい。鐘ノ台の制服、めっちゃ似合ってるなあ! みかげを先輩と呼ぶ時のあの表情とか、尋常でない可愛さですよ。まいったな。そしてここからも大活躍。先輩たちを差し置いて、新入部員勧誘のために動きまくる。率先してコスプレして、実際新入生を呼んできて、有能すぎる! と思ったら、その子ら、鉄道好きではなかったか……。うん、まあ、女子高生ったらたいていはそうよ。

プリシオンちゃん来襲。しかし肝心の先生が部に顔を出さなくて、いったいどうしたんだろう。職員室にいってみたら、午後イチで帰宅!? 午後休! さらには、さがさないで下さいのメモ書きまで残していて、でもこれでプリシオンちゃんを疑うのはちょっと違うよ! いくらなんでも、プリシオンちゃん、先生を排除したりなんてしないよ……、ね? しないっていってください……。

いやほんと、めっちゃ不穏な最終コマ。この漫画で過去一不穏なのでは? いやもう、はやく真相を知りたい、知って落ち着きたい。そんな気持ちでいっぱいですよ。

『今日の授業は恋愛です!』

今回は水着回! ということでさがりも水着なんだけど、あら意外なの選んだのね、と思ったら、違うんか、綴喜先生がそっとすり替えたのか! すごいな先生。

でもね、綴喜先生、いろいろあかんとこあるというか、ほら、実質調理実習とかいってたBBQで、だったら授業の一環ですやんか、なのにいきなりビール飲もうとしてるの、あきませんって! みたいな感じで、いろいろあかん人なのに、実は結構ちゃんとされてるの。さがりのこと、いろいろ気を配ってくれていて、水着のこともそう、それから過去のことも知ってくれていて、ちゃんと恋愛科での学園生活を楽しめてるかって、気にしてくれてるの。いろいろサポートして、さがりにとってよくなるようにしてくださってるんだろうなあ。

先生もいってたように今回は水着お披露目回、ということで皆の水着、可愛さ? いや、ひとり動きやすさ重視がいるぞ? ともあれ、可愛さ押し出してくれていて、自分は好きですよ、しらべのポリシーとその選択! 背景のうつぼだってめちゃキュート! とか思ってたらこみねがここで可愛さ大盛りしてきたりして、いやもう、実際こうしたいろいろが楽しかったものだから、ラストの先生とさがりのやりとりがね、よかったねって、ほっとさせられた、そんな気持ちにさせてくれたんですね。

そうそう、なとせ様、火が怖いのね! でもってめちゃくちゃ頼りになるりっか。お母さんじゃなくせめてお姉ちゃんで! でも、ほんと、あの皆に気を配って世話焼いてる姿、意外といったら申し訳ないけど、知らなかった魅力をがーんと押し出して、いやもう今回も皆のいろいろ、すごく楽しかった。ほんと、いい子たちですよ。

2021年8月19日木曜日

『まんがタイムきららMAX』2021年10月号

 『まんがタイムきららMAX』2021年10月号、発売されました。表紙は『ご注文はうさぎですか?』。チノとリゼがふたり水着姿で表紙に登場。手にしたソーダ水、はじける炭酸、勢いよく吹き出す水の清冽さに、涼しさ感じさせる素敵な表紙であります。しかしふたり、レモンあしらった水着、いつにない雰囲気、とりわけリゼがそうかな? ちょっと意外で、けれどとてもよく似合って魅力的であります。

今月は新規ゲストが3本です。

『お金に釣られるっ!市子ちゃん』

白岡市子はお金が欲しい女子高生。夜更かししてバイト先を探したのはいいけれど、睡眠不足がたたって通学の電車で寝過ごしてしまった! って、次の電車2時間後なの? ハードすぎる。これ、そうそう簡単にいいバイト先の見つかるような立地じゃないよね? でも、この寝過ごしからの散策がさいわいしたんですね。古くてボロい、いわくもついてる、そんな微妙な物件だけれど、時給1500円を提示してくる漫画喫茶と出会えたのですね。

