2021年1月1日金曜日

『まんがタイムきららキャラット』2021年2月号

 『まんがタイムきららキャラット』2021年2月号、先日の続きです。

『RPG不動産』

今回、ファーが病欠、ラキラが看病で、冒険ならぬ物件の清掃に繰り出すのはルフリア筆頭に琴音、アリスの3人となりました。あまりの面々! 不安に支配されたルフリアがすごいの。この表情、ちょっと好きです。ルフリアさんには申し訳ないですけど。

今回の話もとてもよかったと思います。今やほぼ無人島、手付かず、未開発の土地と知り、大型開発の話を持ってきた資産家が提示した条件に難色を示す琴音にアリス。いったいなにかというと、亜人、モンスターたちの排除だったというのですね。

こういうところに社会が見えるのだと思います。若い世代といっていいのでしょうか、琴音やアリス、そしてもちろんルフリアも、ルフリアも(大切なことなので二回いいました)、亜人やモンスターに対する排他的な考えに反発を覚える。対し老いた姿で描かれる資産家氏は、あからさまに亜人、モンスターへの忌避感情を表明し、ここにかつての対立の名残り? あるいは社会や情勢の変化に追いつくことのできない老齢ゆえの頑なさ、もしくは更新されることなく残ってしまっている偏見、そうしたものの影を感じたのですね。

商売や出世を重んじるルフリアが、あまりの好条件を前にしても、はねつけざるをえなかった案件。ここに、RPG不動産の皆の共有している価値観、ひいては彼らの暮らす社会における今の価値観というものが見えて、ああ、こうであれればよい、こう思える社会であってくれることが嬉しいと思えたエピソード。なにか頼もしくも思えたのでした。

『まちカドまぞく』

前回明らかになった桃の身にかつておこったこと。うわあ、なんという重い話じゃあ……。驚き、ビビりたおしたわけですが、まだ、まだあるのかい!?

シャミ子が目覚めなかったんです。ええっ、なにかトラブル!? それともスイカに魅入られた、あれのせいか!? もうハラハラしたんですが、いや違う、違いました。

ここからメタトロンの語る、桃も知らない桃自身のこと。隠されていた桃の生い立ち。そこに関わっていたのが大まぞくであるヨシュア、すなわちシャミ子の父。これでなおわかってきたものもあったように思います。桃がシャミ子に寄せる思いのその大本に根差すもの、それもうかがえたように思われて、しかしそれらを受けてシャミ子の気持ちががっちりかたまるところ。これまで状況に流されるようにしてここまできた感もある子だったけど、もうこれからのシャミ子は違うのだろうな。そんな予感をさせる、まさしくターニングポイントとなるエピソードであったと思います。

そしてメタトロン。メタ子よ。お前、猫としてのお前はもうそんなに長くないのかい? ああ、これは悲しいな。ええ、それだけにシャミ子に託したその思い、ずしりときました。

『恋する小惑星』

文化祭当日になりましたよ。準備でみんな燃え尽きた? ぐったりしてるところに元気いれまくってくれる鈴矢姉妹が頼もしい! そしてはじまる今年のジオカフェ。今年こそはトップを勝ち取ると意気込むすずのスイーツの数々。それぞれに趣向があったりね、でもなんかハズしてるのもあるっぽいのが面白い。お天気急変ドリンクとかね、ナナは思いっきり自信持ってるのに、そうかあ、どんよりは嫌かあ! このうきうきしてるナナと新聞部の落差、面白かったよなあ。そしてリュウグウとベンヌ。リュウグウはタイムリーでしたよね! といいたいところだけど、文化祭の時点だとまだはやぶさ2は帰還してないから、我々はちょっと時間を先取りですね。帰還した時、その成功にみらとあお、どんな反応見せるかなあ、ってこれはちょっと気持ちが先走りすぎましたね。

さて、地図コーナーですよ。それぞれ興味の方向の違った地図の解説、これが本当に面白い。チカは星図からホロスコープ、占いにまで話題を広げて、でもってそこに投入される占いマシン。主に奥様方に人気です! そしてナナのハザードマップ。これも年配層の興味をぐいぐいひいて、ああ、多様な世代に訴える! そうしたところが本当にいいよなあ。そう思っていたら、地味だって自分でもいってたイノ先輩の地図がですよ、その昔を体験として知っている世代にすごく響いているんですね。このイノ先輩がむくわれたところ、もう涙が出るほどの嬉しさでありました。

そしてあおの両親が、続いてモンロー先輩、桜先輩もやってきてというの、ええ、賑やかになってきましたね。この盛況。天文と地質に別れていたふたつの興味がひとつになって、その先に花咲いたんだよなって、そうしたもともとのはじまりにあった人たちの来訪。嬉しいものがありました。

『紡ぐ乙女と大正の月』

今回、七緒さんのお話だ! 14連勤に音をあげる紡をいたわってくれたのか、七緒が紡をデパートへの買い出しに付き添わせるのですね。電車に揺られてそしてついた百貨店は、紡の知るそれよりも豪華絢爛で、見るもの見るものに歓喜の声をあげるほど。って、このパッケージ云々ってところはちょっと歓喜の方向性が違いますけどね!

この冒頭では田舎者と思われた紡がですよ、後々には105円のかんざし見て安いって! それでとんでもないお金持ちのお嬢かと勘違いされるっていうの、これシンプルだけどめりはりついて面白かったですよ。

さて、大正時代の百貨店事情? タピオカがもうすでに売られてるとかね、面白く読んだのですが、ここに加えて七緒の語る唯月の母、早月のこと。もともと早月様付きの女中だったとか、そしてその思い出話に感じさせる懐かしみ? ああ、早月に似ているという唯月のこと、七緒が彼女に注ぐ目、ただ世話係の女中というだけではないものありそうに感じるそのわけがわかったようにも思ったのでした。

そうした七緒の注ぐ情、それは紡にも向けられているのかも知れませんね。この時代における紡の母? そんな感じなのかも。いや、七緒さんが紡の母といえるような年かどうかはわからんのですけど!

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