2018年6月27日水曜日

『まんがタイムオリジナル』2018年8月号

 『まんがタイムオリジナル』2018年8月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』山下さんをメインにしまして、テーマは夏の風物? これ、ほおずき市ですね。ほおずきの鉢を持ちまして、ほおずきよろしく頬ふくらませてるのがユーモラスでチャーミングでありますよ。『らいか・デイズ』らいかは、浴衣を着て朝顔の鉢の前にいる。浴衣の柄も朝顔で揃えてるのがいいですね。『小森さんは断れない!』しゅりも浴衣、手には風鈴。いつになくしっとりとした雰囲気であります。『妹のおシゴトは時給2000円』ミエ子はお祭り? 金魚すくいしたんですね。右手にポイ、左手に金魚の入った袋持って、いい笑顔見せてくれています。

『スズちゃんでしょ!』。若社長のキャラを立たせようとしているのでしょか。いつぞや描かれた一日の情景、それを若社長の視点から語りなおそうとする今回。呉服の仕事に身を入れず、フラフラしているように見える父、社長の心情もわかるという息子です。店の実権は社長ではなく、その妻、すなわち若社長の母にあるという、そのかたちばかりの社長という立場が苦だったりするのかしないのか。この若社長の心情っていうのも、またその父に似て、蛍光灯の買い出しといった雑務を買ってでるの、母からは暇だとかいわれてね、ああ、なんかやるせないんだろう、店から離れて一息つきたかったんだろうなあ。そんな若社長のスズとのちょっとした交流。いや、しかし、心が通いました、みたいな感じがまったくしないのがすごいよな。ずっとずっと前のこと、スズと若社長は接近したりするのかな、もしや結婚したりするのかな、なんて思ったこともあったんだけど、わからん。ほんまにわからん。そのわからなさが味でありますね。

『少女Switch』。ほんと、面白い。ふとした操作ミスで突然の入れ替わり。マコはごめーんとか軽い感じで謝ってくるけど、状況が状況なら命にかかわるよ!? そんなうららのシリアス、いいですね。今回のこの入れ替わり。それが引き起こしたドタバタ、ほんとに面白かった。マコの家にとつぜんやってきた男。うらら in マコはその男のこと知らないし、兄? ホントに誰? 困惑してるんだけど、連絡とろうにもマコが役にたたねえ! これ、マコのキャラクターが秀逸なんですよ。こういういいかげんさ、大雑把さ、それがしっかり効いている。というか、状況の混乱を広げる、収束に向かわせないことに関しては、ほんと、大貢献ですよ。今回登場の男子、マコの幼なじみなんだ。でもって、ついに思い切って、恋人としてつきあってくれ、告白なんてしちゃってね、でも中身はうららだから大弱り。真面目なうららの混乱とか困惑とか、対してやっぱり大雑把でデリカシーもその気もないっぽいマコとかね、いい対照だわ。面白い展開でした。ほんと、ふたりがそれぞれにちゃんと事態を受け止めはしたんだけど、混乱もなにも、まったく収束せずに終わった感じ。最高だったと思います。

『ケムリが目にしみる』。ゲスト掲載なのかな? 新連載なのかな? コマ割りスタイルのストーリーものです。葉山かすみ、26歳事務職が主人公。この人には秘密があって、それはなにかというと、なるほど、煙草を吸うことだっていうんですね。今どきは喫煙者も肩身が狭いしね、と思ったけど、会社には喫煙者、結構多いんだ。ということは外聞ですね。イメージ戦略。煙草を吸う女と知られたら敬遠されそうという怖れがあると思しいんですね。かすみ自身、そうしたイメージ、古い性役割といったらいいのかな、抱えてるわけですが、でも女の子がいれたお茶の方がいいとかいう上司の言葉にはモヤモヤを抱えたりね、ほんとは昼食もひとりでとりたいのに、誘われたら断われず、あわない場所で、あわない人たちに囲まれて、モヤモヤしながら食事したりね、なるほど、こうしたところがテーマであるわけですね。自分の守りたいイメージがある。それは端的にいえば煙草を吸わない私で、けれど大切にしている自分自身というのもあって、それは煙草を一服することを楽しみにしている私。嫌われ排除されることを怖れて、他者から否定される要素を持った私を押し殺しながら、他者から求められる私を演じているということを、煙草をひとつの象徴的なアイテムとして使いながら描こうとしているのですね。さて、社内のコミュニケーションに鬱屈したかすみ、たまらず一服してしまった。そのために、知られたくなかったはずの秘密を社内の人間、牧村に見られてしまうこととなってしまった。けど、牧村、他人にどう思われようと気にしない、そんなタイプに見える。ドラマのはじまりですね。これが、かすみの、自身を取り戻すきっかけになるのでしょうか。

『大奥より愛をこめて』。松坂の新作です。今回は大奥なんだ。ヒロイン蒔乃は新人の大奥女中。おやおや、髪は金髪、目は碧眼、ちょっぴり変わってるっていわれてるけど、舞台となる11代将軍の治世においてはどれほどに珍しかったのか。御年寄の大崎も、表使の菜々緒も、蒔乃のことを変わってる、見た目は愉快、などと評しはするけど、海外のとかそういう風にはいわないのは、そうした交流がないために、蒔乃の風貌が西洋人のそれという発想がないということでいいのでしょうか。しかし、蒔乃面白い。髪について菜々緒から指摘された時に、色じゃなくて、寝ぐせと思ったりね、こういうちょっとズレたところがおかしくって、厳しい菜々緒とどこかとぼけた蒔乃。ふたりのやりとりに生じるおかしみ。楽しく読むことができました。菜々緒も煙たがられたり、怖がられたりしてるようですけど、蒔乃は物怖じせずぐいぐいいって、菜々緒の緩んでるところ目撃しちゃったりで、この時の菜々緒のちょっと見えた地金みたいの、悪くなかったです。

0 件のコメント: