2022年1月23日日曜日

『まんがタイムきららMAX』2022年3月号

 『まんがタイムきららMAX』2022年3月号、昨日の続きです。

『白魔導士はゾンビの夢を見るか?』

この漫画は、レサナの温存、これが面白みのコアになっていますよね。町を徘徊するゾンビの撃退に、本来の効能である怪我の回復に、そしてアヤ本命の快楽目的にと多様な用途があるために、1日3回しか使えないのがもどかしい魔法。どれほどに気持ちいいというのか、アヤが自分のためになんとかレサナを残そうと画策するものの、ゾンビが出たらレサナを使わざるを得ない。その塩梅? リソース管理の様子見るのが本当に面白いんですね。

あ、使っちゃった!

みたいな、ぽっと出る面白さがある。

残念だったなアヤ!

みたいな、ちょっと意地の悪い面白さもある。

今回は新たな食料調達地の開拓、ということで隣町へと移動しようというのですが、この町よりも大きな町だから食べ物その他たくさんありそうだけど、ゾンビもたくさんいそう。なので無事に移動して住居を確保するまでは、レサナをより一層にケチっていく必要がある。

でも、その目論見どおりにまるでいかないっていうのが面白いんですよね。

先日覚醒したリルーの杖、ジジ・ガルガルがふわふわ浮いているの、それが後の危機脱出にかかる伏線とはこの時点では気づいていませんでした。ゾンビを避けながら隣町へと向かう途中。植え込みから飛び出してきたゾンビにレサナを1回使い、さらには隣町に続く橋を渡る途中で1回使い、で残数1となったところでゾンビの大群が迫ってくるという大ピンチですよ。

この漫画、見た目ふわふわでアヤとリルーたちのやりとりもふわふわ、ゆるくて楽しい雰囲気が全体にただよっているというのに、ピンチとなるとほんと致命的なシチュエーション出現させるから大変です。行く手の塞がった橋の上、迫るゾンビから逃げるため、ジジの浮遊頼みでふたり一緒に飛び降りる!

これ、ジジ折れちゃわない!? そう思ったら、ジジ本人(人?)も折れるか心配してたんだ! そうした細かなところにもしっかに気配りされていて、なるほどなあ、ジジパラシュートは今回かぎりの最終手段ですね。編み出された便利な移動方法を特例として潰しながら次の状況に移っていくところもシビアさあって、なるほど、ギャップでありますな! でもってこのシリアスとほのぼののギャップにやられるのです。

『のむラリアット!』

梟池と谷渋の対戦は1対1のイーブン、勝負のゆくえは最終戦に持ち越されて、ここで恵と翼、梟池最強のタッグが満を持して登場するのですが、対するヴェスパー、ラクーン組は卑怯な手で部長、恵を無力化することに成功してしまった!

これ、翼の本領、その実力が如何なく発揮される、そのための布石と考えていいのかな。打倒恵、打倒翼に燃えるヴェスパー。実力もある選手で、偵察研究も怠りなく、さらにはこの試合に向けてしっかり仕上げてきている。恵相手には及ばなかったヴェスパーも、翼相手だとどうなのか。今度こそリベンジなるか、あるいは互角? それとも苦しい戦いとなるのか翼!

この戦い、ヴェスパーはよもやこれ以上の卑怯な手など使うまいな。今回の試合に対する意気込みは本物のように思える。試合に勝つ、それも翼という実力ある選手相手にリベンジしようという時に、ケチのつくような真似はしないと思うんだよなあ。実際のところどうなるのだろう。以前の戦いを思えば、それこそなにをしでかすかわからない。だからこそ、ヴェスパー、彼女の本気にも期待したいところであります。

『ホレンテ島の魔法使い』

ああ、熱い展開見せてくれました。機関車と競争する空飛ぶ魔法使い、こっこの挑戦。皆で力をあわせて勝ってやろうじゃないか。その段取りを組むところ! ああ、これまで描かれてきたいろいろが、この日、この時のための切り札として立ち現れてくる。温泉場での宵句に板碑の宵句を重ねることで発現する効果。もともとは温泉町の繁盛のために歌われ、活用されてきた宵句の効果が、こっこを後押しする!

勢いを増した暴風がこっこの背を押し、摩擦係数への干渉が機関車の足回りを鈍くさせ、そして魔法そのものを増強することで駄目押しをする。そのくだり、皆が一緒に声をあわせて歌を重ね力を思いを繋いでいく様子が、機関車との競り合い、競争の高揚にこれでもかと拍車をかけて、そしてこれでもまだ足りないという時に、あむのひらめき、切り札中の切り札が活路を開く。

これまでずっと丁寧に積み上げられてきたこと、それがフラッシュバックしてくる。重ねるほど力を増すのは、宵句だけでなく、物語ることそれもまた同様なのだと実感させられて、そしてこの緊迫の状況を見せる誌面! 力感もたっぷりに飛び込んでくる、疾走する感情が展開をも引っ張って、勝つか!? どうなる!? もう少し! からの目標達成にいたる瞬間までの刻みは見事の一言でありました。

そしてラストのあむの行動! ああ、もう感慨無量。見事な着地点。大満足でした。

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