2019年1月7日月曜日

『まんがタイム』2019年2月号

 『まんがタイム』2019年2月号、発売されました。表紙は『おとぼけ部長代理』。代理が温泉につかってくつろいでいます。『年上お姉さんと恋の壁』あこは湯上りの浴衣姿です。『花丸町の花むすび』花子は仲居やってますね。で、おかしいのが『瀬戸際女優!白石さん』。タオル巻いて湯につかって、まではいいんですが、頭にまいてるそれはなに!? 猿のかぶりものなのかなんなのか、よくわからないものかぶって、なのにすごい真顔。これ、新境地狙ってるんでしょうか。

今回は新規ゲストが2本です。

1本目は『江戸の蔦屋さん』の桐丸ゆいの新作『八犬伝の義理娘』。南総里見八犬伝の作者、滝沢馬琴をとりあげるのですが、その導入がよくできています。28年かけて書かれた大作。しかもその晩年、馬琴は視力を失っていてという説明からはじめて、本作主人公のミチ、馬琴の息子、亡き宗伯の妻に進行をひきつがせます。家事を切り盛りしながら、義父馬琴の細かい注文こなしていく日々を描くとともに、作家馬琴のファンとしての側面も見せて、義父との関係、そして作品の人気、その魅力を表現していく。それがうまかったなって。でもって、今回の引きですよ。馬琴、完全失明! これからどうする!? 次号に向けて一気に話が展開していきますよ。

2本目は『午前0時のおねだりごはん』。OLふたりの関係、描いて魅力的。有能にして華麗、後輩からもしたわれる先輩社員米沢と、素朴でひかえめなまだまだ新人牛喰。牛喰にささやく米沢の意味深な一言。それが社内を動揺させて、というのだけど、そうか、牛喰が実家の食堂での賄い、空腹に座り込んだ米沢に食べさせたのがきっかけで、こんなことになったっていうんですね。賄い料理という、あまり気取らない、けれどきっとおいしそう、そう思わせるグルメ要素をスパイスに、先輩と後輩というふたりの関係、親密になっていこうとする様子など描いているの、面白く読みました。社内ではクールな米沢が、牛喰の前ではゆるい表情見せてくれたりする、そうしたギャップも悪くない。あるいは、社の皆に見せているクールな表情、あれは仕事に臨むこの人の武装なのかも、と思うと、働く女性の頑張り、大変さなんてのも見えるように思えて、そうしたところもよかったです。

『ハニトラなんか怖くない!』。新展開きましたね。綾小路にまかされることになった新しい仕事。その補佐に派遣の山田さんが選ばれて、ここで一気に加速する、部長と綾小路とのすれちがい。部長はセクハラ、綾小路はハニトラ、それぞれ違うことを思いながら、なんとなく成立してるっぽいやりとりとか本当に面白く、そして部長から渡されたセクハラ防止マニュアル。これのせいでとことんまでいく綾小路の奇行。いいですね。実にいいですよ。いったん基本形に立ち返った感のある今回。綾小路の山田に対する覚え? 新しい要素も加えつつ、しっかり丹念に面白さを積み上げていっているところに好感です。

『良倉先生の承認欲求』。実に面白かった。SNS上での詮索にはじまり、学内での誤解に終わる。その開いて閉じるところを揃えてくる構成、うまかったなって思います。星畑とのやりとりがまたよいんです。いい感じに遠慮がない。良倉からの遠慮もないんですが、それがふたりの関係の特殊さを演出するというか、不思議な対等感があって気持ちいいんですね。今回はネイルをテーマにして、教師である良倉が星畑に説教されて小さくなったりするような、理解できないといいながらもいわれたことを真摯にメモしたりね、そういう立場の転倒。実に魅力的だと思っています。自作のネイルチップ、星畑にほめられて嬉しそうな良倉もすごくよかった。星畑のほめかた、すごく素直で、心からそう思っていってるってのがわかるんですね。キャラクターの描きよう、いきいきとしてチャーミング。作者の強み、よさだと思います。

0 件のコメント: