2023年12月6日水曜日

『まんがタウン』2024年1月号

 『まんがタウン』2024年1月号、昨日の続きです。

『もくもくもくのキャン』

キャンプ地に向かう木野。向かう途中で地元の商店に寄ってみたらば、そこのお母さんがえらいこと商売上手で、あれやらこれやら買わされるんですが、それが後に笑いに転化するの、最高でしたよ。

ええ、途中までずっと木野のひとりキャンプだと思ってた。そう思うように描かれていた。実際食事もひとりで堪能して、そして原田とのこれまでを思いながらゆったりして、さあゲームでもしようかと思った時に原田が到着、ふたりキャンプでしたと判明するこの流れ!

ああ、ひとりキャンプの気安さと、ふたりキャンプの楽しさと、そうしたものが最終回のこの一本にしっかりと描き込まれていた、そう思える充実。けどそれが重くなく、さらりと楽しく気持ちに触れてくる、そんな感触がまたすごくよかった。ええ、いい最終回になった、そう感じさせられました。

『ホントはダシたい山車さん』

ああ、もう本当にお話のしめくくりといった風でありますよ。

職場にて、恋人との甘いコンタクトに元気づけられる佐藤です。そんな佐藤は、産休にはいる二神の引き継ぎに追われていて、予想される激務に疲弊しながらも、山車さん、いやさ香織さんのお弁当で元気回復。そのお弁当には苦手だったはずの椎茸が入っていて、でも今の佐藤は普通においしくいただけるようになっている。

香織との出会いは、本当に佐藤に大きな影響を与えて、これまでも、そしてこれからも彼を変えていくんでしょうね。

そんな佐藤は今は山車家に住まいを移していて、親公認の同棲です。これ、もう結婚しちゃえば? の感覚ではありますが、ほんとそれでもまだ甘い恋人の時間が続いている。そんなふたりの関係の、きっとこれからもうまくいくだろうと思わせる様子。ええ、こうしたところ、いいしめくくりだったと思ったんです。

『まあみさんとレトロ遊び』

ああ、まあみさんが見つけた、母の残したカセットテープ。再生しても雑音しか聞こえないそれ、パソコンのプログラムだったのではないか? えーこにそういわれて、パソコン、パソコン……、ああ、ファミゲーのベーシック! と思いついたまあみ。そう、それだよ! 前回からずっとそれだよって思ってたんだよ!

いや、まさかここで違うとか思わへんやん? そっかあー、MEGA社にもそういうパソコンになる機器あったんですねえ。知りませんでした。

プログラムをロードしたら、そこに絵が描かれた。幼ない頃のまあみの記憶に残る母との会話。母の語った夢。それが今ここによみがえってきて、本当、えーこもいうようにいいお話でしたよ。

これまで描かれてきた、おもちゃのトイダを舞台としたにぎやかな日々。これこそは、まあみと母、そして父の家族が夢見たものだったのでしょうね。いい余韻を残す、いい最終回でした。

『恐竜とカッパのいる図書室』

卸町と薬師堂、ふたりで作ったお話を本にして、文学フリマに出してみたんだ! ふたり、頑張ってる! でも一冊も売れないのか。この悲しくもつらい洗礼。がっかりしている薬師堂に、反面そりゃそうだと達観している卸町。このふたりのスタンスの違い見えて、なかなかに面白かった。

卸町は、ちょっといろいろを減算して生きてるのかなって思えて、期待とか願望、希望とか、そういうの。そのせいでがっかりすることも少ないけれど、かわりどこか内向きで、そのへん薬師堂とは大違い。

その違いを薬師堂なりに分析して卸町に話すところがね、よかったなあと。多分自分は卸町のように生きているから、これまでずっといろいろ減算しながらね、それが薬師堂のいうようにちょっと先のことを確かめるのが怖いっていうの。

そうかも知れない。おおっぴらに、おおらかに、あしたのことを語ることのできる。そんな子ではなかったかも知れない卸町が、一緒にあしたについて話して考えて受け止めてくれる友達を得る物語だったのかもなって。そしてそれはおそらくは、薬師堂にとっても同様で、このちょっと方向性の、傾向の違う子たちの出会いと変化と、旅立ちの第一歩、そんな様子の描かれた物語だったのかもなあって思わされたのでした。

この漫画は好きだったけど、感想を言葉にするのが難しくて、あまり触れずにきました。でも、こうして最終回までたどりついて、ふたりのこれまでの紆余曲折もここにこうして落ち着いたのかなって、そんなところまでご一緒できたのはすごくよかったと思います。

自分にもいい友達ができた、そんな気持ちになれたように思います。

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