2004年9月24日金曜日

プラチナ

 カードキャプターさくらのオープニングテーマだったので、その方面の方には有名な曲でありましょう。私はこの歌が大好きです。

無音から沸き上がってくるシンセサウンドの強さを引き継いで現れる女声の美しさが好きです。その背後に鳴るベースのポップな躍動感が好きです。Aメロディの終わりに唐突につながるBメロディの意外性と、二拍分前に移動したメロディの頭が本来の強迫とともに音楽を推進する、その軽やかな力動感が好きです。強拍を踏み切り上昇するCメロディの勢いと美しく滑るようなラインが好きです。終止直前の、小節の区切りを越えて打ち込まれるアクセントが好きです。そして圧倒的な透明感! それぞれ違う個性を持ったメロディが、コントラストを的確に表現しながらも、ひとつのものとして調和している、最近まれな一曲です。

作編曲は菅野よう子で、それを聞けばこの出来のよさにも納得します。菅野さんはCMや映画、アニメの音楽で活躍されていますが、そのセンスと音楽語彙の幅広さには圧倒されます。豊かな土壌から生まれてくる音楽は、それぞれのジャンルの特徴をよく表しながら、決してそのジャンルにとどまることのない魅力を持っています。

この『プラチナ』に関していえば、リズムのシンコペート(強拍部の移動)させかたが多様で、間奏なんかもそうなのですが、ための作り方とためによって生じた力を開放するそのやり方が本当にうまいのです。かというと聞かせどころでは1234の拍節感をきちんと踏んで、それまでとらえどころの少し曖昧だったところから、一気に乗れる状況を作るんですね。

言葉にすると小難しく感じますが、聞けば全然印象は違いますから。分かりにくさとか取っつきにくさとかはまったくなくて、むこうから飛び込んでくる感じ。坂本真綾のキャラクターもうまくマッチして、ちょっとした世界が作られています。

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