2019年9月28日土曜日

『まんがタイムきららキャラット』2019年11月号

 『まんがタイムきららキャラット』2019年11月号、発売されています。表紙は『まちカドまぞく』、シャミ子とミカンのツーショットですよ。ふたり、柑橘柄の衣装着ましてね、いやもう素敵ですよ。明るくさわやかなミカンに、ちょっとシックで大人っぽさ感じさせるシャミ子にと、ほんと素敵なふたり、素敵な表紙だと思います。しかし、手にしてるレモンとその輪切り、それが有名雑誌の表紙思い出させたりもして、これはそういう効果も狙ってのこと? いや、しかしあの片目をレモンで隠してるのがいいアクセントになって、可愛い、実にチャーミングな仕上りです。

今月は新作ゲストが2本です。

『しずねちゃんは今日も眠れない』。引っ越しと転校という環境の変化が原因で、眠れぬ日々を過ごしている星川しずね。学校でも友達できないとか、なかなか弱っているようなのですが、その悩み、解決する? ファンシーショップで見つけた羊の抱き枕。絶対安眠なんてまさかと思いながらも買ってしまったの、そんだけ悩みが深いというか、追い詰められてたというか、余裕が奪われてる感ありますよね。この羊のぬいぐるみが安眠と不思議な夢とかもたらしてくれるのかな? なんて予想したらそれ以上のもの出てきましたよ。この羊、人の姿になって、しかもちゃんとしゃべれる。この不思議状況に全力でおびえるしずね、この反応はよかったですね。そして夜。美少女と同衾。あ? 眠れた? これ、夢だよね? と思ったら、布団から蹴りだされてるじゃん! それでもちゃんと安眠はできた? 誰かとコミュニケーションできたこと、しずねにとって安らぎになったのは確かっぽいですね。

『ハイシンテンシ』。情報量、多い漫画ですね。配信してる自称天使のおむたん。脱走した天使を捕獲するべく現れた本物の天使に誤って殺されてしまうという導入。展開はスローペースかなと思ったら、配信中、背後に現れて視聴者の興味をかっさらっていくくだりとか、テンポよくて面白かった。おむたんいやさ大村の留守中に勝手に配信してチャンネル登録者増やしてみたり、大村を利用して脱走天使を狩りまくって都市伝説にしてみたりと、この天使の狼藉、やりたい放題で大村に迷惑かけまくって、全部リセットでいいことも悪いことも水の泡。なるほどこの徒労感がこの漫画の鍵か。悪くなかったです。

『まちカドまぞく』。これ、すっごい。ほんと、見事にやられまくった。異次元に迷い込んだ小倉を助けるために結界を超えて入ったシャミ子と桃。そこで出会った小倉にいわれて、並行世界のばんだ荘を整理していくことになるんだけど、これ、普通に帰還のために必要な作業なのだと思ってたらですよ、え? 違うの? 罠なの? もう、最後の最後まで気づかなかった。うわ、すげえ、やられた、そうだ、確かに間違い探しだっていってるのに、思いっきり間違いが目の前に、はじめっから提示されてるのに、まるで気づいてなかった! もう普通にシャミ子たちの間違い探し、どんどん間違いが細かくなってくのを楽しみはじめるところなんてのをね、楽しいなあ、微笑ましいなあ、みたいに思って読んでしまってましたよ。これ、偽小倉、いったい何者なのか。他の次元の小倉なのか? あるいはもっと違う邪悪なものなのか。ほんと、このラスト1本で一気に不穏に落としてくる展開、鮮烈で、強烈で、素晴しかった。ほんと、見事に翻弄される快感ってやつがあります。

『恋する小惑星』。新入部員歓迎のバーベキュー。雨でも決行なのか! というか、雨でもバーベキューできる場所、先生が探してくれたんだ。今回の、新入部員、悠と千景を楽しませようというみらたち上級生。この雨も、地学部の活動の範疇である気象であるというので、悠の気象に対する話に繋がっていくんですね。気象への興味が災害にあった親戚への思いから生じている悠。この子の回想にあるネガティブなイメージ。これが切なさ感じさせて、このところの大雨、台風、気象にまつわる災害のもたらすダメージの大きさ。ああ、悠は当事者に接したことで、そのリアルを深く刻んでしまったんだなあ。でもこの思い、わかるんですよ。ずっと以前のこと、震災がもたらした大被害をテレビで見て、なぜ自分は人の役に立てない学問を選んでしまったのだろうって気持ちにうちひしがれそうになったことがあった。悠の思いは、私の中にも同様にもあるんだなってあらためて思わされて、ええ、この子は普遍的な悩みを抱えてるって思ったんですね。そんな悠のしかめっつら、それが和らぐこともあった今回。意図しない出来事と、それを受けて悠の気持ちも受け止めて、より広い視野に導く先生との対話も実によかったと思います。そうそう、今回、悠と千景にあだ名がつきまして、ナナとチカ。ふたりあわせてナナチカなんだ。仲良く、楽しくやっていけそう。そんな実感あるエピソード、よかったです。

『アニマエール!』。なんなんだ今回。スランプに悩んでいるひづめ。いったいなにかと思ったら、新聞部の4コマ漫画! 忘れてたよ! すっかり忘れてたよ! 虎徹のつっこみ、めっちゃ同感だったよ。しかし今回、笑いどころが多すぎる。各落ちに笑いがある、そんな密度がすごくって、しかも趣深いやらそれ下書きじゃなかったんだねやら、ブルブル震えるような笑いが容赦ないから、ああ、腹筋に効く、読んで鍛えられる漫画だ。すごかったです。でね、今回面白いばかりじゃないのもすごくって、花和とひづめの屋上での対話ですよ。自信をなくしたひづめに、花和が踏み込んで、大事なチームメイトだからってはっきり告げるんですよ。困ってる仲間がいたら手助け、サポートするのは当たり前だということですよね。さらには先輩だからとかじゃないって、もっと近しい存在としてひづめを思ってるって告白ですよね。その展開、感動的でさえあって、ひづめも花和の思いに応えて、はなわならぬかなさんって! でも、それがあんな惨劇を引き起こすことになるとは思いもしなかった……。いやもう、最後の最後にまたも笑いどころですよ。でも、これを絆の跡だっていうひづめ、あれはよかったなあ。ええ、面白さといい話がバランスよく、いや笑いの方が多め? ともあれ、充実のエピソード、大満足でした。

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