2022年5月26日木曜日

『まんがタイムオリジナル』2022年7月号

 『まんがタイムオリジナル』2022年7月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』。梅雨明けの晴天がテーマのようですね。空にかかる虹のもと、師長のプリントされたシャツを干さんとしている山下さんをメインに、古きよき? 洗濯板で洗いものしている『らいか・デイズ』らいか、カゴにはいった洗濯物を運ぶ『小森さんは断れない!』しゅりがサイドを固めます。よく見れば、榊医師も洗濯板で洗いものしていますね。洗濯機よりも洗濯していることのよく伝わる、そんなアイテムが印象を強めてきます。

今月は新規掲載作が1本です。

『夜明寮のモフモフ住人』

夜明寮に暮らすサラリーマンたちは、モフモフの毛皮の動物たち。ええと、これは動物擬人化ものなのかな? と思ったら、そういうのともちょっと違ってるんですね。人の姿に身をやつし、人間社会に紛れて暮らす動物たちの物語。普段は人に化けている彼らが唯一本来の姿に戻ることができるのが、ここ夜明寮というのですね。

管理人は人間なれど、先祖代々受け継ぐ能力で人に化けたケモノたちの本来の姿を見通すことができる。そんな彼と、彼の身内の子たちが、ケモノの住民たちとともに暮らすなかで育まれていく信頼や共感を描こうという漫画の模様です。

しかし、管理人とともに暮らすこととなった甥の照、姪の結。この結ちゃんがやたら元気というか人懐こいというか、住民に対しぐいぐいのがすごいですね。とりわけ、人間不信のニホノオカミ、尾上氏のことが気にいったようで、反発する尾上氏にまるで斟酌することなく、当たり前にくっついていくし、部屋にも普通に入り込んじゃって、この行動力! いや、今でこそつきまとわれて困っている尾上氏だけど、いつか結のこと受け入れる日がきたりするのかも知れませんね。

不信から信頼へと変わる、そのきっかけとはいかなるものであるのか。見どころでありますね。

『おしかけツインテール』

ああ、そうか。隣町で清掃のボランティアしてた花梨の一件。花梨が見つかりました、めでたしめでたしとはいかんですよね。

学校を休んでふいっと姿をくらませたこと。そのことで俊郎、母からお叱りを受けようというのですが、これ、普段と立場が逆なのか! なんという大人たちか! とは思うものの、頭ごなしに叱りつけるのではなく、なにがいけなかったのか、理由をあげてちゃんと伝えていくところ、そうしたところはとてもよかったなあ。さらには、いつまでも叱られモードじゃいけないと、いつもの日常に戻れるよういろいろはからってくれてるとかね。すごいな、ここの大人、そこらの大人よりもずっとちゃんとしてる。

無闇に叱るだけでなく、いうべきことをちゃんといった上で、次は聞く態勢に入るというのもすごくよかった。母は母として娘に向き合い、そして俊郎も、見るべきものを見、ちゃんと見守ってくれていることの伝わった今回。ああ、本当にいい話だった。それだけに、最後にダメージの入ってしまう感、あれには笑わされました。ここで思いっきり落としてくるのですね。見事でした。

『Dr.こよりの美味カルテ』

医者のこより先生は食べることが大好き。なので、いつもちょっと食事にはわずかでもこだわりを添えて楽しむようにして、というんですが、最終回だからなにか特別なものになるのかなと思ったらならないところがこの漫画らしいですよね! 内視鏡にカンファレンスにと、とにかく忙しいこより先生。あちらこちらに駆け回るようにして、気づけばもう夜の8時前。

病棟の飲食店が8時で閉まるから、この時間だと売店しか選択肢がないという、この状況で急変の知らせを受ける同僚を見送っての売店駆け込み。食いっぱぐれた同僚のための差し入れも用意しつつ、自分用には確保済みのしらすとブドウ? それを売店で買った弁当に添えてちょっと豪華にするっていうんですね。

というか、ここにきてほんとなんら特別でもないお弁当がくるというのだからなあ! でも、こういう日常の食事に、ちょっとの工夫が彩りを添えて、そしてなによりもこのご飯をおいしくさせてくれるもの。実習の学生からの問が導いた、こより先生のモットー。これが本当にこれまで描かれてきたこより先生のらしさを一層に際立たせて、ええ、本当にいいお医者さんだなって思わせてくれました。そしてあの笑顔。ええ、おいしさを物語りその笑顔の向こうにあるものに気づかせてくれた。それが本当に素敵です。

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