2020年9月22日火曜日

『まんがタイムきららMAX』2020年11月号

 『まんがタイムきららMAX』2020年11月号、昨日の続きです。

『旅する海とアトリエ』

日本に帰ってきた海。日本にきていたエマとマリアを招いて久しぶりの日本の日常を満喫しているのですが、その表情はどこか憂いを帯びていて……。というの、そうですか、写真の海を探していたこと、その根本に疑問を抱いてしまった。写真の場所が見つかれば退屈な人生が変わるかも知れない。なにも自分から変えようとしてもいないのにと、そんな思いを抱えてしまっていたというんですね。

そんな海に答えたエマとマリアの言葉にほっとさせられたのは、どこか海の悩みに共感するところがあったからかも知れません。自身抱えている虚無に、それを成長と呼んでもいいですか……? エマの答はどこか慰撫してくれる響きがあり、けれどこれはただ慰めとして受け取って、そこに安穏とすればよいというのではなく、続くマリアのいうように、自分から夢中になれることを探さなければ意味がない。

ええ、慰撫し、そして前向きになれる、そんな言葉。海にとっていい贈り物になったのだと思います。だからこそ、海が見つけるだろう夢中になれるなにか、それがどういうものになるのか、見届けたい、そんな思いにもなるのでしょうね。

『みわくの魔かぞく』

ミラの母の記憶。夢に見る母の姿、その声に、はたしてミラはなにを思うのだろう。

そう思っていたらですよ、ああ、これこそが母が愛娘に残したメッセージ、そのものだと判明するそのくだり。感傷的で、また感動的で、カセットテープから再生される母の姿、その声に、ミラはどんな思いを抱いたのだろう。はっきりとわかるようには描かれなかったけれど、それだけに広く、深く、幅も奥行もある、そんな受け取り方ができたように思うのです。

ミラとともにあって、涙を零したまい。そんなまいにお礼の言葉を口にしたミラ。しんみりとしながらも、カラリと明るさをもって日常に戻っていくそのふたりの様子を見れば、これまでどれほどにミラが母のことを思ってきたか、どれだけ考えてきたのか、それもわかるように思われて、ええ、今回描かれた一連のこと、思い出、祖母ミサとのやりとりも、最後のミラの感情の落ち着く先へと流れつくように思われたのですね。

そしてミサの感傷についても思わされて、孫娘が見る映像に、もう会うこともかなわないありし日の娘の姿を見て、その時見せた表情。ああ、これもまた切なさ感じさせて、娘のミラとはまた違う、そんな思いを抱くのだろう。私にはついぞ思いも届かない母の胸中、その深淵にしみじみ感じいるものありました。

『私を球場に連れてって!』

ホワイトキャッツにマジックナンバーが点灯。マジック11となって浮かれるレオナと猫子。口では、かつてマジック点灯後に逆転されたトラウマがみたいなこといってるのに、どうしても浮かれる、調子にのる。ほんと、今回はレオナのあかんところがてんこ盛り。ファル子にもアルバトロスファンの先生にも、これでもかと煽っていくのな。クラスの黒板にマジック11と書いてみて、ファル子と低レベルの争いしてみたり、小学生でもしませんよ、タマがそういってたしなめるんですけど、小学生の猫子も同じことして照といがみあってたり、ほんと、マジック点灯はこんなにも野球ファンの心を乱すものなのでしょうか。

猫子ですよ、猫子。8年前のキャッツの悲劇。それを回想するくだりで、当時1歳の私は憎みました…、この世の全てを…、って嘘だろお前! でも、こうやってしれっと記憶改竄しながらしゃべるの、実に熱狂的ファンらしいしぐさとも思われて、面白かったです。

面白かったといえば、油性ペンで顔にM11と書かれたファル子ですよ。レオナ、ひでえことするな! ってなもんですが、怒るファル子が方言丸出しで、これがまた可愛い。人の不幸を喜ぶのはよろしくないけど、可愛いのはしかたなかった。しかたなかったのです。

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