『まんがタイム』2025年10月号、発売されました。表紙は『ローカル女子の遠吠え』。みかん狩りをするりん子です。みかんというと静岡。静岡というとみかん。まさに静岡を愛するこの漫画にふさわしいチョイスでした。『遠恋カノジョとおとなり上司!』はブドウですね。『ニセアイホンアイ』はカゴいっぱいのリンゴであります。そして新連載の『わさんぼん2』は、涼しげなガラスの皿に載せた和菓子。これは柑橘をかたどったものでしょうか。目にもきれいな一品です。
今月は新連載が1本です。
『わさんぼん2』
和菓子の世界にも甲子園があるのですか。高校生のための和菓子の大会。高校ごとに製菓の技術、さらにはプレゼンでもってそのコンセプトを競いあう。そうした静かでいて熱い戦いの場に身を投じようとする中学生の女の子、きーちゃんが主人公なのですね。
友達のみーくんと一緒に和菓子甲子園の観覧にいったきーちゃん。刻軸高校のシロちゃんを応援するのですが、どの高校の菓子もよくできている。すっかり魅了されているというのですね。
今年はきーちゃんは中学3年生。来年は高校生になって、出場資格を得る? ということは、いよいよこの子たちの製菓の世界がはじまる、広がろうというのでしょうね。
『腹割るウチらの秘密ごと!』
一心不乱にトレーニングに打ち込むおと。ナイトプールに誘いながら、その約束は本気じゃなかったの? ヒメコの気持ちを疑うあまり、トレーニングに没頭してしまっているのですね。
ふたり水着を買いにいくときも、おと、すっかり沈んじゃって、と思ったらこれ、誤解なのか。今日の日が楽しすぎて寝られなかった。でもって休日のヒメコが眩しすぎて見てられない! って、どんだけヒメコのこと好きなの!?
でも、おとのこの様子に、よっぽど怒らせちゃったんだと思っているヒメコ。なんとかしてエッグタルトの誤解をときたいと思うも、なかなかちゃんと話ができなくて、けれど、ふたり、一番いいタイミングでその真実を伝えあうことができたんじゃないでしょうか。
ヒメコも本気。エッグタルトは食べてないよって。おとも楽しみにしてるって、そのふたりの気持ちのつながる様に、ああ、なんと素敵なのでしょう。
その直前の、水着を試着したふたりが互いに見惚れるその場面もまたよかった。ああ、ほんとに目の前の相手に夢中なんだなって、そんなふたりの約束の果たされる日。ナイトプールのその日がくるのが楽しみです。
『跳べないウサギと神の島』
あるべきところになかった月兎開闢之書。それを探すレオとリンコ、ふたりの時間。夏期講習から戻ってくるレオを出迎えてくれるリンコの美しさ。そしてふたりの古文書探しの時間。図書館に、蔵にと、思いあたる場所をめぐっていくのですが、それが楽しいというリンコ。
しかしこうした日々を重ねるうちに、徐々に倦んできたのか、禁書探しに抵抗感じるようになってきたレオ。ええーっ、あんなに素敵なリンコとの時間のなにが不満なの!? でも、なにかが不安なのでしょうね。リンコへの不安か、禁書に対する不安か、あるいはまた違うなにか、たとえば見えない未来への変化とか。
そんな不安を抱えるレオのもとに、父から届いたメッセージ。レオに託したいものがある。指定された宅配ロッカーを開けると、そこにはレオの母の若かりし日のノート。そしてまさかの月兎開闢之書。
なぜ禁書がここに!? なぜ父がこれを!? 謎はさらに深まる夏の日。さあ、レオはこれをどうする? リンコには見せられない? 本当にどうする?
- 『まんがタイム』第45巻第10号(2025年10月号)