2023年7月25日火曜日

『まんがタイムきららフォワード』2023年9月号

 『まんがタイムきららフォワード』2023年9月号、昨日の続きです。

『花唄メモワール』

今回は特別編。大正にいった梅ではなく、令和の世にて梅を思う巴枝のエピソードでありますよ。お盆も近づく頃、梅と出会った時からのことを思う巴枝。自宅の蔵に多量に置かれていた蔵書を読むのが楽しみだった巴枝の前に現れた少女、梅の輝きに魅かれる巴枝と、巴枝の語る物語の興奮を自分も体験したかのように興味を持って向きあってくれる梅との関係。似ていない、けれどそれゆえか、互いにとても新鮮で刺激的な関係。ふたりの間で育まれてゆく友情の様子は、短い夏の日ながらも鮮烈で、まさしく眩しいと思えるものでありました。

今回のエピソード、クライマックスにあの髪留めが関わってくるんですね。大正の頃、幼かった曾祖母が壊してしまったあの髪留め。その髪留めの箱を壊してしまった梅が、自身の失敗を曾祖母に打ち明け謝るという、かつて語られたエピソード断片がこうして肉を持って描写されて、そしてこの体験が曾祖母と梅の間柄だけでなく、巴枝との友情にも関係してくるというのが、大変によかったのでした。

しかし今回のラストがちょっと意味深。遠く離れた時空にいる梅に向けて頑張れという巴枝。それはどういうことなのか。梅が時を超える旅をしていることを巴枝は知っているのか。だとしたら梅の曾祖母と巴枝は共犯関係!? いやもう、これ、ちょっと興奮させられる一シーンでした。

『スローループ』

デカい筒持って修学旅行に臨む小春と恋先生、めっちゃかっこいいな! しかし今回は恋先生の凛々しさが光って素晴しかったですね。可愛い、かっこいい、素晴しいな。なんといっても制服姿、これがいつも以上に恋先生に大人びた魅力を与えていて、はっ! ブラウスとネクタイ効果か! 素晴しい、素晴しいな。

というのはまあ置いておいて、クラス違いで別行動しているひよりと小春ですよ。互いに相手のことを気にしつつ、こないだの衝突からの妹離れが後を引いている。ふたりともになかなか大変ですよ。どちらかというと慌ててる、落ち着きがないのは小春で、じゃあひよりはまったくなんともないのかというと、そういうわけじゃない。夜、就寝前の会話でね気になる姉妹のこと話す小春やひより、その周辺の反応なんてのが面白くって、いやあ、離れてる時間が思う気持ちを育ててるってやつですか!? いずれにしても、まだ経験の浅い姉妹関係。いや、姉妹と思うこともない、そんな関係だと思うんですけどさ、そのあり方をともに再度考えて、自分たちなりの関係性を構築するにはいい時間だなあって思ったんです。

しかし今回素晴しかったの、咲良さんですよ! 姉、玲奈とは年子なんだけど、一年違いで横暴傲慢な姉に我慢ならぬと、名前呼び、姉とは認めない! この玲奈について語る際の咲良さん、素晴しかった。だいたい今回は咲良さんのよさがこれでもかと出ていて、シーサー工房でのあの手際! すごいな。完成品を見てみたい!

修学旅行の描写が、咲良にせよ他の皆にせよ、これまで知らなかった側面に光が当たる、そんな機会を提供してくれていて、実に楽しいエピソードでした。

そして、ついにはじまろうとするマグロ釣り! 料理長さん! かっこいいな! 是非、デカいマグロ釣り上げて、たらふく寿司を食べまくってやってくださいよ、小春さん!

当たり前みたいに合流してくる恋父もまた面白くって、いやあ、ひよりは船酔い心配していますけど、これからの展開、活躍、その他もろもろ、楽しくなってきましたよ。

『球詠』

春大会初戦がはじまりました。思ったポジションにつけなくて悔やしがる一年生。なんとかアピールしようと、試合だけでなくベンチからのアピールにも熱が入るところ、若さ!? ちょっと空回りしつつもなんとしてでも前に進みたいという意欲が見えて新鮮です。

試合では一年生の様子が主に描かれて、頑張って結果残すものあれば、思ったように活躍できないもどかしさ描かれたりなんかもして、これはもう悲喜交々ってやつですね。そして一番の注目すべきトピックは、あのよくも悪くも癖の強いピッチャー、斉藤です。

強者を前にすると真っ向勝負したくなる斉藤。6回裏に迎えた相手チーム4番に血が騒ぐ! と思いきや、申告敬遠にておあずけを食らってしまい、そこから大荒れに荒れてしまう。

ショックがためか。決して投げ遣りになったわけではないでしょう。しかし明らかに冷静を欠いている斉藤に、声をかける一年生たちの頼もしさ。対しシビアに斉藤を見つめる中村希。斉藤が変わるには必要なことと、この状況を落ち着きをともに受け止めていて、おそらくは上級生組の大半がこうした思いで一年生たちを見ているのでしょうね。

途中荒れるところもあったけれど、春の県大会初戦は無事勝利。今、この段階で問題となる要素を洗い出せれば、そして乗り越え変わっていくことができれば、夏の大会により一層期待できる。それだけに、まずは斉藤のエピソード、今後どうなるのか目が離せない思いです。

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