この漫画喫茶、両親から受け継いだという現店長、蓮田ワタルの身から出た錆で霊障に見舞われるというのですね。ポルターガイスト、ひとりでに揺れる書棚、次々落下する本。鏡に写る女の霊と、それはそれは怪奇現象てんこ盛りなんだけど、市子、この子は強いな! 幽霊とかまるで怖くないのな。それどころか、金になる、儲け話に繋げよう、とにかく金に貪欲前向きで、女の霊も躊躇なく一緒に自撮りしはじめた市子にビビってますやんか!

怖さよりも面白さ、市子のバイタリティの光る漫画。この前向きさ、アグレッシブさ、怖いものなし、金となればどんどん突き進む蛮勇は魅力的。こうしたカラッと明るく気持ちいいキャラクター、いいですね。

『はねのね』

バドミントンの漫画なんですね。先輩柊蓮花の策略でバドミントン部の活動を見学することとなった柏木真乃。蓮花は蓮花で、姉の唯花の誘いで顔を出すことになって、けどあんまり乗り気でない? 真乃を自分の身代わりに姉に差し出すようにして、活動する気はないみたい。このちょっと強引でけど面倒ごとは避けたい感じ。ドライなのかな? どこか冷めてるといったほうがらしいかな。

唯花がたったひとりの部員、松田海と真乃の軽く続けるラリーを制止し、本当のバドミントン、楽しさ重視から熱い部活への転換を宣言するくだりから、一気に雰囲気が変わるのが印象的でとてもよかったです。スポコンなんて冗談じゃない、抗議する蓮花だけど、姉の提示した夕飯当番の交代、それを賭けた勝負に熱くなるところね、ただ冷めてるってわけじゃないんだ! やってみれば、実際に打ちあってみれば、負けたくないって気持ちも湧いてくるし、それになにより楽しいという、そんな蓮花の様子は、スポーツの面白さ、楽しさ、魅力をよくよく描き出していたと思います。

勝負には負けてしまったけれど、タオルを差し出す真乃に微笑みかけた蓮花の表情、それが実に効果的。ふたりのやりとりについつい引き込まれてしまいました。

『死にたくても死ねない私と死んでも死なないあなた』

イジメを苦にして自殺をはかろうとした生久米スイの前に現れたのは、なんら躊躇することなく高所から飛び降り自殺を敢行する非時カグヤ。けれどカグヤ、特殊な能力というか、不死者であるというのですね。落ちて潰れたかと思いきや、普通に原形留めて生きているし、というかすごい勢いで再生してる?

生まれはBC29年。それを聞いて即座に2050歳!? と返すスイ。これ、この時点でスイの回転の速さをほのめかしていたわけですね。ええ、イジメだけでなく家族関係にも悩みを抱えているスイ。その子が、不死者ゆえの孤独に人生の空虚を抱えているカグヤの友達になるという。

カグヤを研究して自分も不老不死になれば問題ない。そう啖呵を切ってみせたスイのその後が描かれるくだりは、時の流れにしたがい刻々と変わっていくスイと、その流れにひとり取り残されるカグヤを鮮烈に対比して見せて、そのやりとりに見せる親密さとはうらはらに、むしろカグヤの感じる寂しさを裏打ちするかのようでありました。

けれど、これ、カグヤではないけど、やられたなあ! そう思わされたのは、この一連の描写でもって、ある種典型的な不死者とモータルの関係、抗えない別れの切なさ、その悲劇を描きたかったのだなと思わせておいて、終盤で思いっ切り引っくり返してくるそのやり口ですよ。作者の、どうだ! って笑う顔が目に浮かぶようで、いやもう、全然切ない系の話じゃないじゃんよ! ともあれスイの有言実行! してやったりのドヤ顔に続いて見せたスイの笑顔には、カグヤの寂しさをなんとかしたいと願ったこの子のシンプルにして真摯な願いが溢れて、これはたまらんですね。カグヤならずとも胸にくるものありました。

