2022年5月28日土曜日

『まんがタイムきららフォワード』2022年7月号

 『まんがタイムきららフォワード』2022年7月号、先日の続きです。

『ちょっといっぱい』

登校日、久しぶりにあえたもみじを前にハイテンションになってる凪。言葉が気持ちに追いついてなくって、これがまあ可愛いな、ほんともみじとあえたのが嬉しいんだなあ。

けど、もみじが一瞬表情を曇らせたこと、決して見逃さないんですね。もみじの語るすずめ亭の現状。建屋も道具も残っていたけれど、無人の店内は、あの時とはもう違うのだという現実をもみじに突きつけるようで、それがショックであったと、今の自分があるのはあの店のおかげなのに、自分はあの店のためになにもすることができない。

涙ながらに語るもみじに凪のかけた一言。それは安易な言葉かも知れないのだけど、おそらくはもみじに一番必要だった言葉で、そしてここからの凪の踏み込んでいく様! ああ、もみじがすずめ亭になにかしてあげたいと思ったように、この子ももみじになにか返したいと思ったのかも知れません。もみじはひとりじゃない、自分が一緒にいて手伝うと、真剣な面持ちをともに発せられたその言葉! この子の気持ちの奥にあった強さ、それがここにきて表に現れたかのよう。物語もまた強く押し動かされずにはおられまい、そう実感させられた瞬間でした。

『巴マミの平凡な日常』

マミのジャージに穴があきました。打ちひしがれる巴マミ、とはいうものの、すごい物持ちがいいお嬢さんだな。中学ジャージを普段着に愛用し続けているというんだけど、この物語のマミってもう30歳まわってるわけだから、10年以上使い続けて穴のひとつもあけてなかったわけですよ。人によっては在学中に穴のひとつやふたつあけたりするものなのに。それだけ大切に使ってきたんだなあ、ってことのわかろうものですね。

しかし、そんなにショックなもの? って、まあ気持ちはわかります。しかたがないから代わりのジャージをと思い探すも、なかなかこれというものが見つからない。マシなの見つけたと思っても、どこかしら気になるところが出てきて、ついには現行見滝原中ジャージの購入をまで考えるにいたるって、どんだけ中学ジャージへの愛が深いのだろう。

というか、その目論見がモデルチェンジで阻まれるのはいいとして、マミさん、あなたブルマ時代の人でした? さすがにあなた、短パン世代なのではなくって?

けれどなんとか頑張って補修して使い続ける目処がついたというの、これ朗報なのか、あるいはいつまでも足踏みし続けることが確定してしまった一種の悲劇であるのか。まあ、魔法少女は老いないんですよね? だからまあ、足踏みし続けていても大丈夫といえば大丈夫なのかな。いや、でも、他の魔法少女たちはなにかしら変化していったりしてるのに、そうした中で変わらずにい続けているマミさん。中学ジャージこそがその象徴のように感じられた回でした。

『最果てのともだち』

アサヒ、キヨと先生のいるあの校舎にいかなくなって一年が過ぎてしまったというんですか。これ、このままアサヒが金輪際、二度とあの学校に、廃校舎に関わらずにいられるのなら、まあいいのかな? みたいにも思えますけど、別れたあの日のキヨの様子を思えば、すっかり悪霊になってしまっているのではないか? もしなんらかの理由でキヨがあの校舎の呪縛から解き放たれることがあれば、あるいはアサヒがあの校舎に近づくことがあれば、それはそれは怖ろしいことになってしまうのではないか。

今回は、アサヒの11歳の誕生会の様子、いわばめでたい日の情景が描かれたわけですが、ユウという友達ができて、すべてが変わった。居づらかった学校も、苦しかった毎日も、ユウのおかげですっかり変わった。ふたりで一緒に作りあげてきた思い出の数々。それを写真をともに振り返るアサヒたち。こうしたしあわせな日がこれからも続くのだろうなあ。

そう思えば思うほど、キヨの脅威が増してくるように思われて、いやもうページをめくるのが怖い怖い。流れ星を見に、夜の河川敷に繰り出すアサヒとユウ。もう夜というだけで怖い。背景に描かれるマンション、それが校舎を思い起こさせて、これもまた怖い。いや、君、ビビりすぎだろうと思われるかも知れないけれど、物語がどういう方向に向かうのか、わからないうちはそりゃあ怖いですよ。

でも、怖いばかりでありませんでした。流れ星へのお願いをきっかけに、キヨとの約束を思い出すアサヒ。キヨとの楽しかった思い出と、そして約束を守れていないことに苦しみを覚えるこの子の姿は、本当に悲しくて、キヨのことは大好きだった、大切な友達であったことは間違いなくて、けれどユウというこの世に生きて存在している友達のできた今、ユウとならできて、キヨとだったらできなかったこと、それを意識させられているところもまた悲しくて、アサヒはキヨとのこと、ずっと整理をつけられずにいるのですね。

キヨに対する罪悪感。それがアサヒを押し潰したりしませんように。また、キヨの苦しみの晴れる日がきますように。今回のラストで先生がキヨに問うたこと、それがまた今後の鍵となっていくのでしょう。でも、それがどうキヨに、アサヒに関わってくることになるのか、それがわからないからもどかしくさせるのです。

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