2023年1月28日土曜日

『まんがタイムきららキャラット』2023年3月号

 『まんがタイムきららキャラット』2023年3月号、発売されています。表紙は『恋する小惑星』。みらに手を引かれるようにして走るあおとイノ先輩の3人です。冬の寒さもものともしない、そんな元気を感じさせるイラスト。ニットの帽子にイヤーマフ、ダウンジャケットと、暖かそうな格好しているそれ以上に、その浮き立つ気持ちが寒さを吹き飛ばしてると思わせてくれる溌剌さです。あおの双眼鏡からしたら、この子たちの今の興味はやっぱり星ですかね。でもたとえ寒さや雪であっても、きっと楽しんで観察して、学びそうな子たちです。

今月は新規ゲストが5本です。

『コンビ名、考え中。』

未定のつもりで書いた名前が正式になってしまった漫才コンビ、考え中。いまだ駆け出し、夢は賞レースにて勝ち上がって売れるなんですが、今は職業掛け持ちで地下ライブに出演している身。ひとり目吉崎は家庭教師、もうひとり高野は医者! 専門医まで持っている、とはいえ非常勤の不安定な身分。ならば夢を追いたい! みたいな感じなのでしょうか。

今回はふたりの顔見せ、どんなキャラクターか見ていってください、みたいな感じでした。吉崎の教え子、浪人生の青井の前で、悩みを聞きつつ自分たちの状況伝え、そしてひとネタ見てもらおうという流れ。そこで、吉崎と高野の個性やネタの方向性が見えてくるというわけです。

この漫画はキャラクター押し出しながらも、メインは漫才ネタのようですね。そこかしこにボケとツッコミが差し挟まれて、そして漫才ネタでは「きらら」の、作者の、とメタなネタまで飛び出してくる。そんなちょっとネタ方面に攻めている漫画。次回は賞レースに挑む彼女らが見られるのか、あるいはもっと攻めたネタ重視でくるのか。そうした振り幅にも期待です。

『勇者は仕事中です!』

魔王城にやってきた勇者。普通に玄関チャイム鳴らして訪れるの? と思ったら、ピザのデリバリー。勇者、デリバリーのバイトをしてるんですね。

暗黒の時代、飢餓に苦しむ民衆のもとに食料が届けられたのがデリバリーのはじまり。かくして、今や一大デリバリーブーム? 勇者のみならず、サキュバスもデリバリーのバイトをしている、そんな時代になっているんですね。というか、店長がダンピール、いわば魔物なのか。これを見る限り、魔物と人類はわりと平和に共存できているみたいですよ。

それでも勇者は魔物退治をするよう要請されているようなのですが、魔物を倒してもなんら儲からない! 勇者の仕事では食っていけない! だからバイトだ!

ほんと、異世界でもといっていいのかなんなのか、どこも世知辛いですなあ!

今回はドジなサキュバス、アンフィーのアンラッキーに巻き込まれながらも結果オーライ。バイト代も入って嬉しい勇者。アンフィーのおごりで酒場で楽しい時間を過ごして、本当に勇者業そっちのけ! でも、これでうまく運ぶなら、この方がずっと楽しそうでよさそうです。

『ワンダーメイツユートピア』

一見普通に見えるけど、どこか不穏な要素の見え隠れするこの世界。そういえば、蜂を退治しに飛び出していきそうになったアルをとめる時、あゆみが笑顔で結構な握力見せていましたね。この握力、普通に力が強いとかかなと思っていたら、そうじゃなかった。実は……、という裏側が徐々に明かされていくのですが、なんとあゆみは魔法少女をやっている。変身しなくてもかなりの怪力発揮して、学校の机くらいなら普通に軽く破壊できてしまう!

こ、こんな力でアルの手を握りしめていたの!? よくバキバキにならなかったね!

と思っていたら、この世界に攻め込んでくるエイリアンが出現!? 物理では攻撃が通らない、変身して魔法を使わないといけない! となってようやく渋ってた変身するんですが、恥ずかしいといっていたその衣装、別に特段露出が多いとか、そういうこともない、普通にきれいめの衣装ですよね。

さあここから戦闘かと思ったら、エイリアンは姿を消して変身し損! そしてまたも明かされたもうひとつの秘密。アルが地球に攻め込んできているエイリアンのひとりでありました!

アルの手がバキバキにならなかったのは、あゆみが加減していたからじゃなく、アルがエイリアンだったから!? はとりあえず置いておいて、このふたり、戦うことになりますのん!? いやもう、まさかの友達同士での戦闘とか、避けるのかやりあうのか、少なくともあゆみは戦闘避けたいみたい。ほんと、これ、どう転んでいくんでしょうね。

『現実逃避さりげなく』

突然山にいこうといいだしたほたる。アクティブな性格なのかな? と思ったら、これが現実逃避。大量の宿題から逃げたいばかりに、山行きを提案したというんですね。友人のユキはほたるの性格よくわかってるから、基本取りあわず課題やるよう進言するんですが、ほたるの逃避に向ける情熱はおさまることなく、次から次へとリフレッシュ案を出してくる。

ユキ、取りあわないのはいいんだけど、無理にほたるを制止したりもしないから、なんだかんだ宿題は滞りっぱなしですね!

結局、ほたるに押し切られるかたちで山にいくんですが、タクシー貸し切り!? お金がすごくかからない!? からの、景色見るだけ見て即帰宅? でもその前にとほぼ無理にバンジーやらせて、おしおきがわりに反省させるつもりが、バンジー筋肉痛のせいで結局宿題は進まない!

このなんだかんだつきあうユキの面倒見と、ほたるのユキと一緒になにかしらしたいという気持ちのマッチング。ラストのあのやりとりにふたりの関係が凝縮されていたように感じました。

『ゆびとつち』

陶芸教室で講師のバイトをやっている及部由生。陶芸体験にきた紡地依央にレクチャーするも、どうも会話がはずまない。というか、どことなく噛みあわない……。素っ気ない性格なのかな? と思ったら、それ以前にコミュニケーションが大の苦手である模様。話があわない、あわせられないとかだけじゃなく、自分のやってることでキラキラされると気持ちが後ろ向きになってしまうらしい。

うん、なんだろう、ちょっとわかるからつらいな。そうか、自分も生きづらい組だったのか。

陶芸体験中、紡地が及部に話しかけるも一言返事が帰ってくるだけで、まるでやり取りが続かない。その気まずさ、いたたまれなさ、ひしひしと伝わってくるリアル感あってすごかった。その後も基本やりとりは最小限なんですが、いざ土をろくろにセットしてみると及部の雰囲気も少し違ってきて、土に向きあうときは気持ちが自然に上向きになるんですね。

温度差のある紡地と及部のテンションだけど、それでも一緒に湯呑みを作り上げて、これにて陶芸体験は終了。及部の陶芸への真摯な向きあいと、紡地の触れた陶芸の楽しさ、それが今回のメインとなる軸で、そこに及部の困った性格が一味添えるといった塩梅です。

そしてこれ限りかと思われた及部と紡地の関係だけど、まさか紡地の話していた高校の陶芸部。そこで再び出会うとか! そうでした、及部が次のバイト先に言及してた、それがこの高校陶芸部の講師だったんですね。

ままならないのか、縁なのか。でも一度は知りあった仲、事情も性格もすでに少しは知れているわけで、若干でも楽だったりしないかな? しないかも知れんなあ……。及部、本当に難儀な性格です。

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