2021年8月18日水曜日

最後の日々: 生存者が語るホロコースト

日本における終戦の日、見ていたのが第二次大戦期にドイツに存在したホロコーストを扱ったドキュメンタリー、『最後の日々: 生存者が語るホロコースト』でした。Netflixのドキュメンタリーカテゴリーをぼーっと見ていた時に、これはいずれ見てみたい、そう思ったのがこのタイトル。けれど1時間27分という時間は日常にぽいっと見るには少し長くて、なので余裕のある今日こそ、そういう思いで見たのでした。この映画、アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞しているのだそうですが、なるほどと納得する重さと内実を持っていて、痛ましさに胸の奥がずーんとくる、そんな感覚が残ります。製作総指揮はスティーブン・スピルバーグ。そうかあ、『シンドラーのリスト』もそうでしたが、自身のルーツにも関わりうるホロコーストをテーマとした活動、ずっと続けていらしたんですね。

強制収容所に収容されながらも生き残ることのできたハンガリー系ユダヤ人、5人の証言を中心にして構成されたドキュメンタリーです。自身のアイデンティティはハンガリー人であった彼ら、非ユダヤの人たちとも交流があり親しくしていた彼らの生活は、ナチスの台頭を受けてすべてが変わってしまう。

ユダヤ人排斥の気運が徐々に高まっていき、胸にダビデの星をつけるよう強制される。続きゲットーに、そして絶滅収容所に送られてしまった彼らの体験したことは聞くだにつらいことの連続で、これまでにも聞いて知ってきたこと、そのひとつの類型であるというのにここまで痛切と感じられたのは、彼らの語る体験、その生々しさ、その重さがゆえであるのでしょう。強制移住させられる時、身につけたのは楽しかった、美しかった日々を思い出させる水着。ホロコーストでの暮らしの中、必死の思いで守り抜いたのは母が持たせてくれたダイヤモンド。そうした個人のエピソードが、ただの知識や情報としてのホロコーストではなく、個別の人の身にふりかかった災厄としてのホロコーストを描き出して、想像を絶するその辛苦、それがこの地上にあったということを思い知らされるのです。

このドキュメンタリーは、ただ当時を回想し、ホロコーストの存在を語り継ごうとするだけではありません。この地獄を生き抜いた彼らが、子や孫とともに災厄の地を訪れ、再び出会うことのなかった家族のその後を辿り、かつてしあわせな日々を過ごした故郷を訪ねる。そこで語られること、出会う人々、自身深く自問してきたことと見出される答。想像もし得ない深い苦悩の果てに見出された結論なのでしょう。言葉もなく聞き入るばかりでした。

そんなつもりでこのドキュメンタリーを見たわけではなかったのですが、絶滅収容所でおこなわれたことを笑いの一要素としてコントに持ち込んだことが問題とされた件を思い出しました。ホロコーストを揶揄はしていない、その酷さを理解しているから成立するコメディだった、そういう意見もあったことは知っていますが、こうしたドキュメンタリーに触れると、その理解というものは通り一遍の知識としての理解に過ぎなかったのではないか、その擁護もまたそうした知識としての理解に過ぎないのではないのか、そうした思いを強めることとなりました。

ドキュメンタリーに差し挟まれる実際の映像が語りにさらなる重さを与えて、その圧倒的なまでの悲愴感に、これを簡単なものとして扱うことは到底できない、とりわけ当事者にとっては許しがたいものであろうということを思いました。そしてまたここまで資料が残り、関係者があって、証言も残っているのに、これを否定するものが後を絶たないのかと絶望的な思いにかられ、それだけにこうした証言を映画のかたちで残していくことの重要性を改めて思ったのでした。

