2023年10月19日木曜日

『まんがタイムきららMAX』2023年12月号

 『まんがタイムきららMAX』2023年12月号、発売されました。表紙は『ご注文はうさぎですか?』。フユ、エル、ナツメの3人。小悪魔風? あるいは不思議の国を思わせる小道具なんかも手伝って、どこか蠱惑的で一筋縄ではいかない、そんな雰囲気が魅力的な表紙となっています。これ、ハロウィン衣装ですよね。きらびやかで、豪奢な装い。そこにシックな風あいも加わって、実に素敵な空間が出現しましたよ。

今月は新規ゲストが4本です。

『スポチャン!』

おお、扉絵見まして理解しました。スポチャン、それはスポーツチャンバラ! エアーソフト剣を使って戦う、新しいスポーツ。剣とはいうけどかなりの自由さ。刀だけでも今回描かれたように小太刀があれば短刀もあり、そして長い方では槍やら長刀やらと、もう本当に自由。シンプルに打ちあって、当てれば一本。楽しそうなスポーツなんです。

この漫画の主人公は、才能を見込まれつつ(?)結果が出せなくて挫折(?)した鬼頭もも。これ、サービストークに釣られちゃったパターンなのでは!? なのですが、どうも実際ある種の才能はあるのかも! そう思わせた第一回。実力者、朝比奈レイを相手にその打ち込みをかわし続ける、それは間違いなく才能で、けれど攻撃はからっきし!?

この奇行が目立つ残念姫に、どうにも打ち込めない主人公と、やたら癖の強いのが揃ってるのがおかしいんですね。

お話を主導するのは時代劇に憧れるアメリカ人、アメリア。この人も決行な変わりもの、と思ったけれど、1話を読み終える頃には、この人、わりと常識人寄りだ……、となってしまうところ。かなりの飛んだ展開でした。

『#神絵師になりたい!』

意外と狭いSNSの世界? ともあれ、神絵師になりたい、イラストでもって成り上がり、フォロワー数を増やしたい。なんてこといってる神谷さな。二週間でフォロワー6人、わりと順調では?

さな、かなりの自信家でめげない性格なのはわりと悪くない。とは思っていたのだけど、実際どれくらい描けるのだろう。このへん一番知りたかったところでした。

漫画、アニメの感想イラストやもろもろの活動で地道にフォロワー増やしていった綾路いやさ鳴海綾にフォロワー増やす方法云々聞いてみたりしましてね、ここからさなも地道に頑張っていくのかな? とか思ったらあの炎上落ち! 炎上も糧にしていくんだよ、とか思ったら、とりあえず5人増えたとな。さなじゃないけど、もうちょっと伸びが欲しいところですよね。

さなの自信の根源、それが甘やかしがちの友達、白河もも。この子の正体というか、SNSでの活動、それがじわりさなにも影響していたり、そうした登場人物には明かされない秘密みたいなのあるの、悪くなかったですよ。いつか正体明かす日がきたらどうなるんだろう、なんてこと思ってしまいました。

『theバーニングお嬢様!!』

漫研にやってきたお嬢様、炎上院花火! って、待って、なんか危なげな響きの名字だね!? それはそれは見事に炎上してみせたりするのかな? と思ったら、そういうわけではないみたい。むしろ、その心が熱く燃えている? 熱い漫画「熱血根性列伝おれのV」を信奉し、その普及につとめる。そんな熱いお嬢様だったというのですね。

漫画の普及をはかっている花火本人は絵を描いたり漫画描いたりはしてないな。と思ったけど、漫研だからって漫画を描く人ばかりじゃないだろうし、これはこれでおかしくはないんでしょう。漫画で人を元気にしたいというそのモットーも、自分の描いた漫画でとは一言もいってないもんな! ええ、これは見事なトリック(?)でありましたよ。

落選が続いてくじけかけている2年生、紺野風。この子に元気を与えようとおれVでもって働きかける花火の情熱。その情熱が風の心に火をつけたりする日もきたりするのだろうか。なんて思ったけれど、少なくともこの読み切りの範囲では着火するまでは至りませんでしたね。でも、いつか風の心に火がついて、自分の描きたい漫画というものを見つけだせればいいですね。そんな気持ちにさせられましたよ。

『あこがれエフェメール』

日常系漫画に憧れを抱く水無月なずな。不登校をなんとか克服し、高校から学校に復帰。けれどブランクがためか学校への苦手意識のためか、学校での定番イベントもろもろでじわじわ削られていく心のヒットポイント。そんな時、なずなに声をかけてくれたのが春風きらら。

距離の近さに戸惑ってそれからも話しかけてくれることに感謝を通り越した感情抱いたりもして、なにかと慣れないことに大変ななずなの感情の浮き沈み。けれど、きららをはじめとした個性的な女の子たち。そこにはなずなが憧れてきた日常系の世界への入り口が広がっているかのように思われて……。

はじめは目立たず空気のように過ごそうと思っていた学校が、目の前でどんどんその色あいを変えてゆく。ともに変わっていくなずなの気持ち、感情もまた魅力と感じられた掌編でした。願わくば、長く読みたい、そんなこと思わせてくれるのは、感じられた日常系の雰囲気がためかも知れません。

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