2016年4月4日月曜日

アクティヴレイド -機動強襲室第八係-

 放送中にも散々っぱらいってたんですけど、これ面白い。子供の頃に見てたアニメが、クオリティあげて帰ってきた! そんな感触がビリビリしていまして、そうですよ、パワードスーツものといったらいいんですか? 古くは『ウラシマン』、世代直撃的には『ボーグマン』とか『メタルジャック』とか、そのへんのアニメをね、わくわくしながら見てた子供時分の感覚がですね、えらいこと掘り起こされるみたいな感触、もりもりありまして、ほんと、『アクティヴレイド』、素晴しいわ。全52話とかにならんものか。52話くらいやって欲しい! ああ、53話くらい見たいなあ! なんていっていたものでした。ええ、ほんと、このアニメ、はじまるまではそんなに意識していなかった。ところがはじまってみたら、もう直撃。ああ、これはとてもいいものですよ。

『アクティヴレイド』、なにがいいのか。ちょっと小分けしながら説明したいと思います。だいたいみっつに分けてみましょう。まずはアニメについて。でもってキャラクターについて。そしてBD/DVDの売り方について。気持ちはBD/DVDについてがメインですが、きっと書いてる途中で配分がおかしくなって、BD/DVDに辿り着いたころにはおかしくなっていると思うので、あまり期待しないでいただきたい。

では、まずアニメについて。

このアニメ、ある程度昔からアニメ見てる人だと、ああ、これは『ボーグマン』、『メタルジャック』的なパワードスーツヒーローで『パトレイバー』をやりたかったのかな、みたいな感想持った人も多いんじゃないかと思うんですよ。いったいなにが、そうした感想を引き出させるのか。それはパワードスーツを着込み前線で戦うヒーロー、彼らの活躍が主となるのではなく、彼らをバックアップする裏方、指揮車輌に乗り込み状況を検討、前線に指示を出しつつ周辺の関係者との調整をし続ける面々の奮戦が濃厚に描写されるところにあると思うんですね。

このアニメのキャッチフレーズが気にいっています。「知恵と勇気と、正義は……ないけど、法律は守る!」。そうなんですね、彼らはあくまでも警察で、正義の味方じゃない。仕事として事態の収集に取り組んでいる彼らにとっての行動の規範はというと法律であり、実際劇中にもそうした描写がきっちりきっちり描かれています。街で暴れるパワードスーツ、このアニメではウィルウェアと呼ばれています、がいても、一方的に攻撃したりはしない。まずはウィルウェアの停止を呼び掛け、制止に応じなければステージがあがる。有形力の行使がなされたら、またステージがあがる。そうした際に、何法何条にもとづき執行する、といった風に根拠が示されるなどなど、こういった描写が警察ものとしてのらしさを感じさせるとともに、状況の推移を視聴者に伝えて実に効果的だったんですね。

『パトレイバー』らしさ感じさせたのは、室長のキャラクター、勢いこんで熱量高く指示を出す、というタイプではなく、むしろ一歩ひいて冷静に状況見つめている、そんな人。正義に燃える部下があれば、私たちは正義じゃないといなす。そうした彼女のキャラクター見て、特車二課の後藤隊長を思い出したりしたんですね。また「知恵と勇気」これも『パトレイバー』っぽくって、ほんと、実際に見ていけばテイストはずいぶん違うとわかるんですけどね、仕事の裏方、その背後の関係性などを描こうとすると、とりわけそれが警察ものだったりすると、『パトレイバー』っぽさ感じさせてしまったりするのかも知れませんね。

Blu-ray買いましたら、解説とかついてきます。監督と脚本家のインタビューだったかな? それ見ましたらね、このアニメの設定のできてくる経緯など語られていて、それ読めば、なるほど最初からパワードスーツヒーローやろうってわけじゃないんだってわかった。前衛をバックアップする裏側が描かれた理由も、前衛ばかりにスポットライトのあたるヒーローものにしたくなかった、チームを描きたかった、そうした意図がわかる。さらにいえば、このアニメの舞台となる近未来の東京、それがえらいことになってて、東側が泥濘地帯になってるとかね、そうした理由もわかって、というか、めちゃくちゃ実際的な理由で、笑っちゃいました。

結果的にそうなってしまった。結果的に似た雰囲気がでてしまった。そういうことなんだろうな、今はそんな風に受け取っています。

さて、キャラクターですよ。登場人物、すごくいいですよね。ものすごく魅力的。とりあえずは協会さんですかね。チームの中にパワードスーツを整備するスタッフがいるわけですが、この人、協会さんと呼ばれていて、名前がわからない! 食えない人なんですけど、警察の人じゃないんですね。これがね、なんかね、すごくらしいと思った。いえね、実際、仕事の現場って、そこのスタッフでなく、専門の技術者となればなるほど、どこかから派遣されてきてたりして、シス管さんとか派遣されてきてる会社名とかで呼ばれてたりね、するじゃないですか。うわー、これ、なんか、すげー、らしい! そう思わされて、ええ、協会さん、これ、結構な一撃でした。

