2023年1月25日水曜日

『まんがタイムきららフォワード』2023年3月号

 『まんがタイムきららフォワード』2023年3月号、昨日の続きです。

『異世界サウナへようこそ!~ルナちゃんはととのいたい~』

熱波師のスキルを高めるべく、ランパーのもとで修行に励むスラー。しかしなかなか思うように成果を出せずにいたところ、流奈が悩めるお客さんとともにサウナを通じてわかりあい、悩みを解消するのを見て、停滞から抜け出す道筋を見つけることができたようなんですね。

今回はいろんな人の転機となった回だと思います。自分の元いた世界で見出すことのできなかった自分の可能性に気づきかけている流奈。この異世界サウナで、自分の向かう先を見出せそうだというのです。

スポーツに打ち込むも、スランプに陥っていたお客さんも、サウナを楽しむことで初心を取り戻すことができた。こうした、自分自身に迷っていた人たちが、サウナというひとつのテーマをきっかけに、ふたたび自分らしさに立ち返り、歩き出せるようになるという、ここにこの漫画のコアとなる要素があるのだと思わされたエピソード。

多分、結構な重要回なのだと、後に振り返られるようになりそうです。

『スローループ』

イソメが苦手なひより、ぷるぷる手をふるわせながらも頑張っていますよ。そんなひよりを見て、世話をしたいという欲求に突き動かされている二葉。ほんと、この関係面白い。とはいえ、前回よりも描かれ方がコミカルと感じられたからか、深刻さよりも二葉の業のようなものが感じられる面白い回となっていました。

なかなかアタリのこない小春の竿に、アナゴがかかりました! その釣り上げようとする姿を描いた絵が本当に素晴しくて、小春、釣りを楽しんでいますね! と思ったら、アナゴに噛まれてさあ大変! サポートにかけつけ、応急処置する二葉さん。お世話ができたね、生き生きしていますね!

今回は二葉と一花の関係にも光があたって、仕事ではしっかりしてるけど家ではだらしない姉。そういう二葉の言葉にとばっちり食う恋の父は災難でしたが、その時のひよりの言葉に二葉の気持ちの根っこにあるものが浮かび上がってきましたね。

まいったな。藍子さん、あなたのライバルはひよりかも知れないよ!

そして釣りを終えたらば、向かうは一花の家。キスとアナゴを調理するという、そこでもまたなにか楽しそうな情景が見られそう。調理となれば、小春の出番かも知れませんね。

『球詠』

冬の合宿について考える時期がやってきました。というのでプランを練る芳乃なのですが、できあがってきたのがどえらいキツいメニューだというのですよ。

ここまで厳しいトレーニングをする必要ってあるのかい? 芳乃いわく、日本一の合宿。その意味するところは?

皆の成長を鑑みるに、そこまで過酷なフィジカル強化メニューは必要ない。その言葉に続いて明かされた芳乃の真意。ただ話して聞かせるだけでなく、自分たちが決勝戦の最終回、抑えれば勝利して全国行き、打たれれば逆転され負けを喫するというシチュエーションでどういう気持ちになるか、想像させてみるっていうんです。

垣間見えるそれぞれの性格が本当に面白い。先生と菫が、自分のところに飛んできませんようにって同じこと考えてるの、本当におかしくって、ひととおり皆の反応に楽しさ覚えたところで、ぐっと芳乃が踏み込んでくるこの構成。見事だったと思いました。

この合宿でのテーマは、過酷なトレーニングをやりきることによって得られる自信。それだっていうんですね。日本一の合宿、その言葉の意図もすとんと腑に落ちて、そしてひとつになる皆の意識ですよ。

これはすごくいい、期待できる! より粘り強く、しぶとくなるだろう皆の野球が、今から想像できるようです。

『高瀬さんはドル活に夢中です』

今回は江田飛躍の回でしたね。

かつて自分のメイクして委託販売したドールのその後を気にしていた江田に朗報です。高瀬が、執念の追跡で現オーナーのSNSアカウントを発見してきたというんですよ。自分の手元にあった時より、一層に可愛さを増したドールにときめきを覚える江田。そして、江田、すなわちPOP製作のカスタムヘッドをなんとしても手に入れたいという高瀬。

ここで江田と高瀬の、POP作品についての認識の差が明確になるのも面白かったです。イベントではいつも売れ残っていたから、たいして苦労しなくても入手できるのではないかと思っていた江田。対して高瀬は、委託販売では出遅れる。完売告知がないからいけると思ったらヘッドも、仕事が終わって駆けつけるも時はすでに遅しでソールドアウトしていた。

江田はまだ自分がどれだけ注目されているかわかっていない。委託でも即売れたわけじゃない。なら通販にすれば普通に高瀬に届けられるのではないか? そう考えて、高瀬のために思いを込めて作り上げたヘッド。いざその販売開始という局面を高瀬とともに迎えた江田が、秒を待たずに売れるという現実を直視させられた。

ええ、自分が注目を集めているとわからされた、そんなエピソードだったわけです。

今はまだ、どうすればPOPとバレずに高瀬に自作のヘッドを引き渡すことができるか。そちらに意識が向かっている江田ですけど、もうそろそろ自己認識を改める頃合いかも知れませんよね。そして江田への注目度とともに、高瀬の執念を再確認させられた今回ラスト。ほんと、なんとかうまく引き渡す手段思いつかないと、思い詰めた高瀬がなにをしでかすことやら!

ちょっとした緊迫の引きでありました。

0 件のコメント: