2021年11月24日水曜日

『まんがタイムきららフォワード』2022年1月号

 『まんがタイムきららフォワード』2022年1月号、発売されました。表紙は『アネモネは熱を帯びる』。凪紗と茉白、ふたり向かいあうその様子、友人のそれにしては距離も近しく思われて、握りあう手と手、そして凪紗の右手は茉白の頬に伸びて、その睦みあう姿、実に美しい。ふたりの互いに見つめる目に現れる表情がまたよくて、優しげに茉白に注がれる凪紗の視線、また茉白のそれはぱっと明るく開かれて、浮き立つ気持ちが読み取れる。ふたりの情景。身長差がまた効果をあげている、そんな構図がにくいですね。

今月は新規ゲストが2本です。

『魔性なカノジョの裏腹』

兄に彼女が! こともあろうに両親のいない日を狙って連れ込みやがったな! えらいこと警戒している妹ですが、妹、兄のこと大好きなんかな。兄貴との関係、その進展を妨害しようと介入することも辞さない妹。敵対心もあからさまに兄の恋人に対峙するのですが、彼女さん、真っ向から挑発に乗ってくるじゃない! しかも妹、芽衣子の方が分が悪い? ああ、これが高校生と中学生、人生経験の差だというのですか!

いやもう、ふたりとも人間関係へたくそなんですか! 兄の彼女、ひとり兄の部屋で待つ間、検索していたのは猫の懐柔の仕方ですよ。猫っぽく警戒心示す芽衣子と仲よくなりたい。いいのよ? その気持ちはとてもいいの。でも、ならなんで人でなく猫相手の対応策を実践しちゃったの!?

芽衣子と仲よくなる。そのための行動はことごとく裏目に出て、嫌がられてるように見える、挑発してもてあそんでるように見える。でもほんとはただ仲よくなりたいだけなのに、いらぬ軋轢生み出して、お姉さん、学年主席で特待生、勉強めちゃくちゃよくできるのに人の情には不器用なのかい?

しかし、このお姉さん、それから芽衣子もめちゃくちゃ優秀なの、いいですね。あの勉強を通じて打ち解けかけるところ、あのくだりはとてもよかった。ええ、この方向性でいけたらよかったのに、なんだか変にこじれるの。そのうらはらさこそを見せようとしてるわけですね。

『まもってください勇者さま!』

ひきこもりの女の子、マオ。なんとまあ、魔王の生まれ変わり、ところどころ抜けはあるものの前世の記憶も引き継いでいるというんですか。しかし、なぜそんな子が自宅にこもって外にも出ようとしないのか。ただ安楽な暮らしを満喫したいからなのか。と思ったら、おい思った以上に切実だ。かつて勇者に破れた魔王。封印された恐怖も残るゆえに、勇者の子孫の存在を思うと怖くておちおち外出もできない。それどころか、勇者と同種族の人間そのものに苦手意識、どころじゃないな、怖れがある。ああ、なんとも難儀な人生ではありませんか。生まれ変わってチート能力で大活躍、みたいにはなかなかいかんのですなあ。

そんなマオのもとに突如現れた、というか不法侵入だよな、マオの部屋に押し入ってきたのが勇者の子孫を名乗るユエ。魔王の存在を知覚して、勇者の子孫たちが討伐すべく動き出したというんですね。ということは、マオ、命の危機? かと思いきや、ユエは味方なのか! 昔の魔王と見た目も変わらないマオのこと、好きだっていうんですね。

って、ちょっと待ってくれ、魔王の見た目って、代々語り継がれてるの? と思ったら、ユエ、この人も勇者の生まれ変わりなのか。かつての記憶を残している。ゆえにかなうことのなかった前世の思いを今生にて遂げようというのですね。

その思いの深さたるや、同胞の勇者に敵対することも辞さない。というか、マオを退治しにやってきたふたり目の勇者、ユエの従姉妹なの! まあそうか、子孫っちゃあふたりとも子孫になるよなあ。

