2016年6月28日火曜日

『まんがタイムきららキャラット』2016年8月号

『まんがタイムきららキャラット』2016年8月号、発売されました。表紙、素晴しいですね。『NEW GAME!』、八神と青葉が見つめあってる? いや、互いにその頭を抱こうとするような意味深表紙。白背景のハイキー基調、薄く金色、青に色付く髪の流れも美しく、そしてふたりの目、睫毛すごいね! 澄んで深いその目のまっすぐに射貫くような力強さ、美しさ。ほんと、散る花びらの中、ふたりの世界を見事に作り上げていて、素敵なイラスト。これ、このままポスターにしたらよいのではないでしょうか、なんて思ってしまう素敵さです。

『NEW GAME!』、このところのふたつの流れ、双方ともに決着しましたね。キャラクターデザイナーのポジションを勝ち取った青葉。けれどセールスを考えると、キービジュアルは任せられない。そこで見せた青葉の意地。どうすればいい、ビジュアルにゲームの核となる情報を盛り込みながら、広く訴求する、そんなイラストを仕上げなければならない。追い込まれていく青葉に、それを見守り応援するまわりの皆。そしてそれは八神さんもおなじだったんですね。青葉、完成までの段取りを見誤るなど、このあたりは経験不足が露呈していますよね。そして八神のイラスト、それを見てその差を実感する。ほんと、青葉にとっての正念場。意地は通せなかったけれど、いい経験になったんじゃないかな。最後まで投げ出さない、そんな彼女の姿勢には背が伸びるものを感じます。

二本立ての二本目。ねねの就職活動。まさか面接に青葉が呼ばれていて、あんまりの意外性に青葉もねねもびっくり。すっかり遊んでくれちゃって、といったところなんですが、それでも気を引き締めて受け答えするねね。逆に青葉がいたことで、飾った言葉ではなく、自分の本心、そのものを伝えることに成功した、みたいに思えたんですね。ねね合格の理由、うみこさんから語られて、ああ、これからに期待されている。あるいは、ここからがねねの戦いなのかも知れない。ともあれ、ねねにはチャンスが与えられた。この子なら、きっとこのチャンスをものにしてくれるんじゃないかって思えますよね。

そして、ここでこのふたつの流れが合流するとは思いもしていませんでした。プログラマーとしての就職を勝ち取ったねね。対し自分の力不足を実感させられた青葉。それは対照なのかも知れない。でも、ねねの素直な青葉に対する言葉、その評価きかされて、青葉、胸に去来するものがある。青葉、そうだよ、前進してるんだよ。最後のクリスティーナのくだりなんかもとてもいい。誰もが理想を実現できるわけじゃないんだ。それでも、少しでも理想に向かおうとしている。そうした仕事の喜びも苦さも一緒に描かれてるんだ、そんな感じがしたんですね。

まちカドまぞく』、すごいことになった、すごいことになってる。シャミ子のうちにあった結界、あれはなんなのか。誰が施したものなのか。その来歴がシャミ子の母から語られる。ああ、この町を守っていた先代の魔法少女は桃の義理の姉、桜だったのか。以前名前の出た、あの人ですね。母だと思ってたよ。滔々と語られるこの町にあった魔法少女と魔族の物語。ああ、一ヶ月4万円生活の呪いの由来も語られた! これ、シャミ子が生存するのに必要な措置だったんだ。しかもそれを施してくれたの、桜だったんだ! そしてシャミ子の父。ヨシュア! それが鈍って吉田! すごいよ。写真も出てきて、なんだ、これ、中学生みたいだ! たびたびショック受けてるシャミ子もおかしいんですけど、次に語られたもの、お父さんはこのミカン箱に封印されています!! って、マジかー! それ、前々から度々出てきてましたけど、結構目立つアイテムではありましたけど、そんなキーアイテムだったんか! 封印されたヨシュアと、姿を消した桜。その謎を残しながらも、シャミ子と桃の関係は進みそう。過去を知って傷付いて、去っていった桃をシャミ子が追う。シャミ子にかけられる応援の言葉、頑張れ優子、これこそはシャミ子の父、ヨシュアの言葉だったのか。駆け出したシャミ子の背に向けて、届くか届かないか、父の声が響く。このシーン、もう、泣けて泣けてしかたなかった。父の愛、父の思いは、確かにシャミ子に届いている。だってね、あんなに優しく、強く育ったんだもの。そんなこと思えて、泣けてしかたなかったのでした。

『むいかのあやめ』、ゲストです。時は大正、女学校に通う黒髪の乙女あやめには夢がある。それは、下級生からお姉様と呼ばれたい。少女小説の世界に憧れて、けどそんなことはそうそうない、と思ってたらあるのか。ということは、これからあやめ嬢と本を貸してくれたこの子とのあれやそれやが描かれるのか。と思ってたら、あれー、違うんだ! まさかのタイムスリップ。おおばあさまの残した蔵書を整理している女の子、そのもとへとあやめが飛ばされてきて、おばあさま? おおばあさま? なるほど曾祖母。百合ものがお好きでいらっしゃったようですが、これ、まさか、あやめ嬢!? 平成の世にやってきて、充実の百合の世界に耽溺して、さえと一緒に曾祖母の図書館を守っていく。そんな話になるっぽい? ハイテンションのあやめとクールなさえ、いい感じのふたりですよね。

『急須の暇神様』、ゲストです。入学を機に一人暮らしをすることになったお嬢さん、天春ひばり。新生活に不安覚えながらも期待もふくらませているこの子が入手した可愛い急須。それがなんと付喪神つきだったっていうんですね。可愛い着物のちんまい神様。ひばりは神様の世話とか全然乗り気でなくて、けれど願いをなんでも聞いてやるといわれて態度を変える。なるほど現金だ。これ、ひばりが現金なら、神様、桜もしたたかで、願いを聞くとはいったが叶えるとはいってない。ひばりの願い事に現実的なアドバイスを返すばかりの桜、ああ、もう、こういう性格、とてもいいですね。桜は神様を自称しているけれど、ひばりにとっては物の怪。桜が封印されるにいたった経緯見ても、これ、神様じゃなくて物の怪の類だよなあ。ひばり、この神様と同居することになるんですけど、ペット扱い? 神様を飼うことの許可もらいにいくとか、なるほど罰当たり。あとチャールズもグッドでした。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第12巻第8号(2016年8月号)

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