2021年11月23日火曜日

『まんがタイムきららMAX』2022年1月号

 『まんがタイムきららMAX』2022年1月号、昨日の続きです。

『ホレンテ島の魔法使い』

全然出し惜しみしないなあ! 島で目撃される空飛ぶ魔法使い。その正体を探るべく動いていたあむたち。ラーメン屋台の店主も巻き込んで得られた情報を整理してみれば、その魔法使いの目的も見えてくる。

決まって線路上を飛ぶ魔法使い。なんのために? 飛ぶのは海に向かって、それも海に吹き戻す強風の夜に限って。それらが導く答は、風の力を借りることで列車の速度を上回ろうしている。列車と勝負している!

かくして次の戻しが吹く夜に、空飛ぶ魔法使いを捕まえるべく動き出す。しかしここでまたさらなる情報が。戻しが吹いたというのに目撃されなかった夜がある。その日はあむが島を出ていた日……。

これは空飛ぶ魔法使いの正体を示しているのか、あるいはその正体を誤認させるべく用意された罠なのか。いずれにしても作戦はもう動き出している。あとはその行方を見守るばかり。しかし、この謎がほどけていく様子、そのテンポのよさ。あれよあれよと明らかになることが、過去に触れられたいろいろを思い出させて、あれがそれか! あの時にもうそれとなく提示されていたのか。ほんと心が浮き立つようでした。

『白魔導士はゾンビの夢を見るか?』

異世界からやってきた白魔導士、リルー。しかしなぜ世界を超えるにいたったのか? その経緯が軽く描かれたりもしまして、なんと、リルーの世界のドラゴンは爪で次元を切り裂くんだ! 仲間を助けようとして、ドラゴンの爪が切り裂いた次元の穴に落ちていったリルー。かくして行き着いた先がゾンビアポカリプスの世界。モンスターのいる剣と魔法の世界か、ゾンビの徘徊する人の文明の滅びつつある世界か、はたして生きるにはどちらがマシなんだろう。

滅びに瀕する世界で出会った生き残りの少女、アヤ。この子と一緒にコンビニまで食料調達に向かうのですが、身を守る術はリルーの使う回復魔法。これでゾンビを消滅させるというんですが、使えるのは1日3回。かけられると気持ちがいいからというのでなるたけ温存したいアヤの思惑と、けれど必要にかられて使わざるを得なくなる、この塩梅が実に面白かったです。

コンビニのくだりとかすごくよかったですよね。店内にはゾンビが一体のみ。そっとやりすごせば魔法温存しながら物資回収できる! その様子がね俯瞰で2Dマップ的に表示されるのが実に楽しい。こっからこう入って、こう通って、こう抜ける。その思惑が新たに入店してくるゾンビのために破綻する! 急遽ルート変更、しかしそこには見落していたゾンビの存在が! というこの流れがほんとわかりやすい!

というか、アヤさん、深入りしちゃいましたね。欲張って粘りすぎちゃいましたね。でもこれしかたないよなあ。食料に水、生存に必要なものをなるたけ多く確保したいのは当然だものなあ。そうした思考の動きみたいのもわかるようにしてくれていたの、これも好ポイントでしたよ。

そして無事コンビニを抜けて、安心しちゃった? 油断? ああ、アヤの背後にゾンビが! ということで魔法を全弾打ち尽すこととなるのですが、アヤ、こんな感じでこれまでよく無事でこられたなあ! リルーと出会ったことで気が抜けたのかな? ほんと、前回も噛まれてましたけど、この人、ほんと冷や冷やです。

『のむラリアット!』

積年の恨み? 因縁のある相手、谷渋校のパピヨンと戦う青井ですが、どうにもこうにも翻弄されて、一発攻撃加えたら嘘泣きされて、そこからの泣かしたコール! ええー、そこでうろたえちゃうの、青井先輩! この人、こういうところほんと素直で、パピヨンたちからしたら御しやすいんだろうなあ。そこからもどうにもいいところなくて、なんとか桃に交代するも、桃も相手のパイプ椅子を使った攻撃にしてやられて、ああ、このまま負けてしまう!? というか、桃、フォールされそうなのになんとかかわし続ける、そのしぶとさ、特筆もんだな!

ずっと負け続きでいいとこ見せられてこなかった。そんな青井、桃ペアでしたが、今度こそいいとこ見せられるのか!? ふたりタッグで繰り出す攻撃、桃が攻撃の要になる? その瞬間がまさに今目の前に描かれて、描かれて……? ええーっ! 桃の攻撃というより、桃を使った凶器攻撃じゃん、これ! 思いもしないもの見せられて、いやもう人間ミサイル。しかも試合権は桃にあるから、昏倒した桃を倒れた相手にのっけてフォール! って、これってちゃんと成立するものなの!?

えらいもん見せられましたよ。これ、いいとこといっていいのかな? いや、でも、勝ちは勝ち! 桃、ついに勝ち星ですよ!

『今日の授業は恋愛です!』

ついに語られるさがりの恋のエピソード。相手は白百合会会長、ゆきと呼ばれたその人の今の名前は貴船名雪。かつてさがりの知る頃は和知名雪だったその人は、隣の家のひとつ上のお姉ちゃん。いつも一緒で、いつしか育まれていた恋心。しかしさがりの思いは、気持ち悪いの一言に踏み躙られて、それ以降さがりは恋というものにまっすぐ向きあうことができなくなって……。

当時の名雪にも事情があったのだろう。変わってしまった姓、そして引っ越し。そうしたところから推測できるものもあって、そしてかつてのさがり、さぁちゃんにしてしまったこと、それを悔いていることもうかがえる。でも、あの頃のショックにあらためて触れたさがりはその場から逃げるように去ってしまって、声をかけることもままならず、そしてさがりは学校に現れなくなってしまった。

こうした時に助けになってくれるのは、今、これまでまさにともにいて、時に支えあい、時に助けの手を差しのべてきた、そんな仲間なんだという今回。さがりを訪ねてきたなとせ。さがりのつらい気持ちに共感して、そのつらさをともに分かちあってくれて、そしてはげましてくれて、これはずっとさがりが皆にしてきたこと、その反響なんだろうなあ。さがりが働きかけた結果育まれたもの、それがさがりのもとに集ってきて、さがりを支え、助け、はげまそうとしている。なとせが、りっかが、しらべもこみねも、さがりの気持ちを受けて、自分のことのように心を痛めて、そしてさがりに前を向いて進む力を与えてくれた。

この一連のくだり、まさにこの漫画がはじまった当初に提示されたこと、そのひとつの終着点でした。ひとつの課題、負うてきた問題が解決を見て、そしてそれがこれからの未来を指向する、その出発点となる。ええ、まさに今さがりは負うた荷をおろし、恋愛という新しい課題に取り組む道を歩みはじめたのですね。仲間とともに。これまで仲間でありながら、けれどともに歩めていなかった、そんなさがりがついに本当の仲間になった、それがこの日だったのだと思います。

白百合祭の当日、白百合会の出店で店番をしていた名雪に出会ったさがり。その時の反応からもこの子のしっかりと立ち直ったこと見えますよね。そしてさがりは名雪と対話の機会を持とうとする。いよいよさがり自身の物語がはじまる、そんな予感がします。

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