かくしてユエ、マオのもとに押し掛けるかたちで同居を果たすこととなりそうなのですが、これ、違う意味でマオのピンチ? あるいは自分を守ってくれるユエに心を開く日もきそう? 今こそは不穏な人生を送るマオだけど、ユエの助力でいろいろ克服して、人生の可能性が開かれたりしたらいいなあ! なんて思いましたよ。

『スローループ』

小春の友人、つっちー、いよいよ本格的に登場です! おお、前髪ぱっつん、素晴しい! かつてひよりのもとに引っ越してくる前、同じ学校に通っていたこの子、小春のことよく見てくれていて、我慢してるんじゃないか? 無理してるんじゃ? 心配して、もしうまくいかなかったら家にきなよって、すごく親身。

そんなつっちー、いやさ土屋みやびとその妹、あや。ふたりが小春たち、ひよりや恋、さらには恋父に弟たち虹と虎と知りあって、一緒に屋内釣り堀にいくんです。

いやしかし、みやびとあや、ふたりともに前髪ぱっつんだ! 素晴しい。ひよりたちのこと、ちょっと警戒してる? 人づきあい、若干苦手系、人見知りさんですか? と思ったら、恋がすごいよな、この子気づいたら当たり前みたいにみやびとコミュニケーションとって、釣りに興味があったその理由とか聞き出してるじゃん! そうかあ、ゲームとかによくあるおまけの釣り要素。それがきっかけなんか。ああ、自分もそうだったよ。あれ、なんか気がつくと黙々と釣り続けちゃうよね! でもまあ、自分はリアル釣りには向かわなかったんだけどな!

釣り堀で自身も釣りを楽しみながらも、小春の様子をうかがうみやび。ほんと、小春が無理してないかって、新しい家族を心配させないよう我慢してあわせたりしてるんじゃないかって、ずっと心配してる。そしてひよりにそれをダイレクトに問うて……、ああ、ひよりはこの問にどう答えるの!? ちょっと緊迫の瞬間。この問を、小春のことを思ったゆえと気づいておくれよひよりさん。これからのやりとりの向かう方向こそはわからないけれど、みやびの安心できるような、そしてひよりたちとの仲も深まるような、そんなことになればいいなと思います。

『追風のジン』

うわーっ! 好きな展開きたーっ! マジか、マジかよー。あれですよ、スパナさん、悪い忍者衆に囚われていた眼鏡のお嬢さん。なんかどんくさそうでさ、でも学究肌とか工学女子とか、そんな雰囲気させてたじゃない? だからクナイを急所に受けても、胸に隠し持っていたカラクリだとかなんとかが刃を防いで助かったとかそういうのなのかい?

とか思ってたら、そんなどころじゃないじゃないですかーっ!

やられたわ、これものすごく好きな展開だわ。なんでこんなにも直撃させてくるんですか。

スパナ、何者? あなたも忍者なの? 忍者衆に囚われていたの、狙った宝、七虹架大全なる古本を入手すべく身をやつして潜入してたっていうんですか。しかも加えてめちゃくちゃな実力者。忍者衆の頭領を軽くあしらって、楽勝で捕縛。うわー、すごいな、うわー、強い! かっこいい! スタイリッシュ! 眼鏡が割れてる! ちょっとワルっぽいところもいいじゃない!?

最高だったと思います。普通に助けられてヨツワ村に帰還して、持ち前のカラクリ技術でジンに協力するとかなのかなとか思ってたら、そんなどころじゃなかったよ。ああー、やられたー!

ヨツワ村も無事に忍者衆の支配から抜け出すことができて、ここでのジンのミッションは見事完了ですね。でも今回一番の大手柄はスパナだった。いや、これ贔屓目もあるかもなあ! でもあんなに見事にしてやられたら目を奪われますって!

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