2020年6月30日火曜日

『まんがタイムきららキャラット』2020年8月号

 『まんがタイムきららキャラット』2020年8月号、一昨日の続きです。

『mono』

戸隠といえば忍者! って、そうなの? ともあれ、忍者屋敷に挑戦する面々。最初は子供向けだとかいって侮ってたのに、入ってみれば見事に翻弄されまくって、いやこれはこれで満喫してますよね。うおー、これ、楽しそーっ! 心の底から思わせてくれる描写の連続。これはすごいわ、ちょっと経験してみたい。

桜子がすごいですよね。見事にギミックに振り回されているさつきとアンを尻目に、まるで最初から仕掛けを知ってるんじゃないかって勢いで、次々出口を見つけていく。床の間を開く時のドヤ顔桐山、可愛かった。そして平衡感覚蝕まれながら遠くに見える出口に向かうさつき、アンの苦労が無駄になる、出口ここにあったよー。めちゃくちゃ面白い。ここに、完全に遭難してしまってる大人組が加わるのが面白くて、見事ですよ。最高です。

今回、自分の未来をどう描こう、そんな話になるのも悪くなかった。受験、進路、やりたいこと。ハルはどうだったかとかね、いろいろ先達の話も聞いておきたい。そんな中、自由に人生満喫している華子の姿が眩しく映る。ええ、なんかいい先輩たちなんじゃないですか? なんて思ったんですね。

『恋する小惑星』

里帰り、でいいのかな? 父母のもとに向かったあおがメインの今回。行き先は秋田県。あおの父が久しぶりに会う娘のために旅のしおりを作ってくれてるっていうの、ほんとどれだけ楽しみだったのか! けど、あお、ちゃんといきたいところがあるっていうんですね。

日本ロケット発祥記念之碑! へー、ペンシルロケットってここで打ち上げられたんだ。23cmからはじまった日本のロケット開発の歴史は、今や数十メートルサイズにまでなって! 熱心に語るあおを見て、小さかったあおの成長を実感する父がいい。続いて鉱業の博物館。天文班のあおも、すっかり地質に興味を持つまでになってるんです。そしてここで得られた情報にもとづいて、大学の観望会にも参加。天文台にテンションあがるあおがいい。個人への貸し出しはしていないかと聞くところ、小惑星発見の夢、それが常にこの子の心のうちにあること感じさせてくれて、大学からの回答の、本学の学生になれば使える機会もあるかもしれない。ええ、これ、見事な殺し文句ですよね。ぐいぐい押し込んでいく大学側の反応が実にいい。地学に興味のある子、離してなるものか! みたいな勢い。大学もまた情熱持って動いているんですね。

そして、あお、ふたつのただいま。父母の住む家で、そしてみらと暮らす家で。そのちょっと温度? 色合いの違うただいまがまた素敵だったと思います。娘であるあおと、友人であるあおと、ちょっと違った顔があるんですね。

『あやしびと』

判明したアヤの正体。人間と思っていたけれど、もうすでにヒトではなく、死霊の妖人であったと知らされたアヤの胸中やいかに。元気づけようとするけれど大失敗するみぞれ。でもその駄洒落があながち外れておらず、アヤ死人=妖人。言ノ葉姓も手伝って、死したアヤの妖人としての生がはじまるにいたったのではないか。

サトリの推測を聞くアヤの表情が見る見る曇っていくのがいたましくて、さらにとどめを刺したこの言葉。妖人の世界で言ノ葉以外の人間と会ったことがない……。孤独と絶望に暮れたアヤ。けれど、このアヤの寂しさを癒すのがみぞれたち友人だというのですね。

あまりのショックに泣くこともできずにいるのか、感情をあらわさないアヤの変わりに泣くみぞれのくだりは、本当に感動的だったと思います。アヤは孤独じゃないって、言葉以上のもので伝えていた、そんな思いがしたのでした。そしてアヤの、これまでどこか感じさせていた壁もすっかり取り払われて、ええ、アヤの門出ですよね。妖人の世界で生きていく、アヤの決意をうかがえた、そんなエピソード。これまでの、どこか怯えながら暮らしていたのとは違う、新しい妖人のアヤとしての日々。それが描かれることがどこか嬉しくも思えてきます。

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