2019年9月5日木曜日

『まんがタウン』2019年10月号

 『まんがタウン』2019年10月号、発売されました。表紙は『映画クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキキングダムとほぼ四人の勇者』がメイン。赤いベレー帽をかぶって、手にはおおきなクレヨン。ちょっと芸術家風になったしんのすけがドーンと大きく登場です。そして今回からの新作やゲスト、その告知カットが掲載。『夜明けのふたりごはん』、『かのんとぱぱ』、『兄と暮らせば』の3本が紹介されていて、これに『映画クレヨンしんちゃん』の漫画版と『立ち呑み布袋でもう一杯』。この5本が今回のご新規さんですね。

『夜明けのふたりごはん』、新連載です。夜勤から帰ったら家には迎えてくれる誰かがいる。それだけで世界がまるで違ってみえて……。女性ふたりの同居ものであります。警備の仕事をしているすばると小説家のほたるのふたり暮らし。ふたりが一緒に暮らすにいたったいきさつなどは語られなかったけれど、ほたるの存在が孤独をやわらげてくれているということ。気持ちががらりと変わってすこやかさを取り戻せたこと、そうしたすばるの事情、心情が語られたところなど、大変よかったです。ほたるは料理が得意? 四角いオムライス、スティックオムライス? というの作ってて、なるほど、ふたりの交流、関係を軸に、こうした食事もとりあげていこうという、そんな感じの漫画かな? 食事もの、やっぱり人気なのかな? 最近、多いですよね。

『かのんとぱぱ』、3号連続のゲストです。妻を亡くしたパパ。娘の歌音と一緒に暮らしてきた、すなわちシングルファーザーなのだけど、今では歌音がすっかりしっかりしちゃって、いやあ、強くなければ優しくなれない? そんな感じの娘さんですね。父と娘、ふたりで家事を分担。歌音は春から中学生だけど、ひとりの時は火を使わせてもらえないのか。これは心配性パパなのか、今どきはこれが普通なのか。自分にはちょっと前者と思えて、だとしたらこれがパパの個性ですね。いろいろと辛辣にも思える娘の言葉だけど、反抗期というよりもしっかり者という色の方が強くて、けどその影には家族への心配や思いやりが隠されている。そうしたところ、この漫画の見せ場、軸であるのでしょうね。

『兄と暮らせば』、ゲストです。コマ割り漫画です。兄と妹のふたり暮らし。兄の誕生日というので母がカニを送ってくれた、というのだけど、特に兄の好物ってわけでもないのか。むしろ妹の好物とかいってますね。そうしたふたりの会話を中心に進んでいく物語。ふたりの日常のできごと、それが描かれるといったらいいのか。けれど日常系といった風ではなく、むしろ私小説的というかヒューマンドラマ寄りというか、そんな感じがありますね。言葉やちょっとした仕草、語られる出来事の向こうに、ふたりの心情が見える。相手に向けた気持ちや、こうありたい自分とそのギャップといったものがうかがえる。人のありよう、そういったものがたちあらわれる瞬間がある。そんな感触を味わわせてくれる一本です。

『立ち呑み布袋でもう一杯』。面白いな。立ち呑みの焼き鳥屋、布袋にて食事をする漫画家。おいしいと、いかにも職人然とした店員と話しながら食べて飲んで、ご機嫌なのですが、これが面白かったの、この爺さんが店長と思わせて違うところだよなあ。主人公も驚いてたけどさ、こっちも見事な肩透かしに、ああ、やられたって、ちょっと嬉しくなりました。今回は出会い編、邂逅編といった感じ。ふと立ち寄った店、布袋で、おいしい焼き鳥と、そしてちょっと異色で魅力的な店長に気持ちが持っていかれてしまった。今後が描かれるとしたら、店が固定で、この店にやってくる新規のお客が入れ替わりとなるのか、あるいはこの漫画家の兄さんが主役としてこの店に通うことになるのか。どちらであっても、きっと面白いもの見せてくれるぞ、そんな予感のさせられる出会い編でした。

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