ポール・サイモンというのは、サイモン&ガーファンクルでギターを弾いている人です。非常にシンプルでけれど情感あふれるギター。彼の出現によって、アコースティックギターの世界は様変わりしたのだそうです。そのポール・サイモンがギター一本で弾き語りする。これは聴かねばならないと思ったアルバムでした。
いろんな記事をみてみると、このアルバムって幻の一枚だったみたいですね。私はそういう歴史的経緯にはまったく明るくないので、全然知らずに買ってしまいました。幸運だったと思います。
私はサイモン&ガーファンクルの曲をすべて知っているわけではありません。知っているのはごく一部の有名なところだけ、ですがこのアルバムにはそうした曲の原形ともいえる演奏が含まれていて、また違う魅力が感じられます。
ギター一本で歌うというスタイルがそう感じさせるのか、歌が音楽が、非常に身近と感じられます。皮膚感覚で伝わるといえばいいのか、まだ若いサイモンが、遣る方ないわだかまりや不安、焦燥感をあらわに歌い上げます。フォーク・ミュージックというのはどことなく洗練されてさわやかで、響きに美しさを追及するみたいな印象がありましたが大間違い。粗削りだったり、プロテストもあからさまだったり。当時台頭しはじめていたロックに負けない爆発力が確かにあります。
このアルバムがリリースされた当時のサイモンの焦燥感、やるせなさは、ライナーノートにも現れています。これを読んで、ポール・サイモンも悩める青年だったのだと、その鬱屈した思いが、数々の歌に結晶したのだと、少し彼の秘密がわかったような気がします。
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