2022年10月23日日曜日

オーバーマン キングゲイナー

 機動戦士ガンダム 水星の魔女』のからみで少々話題になっていた『オーバーマン キングゲイナー』を見ています。これが初視聴。どういう話なのかまったく知らない、前知識はopのダンスが面白いということくらいの状態で見始めて、いやもうこれ面白いですね。オーバーマンのデザインを頭身低めと勘違いしていたせいで、キャラクターも頭身低めのコミカルなもの、『ザブングル』のジロンみないな感じと想像していたものだから、主人公のビジュアルを見た時に、あれ!? なんか違うぞ!? ってなったんですが、見てみればこれがハマるハマる。いやもうほんと、めちゃくちゃ面白いです。

監督が富野由悠季ということで、リアルでシリアスなものを予想していたのですが、設定こそは鉄道企業に支配される過酷なシベリアの地から脱出する流浪民たちというハードなものでありながら、その描写はコミカル寄りで、味方にせよ敵にせよどこか憎めない愛らしさがあるという、不思議なアニメです。だって、ゴリゴリのおっさんなのに可愛いんですよ? 涙もろかったり、情に厚かったり、かといって狡猾卑劣寄りの人間でも、どこか抜けてたりして、とにかくみんな妙に人間臭い。この人たち戦闘で死んじゃうんかなあ、死んだら嫌だなあと思いながら見ています。

現在は22話を見終えたところです。20話くらいまでは、戦闘があっても徹底して人死にが出ない(いやどう考えても死んでそうな人はいるし確実に死んでる人もいる)ので比較的安心して見ていられたのですが、最終回が近づき物語も佳境に入ると、コミカルな描写は徐々に減っていき、ともない、あの人たち死んじゃうんじゃない!? めちゃくちゃ不安にもなってきて、いやあ、残り4話、どうかハッピーエンドに向かってくれよ!? 祈る思いってやつですよ。

キャラクターが可愛いといってましたが、おっさんでも可愛いんだから、女子となると相当なものですよね。話題になったオープニングのダンス、ここに出てくる皆が可愛い! って、オーバーマンも踊ってるんですけどさ、マジかよ!? 敵だよ!? 一緒に踊ってるよ!? もうびっくりしたんですけどさ、最初に出てくるアナ姫さまですよ。もう一目でしたね。一目見て、君が! 君が! ナンバーワンだ! でしたよ。

しかもこの姫さま、お小さいのですけど、すごくしっかりしていらっしゃる。姫という立場を理解し、広い心で正しき道理を説かれるの、もう最高ですよね。14話くらいまで見た時点で、アナ姫さま! あなた様が! ナンバーワンでおいでです! でした。

このアニメ見ましてね、富野由悠季という人の問題意識というのは、人が生存できる環境を追われるとはどういうことかってとこにあるのかなあって思ったりしています。インタビューとか考察とかでいろいろ明らかにされてて今さらの話だとは思うんですけど、ガンダムからが地球に住めなくなって宇宙に棄民された人類の物語だし、ザブングルも人類の生存不可能な環境に適応すべくデザインされたネクストヒューマンだし、ブレンパワードはオルファン浮上で人類滅亡目前、ターンAは文明滅亡後、Gレコも文明衰退後にかろうじて生き残ってる人類の生存物語ですよ。

キングゲイナーは地球環境を貪り尽した人類の行き着いた世界を描いて、これ、世界中が寒冷化してると考えていいのかな。いくらシベリアから出発したにしても、ずっと凍土、吹雪の中を進んでるものなあ。極寒のシベリアに押し込められていたヤーパン(すなわち日本)の民衆が、巨大都市ユニットをコンボイよろしくずらりと引き連れ、生活環境ごとはるか東の理想の地に向かって移動しているビジュアルは強烈で、これは国土を失い故郷を追われた流民によるレコンキスタ、国土回復の物語なのかも知れない。

そう考えると、富野由悠季のテーマっていうのは通底してるんだなあと思わないではおられない。そしてそのテーマの持つ普遍性ゆえに、20年という時を経てなお新鮮に感じさせる魅力あふれる作品として息衝いているのだと感じました。

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