おそらくは、欧米は今もなお流血しているのだと思う。ナチスという異端がおこなったこととして切断するにはあまりに重すぎる事実に、今もなお戸惑いや苦しみを覚え、癒えない傷としてその社会のうちにホロコーストとその記憶を抱き続けているのだと思う。ともすればこれを忘れさろうとする諸力に抗い続けるのは、これを傷として我が身に引き受ける彼らにとってはなお終わらない事実であり続けているからだと思う。

ゆえになおざりに扱ってはならない、そんなテーマのひとつがホロコーストなのだ。そうした思いを持ちました。

2021年8月17日火曜日

ゆきゆきて、神軍

 夏だから、というわけでもないのですが、つい先日、ずっと気になっていた映画を見たのですよ。『ゆきゆきて、神軍』。第二次大戦をニューギニアにて兵士として経験した奥崎謙三が、心残りとなった疑問を明かそうと元上官や戦友たちを訪ね歩く様を追ったドキュメンタリー。しかしこれが話題になっていたの、戦時のいろいろを浮き彫りにするということもあったわけだけれど、むしろそれ以上に奥崎謙三という人物の強烈さが中心で、いわく狂人、まともでない。元上官を訪ねていって暴力沙汰に及ぶんだぜ? みたいな風にささやかれていたのを仄聞しては、いったいどういうドキュメンタリーなんだ? 気になっていたのです。

Huluにて配信されていたんですね! うお、これは見ておきたい! そう思って、ようやくまとまった時間ができたから、ようし見るぞー、と心待ちにして見た。

しかし、ひとりの人物をつかまえて狂人呼ばわりはちと酷いよな。実際、どういう言動なのか、そう思いながら再生したら、あー、こりゃあヤバいわ。だってさ、この人の自家用車、バリバリの街宣仕様で、なにか主張があるのはわかるけど、「田中角栄を殺す」とか書くの、あかんだろう! およそまともではない。この時点でちょっと引いちゃってるわけですが、でもこの人はこの人なりになにか信念があって、話す内容はアレだけどわからんわけではない。理路はある、そんな感じの人物でした。

この人、戦時中に処刑された人物について、聞き取りをしていたんですよ。なぜ? 彼らが処刑されたのは敵前逃亡のためなのか? その理由を問うていく。

聞き取りを重ねていくうちに、いったいこの人がなにを問題にしているかが徐々に判明していくつくりになっているんですが、当初は処刑にいたった理由に疑義があるのかと思っていた。ところが、どうもそうではないっぽいぞ? 処刑の日時が終戦を知ってから数日後だったのはなぜか。これはただ理由に拘泥しているのではない。奥崎が知りたいのは、なぜ彼らは殺されなければならなかったのか? ではなく、なぜ彼らを殺したのか、その処刑の目的をこそ問うている。

そして、対象となる事件を変えてさらに続けられる聞き取り。これで奥崎の問題意識が明確になるのですが、正直、ここまでこれがあからさまに語られることになるのか! 心底驚かされて、ぞっとする、息を呑む、呆然としながらも語られることをあまさず聞き取ろうと必死の思いでついていって、これはすごいわ、評判高いのもよくわかる。

想像をはるかに超えたものを見せられた、そんな圧倒された感覚ばかりが残りました。

内容には触れません。正直、これでも語りすぎたと思ってる。なにも知らないまま見せられた母が、これはなんという映画かと聞いてきた、それくらいに見るものを引き付ける凄さがある。そんなドキュメンタリー。

圧巻といっていいのだろうか。苛烈といった方がいいのかも知れない。ドキュメンタリーや映画をさほど見ていない自分だからそう思うのかも知れないけれど、これは独立峰の存在感だと思う。機会があれば見てほしい。なるたけ事前情報がない状態で!

そういうのは、自分の覚えた圧倒される感覚、それを共感する人を増やしたいからなんだろうなって思います。ええ、すごかった。ただただすごかったのですよ。