正義感いっぱいで鼻息の荒いエリート女子、花咲里あさみもすごくよかった。この子、ずっとなんか勘違いしてるのね。ものすごいエリート風吹かせてね、けどみんなからずっといなされてね、でもって失敗しちゃったりとかもさ、なんからしいの。ほんと、すごく魅力的で、最初はウザい新人だったのかも知れない彼女がね、ちょっとずつ変わってくるっていう、そういうところもよかったじゃないですか。趣味優先の星宮はるかもすごくいい。バスのLED表示ってなによ! これ、一度最後まで見て、ひととおり人となりわかってから1話に戻ったら、もうね、最初からこの人フルスロットルよね、趣味に。ぶっとびました。めちゃくちゃ面白い。

ボスがいいんです。室長。山吹凛。小柄で可愛い女性なんですけど、なんかふわふわした雰囲気出してたかと思えば、決断すべき時にはばっちりしっかり決断する、その決然とした物言い、かっこよくってね、いいからやれ! 許可する! めっちゃしびれましたよ! そんな彼女、事件が終われば、損害を出した関係各所にお詫び行脚したりね、そうしたさなかに、旧知の政治家秘書からいろんな情報貰ってたりね、ほんと、ただ前線で戦うばかりが見どころじゃないよって感じさせてくれる。ダイハチというチームの機能、その性質を体現していたのはこの人かもなあ、なんて思っています。この人の、とりわけ序盤に目立つんですが、取り扱い注意の装備、その使用許可を求められた時とかにね、許可、って二つ返事で受けて、あさみから、はや! とか驚かれるんですけど、これ、いい加減なんじゃなくって、この人が状況をよく見て、部下の判断を尊重して、そしてなにかあった時には私が責任をとるという覚悟をしっかりしてるってね、あの重み感じさせない軽い受け答えに、そうした人となりがちゃんと最後にはわかるようになってる。うまいわ。

ほんと、12話ひととおり見通して戻ってくると、見え方が全然違って、気づかなかったことに気づく、わからなかったことがわかる、ストーリーの仕掛けがそうなら、キャラクターの人となり、それも同様で、ええ、ほんと、うまく機能している仕込みの数々、見事でした。

主人公についても触れねばなるまい。黒騎猛ですよ。この人、めちゃくちゃセクシー! 第1話冒頭、列車内であさみと黒騎が出会う場面、この人、ハイデッガーとか読んでて、ワイルドキャラと思わせてインテリ! 眼鏡がすごく似合って、うおー、たまらぬ! あの、眼鏡はずすカットとかね、ぞくぞくさせられるよね。もう、めちゃくちゃ色っぽいの。たまらぬ! 最高だと思う。

ライナーノートにキャストのインタビューもあったんですけど、瀬名颯一郎のこと、演じてみたらイメージが変わった。きっちりしてるというよりも、むしろみみっちい、みたいなね、いやもう、あれはおかしかった。ほんと、やたら真面目な面白人物になっちゃってますよね。あと、中盤の主役は船坂さんだと思ってる。

などなど、語りたいところがあるけれど、書けば書くほど破綻するから、このへんで切り上げます。

BD/DVDについて、これからはこういうスタイルが主流になっていくのかな? だったらいいな、そう思っています。どういうことかといいますと、まず、各巻4話収録の全3巻というところ。1クールアニメというと2話収録全6巻というのが定番であるわけですが、これ、最初のうちはそんなに問題にならないんですけど、いろいろ買っていくとわかるんですよ。BDのケース6本分、これ、大きさが馬鹿にならないんですよね。 せっかくのBDの大容量、2時間とか余裕で入るというのに、1時間しか収録しないのはおかしい、もったいない、もう場所が限界だから各巻4話収録にして欲しい。そうした声はこれまでにもちらほら聞いてきて、最近はそういう売り方も増えてきたみたいですけれど、今後このスタイルが主流になればいい、本気でそう思っています。

そしてもう一点。これ、BD/DVDはディレクターズカット版です。見てみれば、ちょっといろいろシーンが増えている。第1話が顕著でしたかね。CMとか入ってないから普通なら20分ちょっといったところですが、30分弱ありました。これ、放送の枠に収めるために切った詰めた部分を収録したのかも知れませんね。ライナーノートを見れば、放送時は各話各話で楽しめる、そうした見せ方を意識していて、BD/DVDでは全話を通して展開するストーリーに関わるシーンを増やしています、そうしたことが書かれていました。

最近ではアニメを見る環境が、放送やパッケージ以外にも増えて、私も利用するようになりましたが、ビデオ・オン・デマンド、これが主流になりそうな勢いですよね。月額いくら、決められた額を支払えば映画もアニメも見放題。これ、実際に使ってみて、ラインナップが充実したら、放送も録画もパッケージもいらなくなるなって思いましたもの。けれど、販売側はパッケージを売りたい。だからVODでは放送版を流して、パッケージではおまけ要素をつける、みたいな売り方するのでしょうけど、その追加要素がディレクターズカットみたいなものになると嬉しいなって思ったのでした。

このあいだ買った『放課後のプレアデス』、これも、放送時だとEDがカットされて、本編映像にキャスト、スタッフの文字を重ねていたところが、パッケージ版だと、時間の制約が緩くなりますからね、ちゃんとEDつけてくれていて、これよいなあって思ったものでした。

『アクティヴレイド』でも、そんな具合に本編のシーンを増やしてくれて、また同時に放送版も収録してくれているという大サービス。ええ、こういうの主流になったらいいなって本当に思いますよ。

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