2018年4月15日日曜日

決断

 いい時代になったと思います。HuluやNetflix、dアニメストアといった、定額見放題サービスがいくつも乱立するようになって、ちょっと興味がある、試しに見てみたかった、そういった動画を視聴する機会が格段に増えました。私はレンタルビデオを利用したことがないので、その変化のインパクトは絶大で、家にいながらにして、なんか面白そうなのないかなーって探して見始めるというの、テレビというものの常識がひっくりかえるほどに強烈な体験でした。さて、私がHuluの利用を開始した理由です。ずっと以前から気になってたアニメがありまして、機会があれば一度見てみたいものだ。けれど放送に乗ること、ちょっとないだろうなあ。そう思ってたのが、なんとHuluに入っていた! うおお、これはちょっと1ヶ月のお試し期間利用して見てみようじゃないか。ええ、それが今日とりあげるアニメンタリー『決断』です。

『決断』についてはネットで知ったのです。太平洋戦争についてドキュメンタリータッチで描いたアニメーション。オープニング冒頭のナレーションが奮っていて、引用するとこんな具合。

人生で最も貴重な瞬間、それは決断の時である。

太平洋戦争はわれわれに平和の尊さを教えたが、また生きるための教訓を数多くのこしている。

第1話「真珠湾奇襲」を皮切りに、主要な海戦、陸戦を取り上げ、最後にはポツダム宣言の受諾、敗戦までにいたります。エピソードは、日本が華々しい戦果をあげるものがあらば、逆に手痛くやられてしまうものまでわりと多様にあって、けれど事前に予想していたよりも、勇ましく武功を讃えるものが多かったという印象でしょうか。

これ、1971年のアニメです。生まれる前か! さすがに映像としては古くて、最近のアニメを見慣れた人には魅力的とは映らないかも知れません。ですが、昔のアニメ基準で見ると、かなりの力作であることが見てとれて、これ、もしかしたらスタッフに実際の兵器、艦船、航空機など、見て知ってる人もまだいた時代ならではなのではないか。その偉容、用いられる様、また人物の感情などもろもろ、一種生々しさ感じるところなどある、そんな雰囲気が今となっては新鮮で、そらもう、戦後まだ30年たってませんからね。戦地を経験した人もたくさんいるし、そこそこ若い人でも戦時下の空気を知っている。子供でも、大人から当時のことを聞かされたり、あるいは戦記もの、物語として触れていたりもあったでしょう。

そうした状況あって『決断』のタッチも成立したのではないか。そんな風にも感じられて、また逆にそうした状況であるからこそ、ある種武勇伝に近いものにもなりうるかも知れないな、などと思ったりするところもあって、こういった雰囲気もろもろ含めて、昭和という時代の空気なのかも知れないなんて、そんな思いで見ていました。ある意味、戦争の頃がまだ肌に感ぜられる、そうした社会だったのでしょう。もうこりごりと身に沁みていたり、そうした反面、戦地で活躍する兵士たちへの憧れを禁じえなかったりと、アンビバレントな感情が沸々とわきたっているように感じられたアニメでした。粗野にして率直な感情に後押しされて語られる物語であり、それゆえの生々しさがあった。そんな風にもいえるかも知れません。

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