2020年4月15日水曜日

Plague Inc.

世界が感染症で大変なこの時世に、感染症を使い人類根絶を目指すゲームを取り上げるというのも悪趣味なものですが、簡単にでも感染症というものを知るにはいいのではないか、そんな評価もあるゲームです。私がこのゲームに手を出すと決めたのは、リリース元であるNdemic Creationsが感染症対策に多額の寄付をしたというニュースを知って。感染症のゲームが感染症との戦いに助力するというのなら、ちょっと購入して応援しようじゃないか、そんな気持ちから購入を決めたのでした。

実際遊んでみていろいろ思うところがありました。

最初はどうしたら人類を根絶できるかわからず、いろいろ試して、無駄なことも沢山して、それでなおクリアできないという有り様だったのですが、何度か試していくうちにやり方もわかってなんとかクリアできるようになりました。まずはバクテリア、続いてウイルス。そして問題となったのが真菌。こいつがですね、めったやたらと難しい。感染が広がりにくい、どうしてももたもたしてしまって、せっかく感染の拡大に成功しても、強化に必要なポイントが足りなくなってしまって致死率を上げられず、終盤での逆転を許してしまう。

駄目だこりゃ。そう思って嘆いていたら、親切な人が攻略のヒントを教えてくれました。ひとつ、エジプトから始めよ。エジプトはユーラシアとアフリカの二大陸を繋ぐ要所で、空港と港湾があるから感染拡大させやすい。そして伝染手段は空気感染、水からの感染を伸ばしエアロゾル感染を獲得せよ。感染手段はこれだけでまずはオッケーなんだそうです。

このアドバイスに従い、何度かアタックを繰り返すことで真菌をクリア。その勢いでノーマルを全部クリアして、今はハードに取り組んでいるところです。基本病原体は生物兵器を残すだけとなっています。

このゲーム、よくできていると評判ではありますが、それでもやはりゲームであって、現実よりも簡素にデフォルメされており、実際の感染症のふるまいがそのまま再現されているとまではいえません。自然治癒からの免疫獲得がされないとか、病原体を変異させたら世界にばらまかれたすべてが一斉にその能力を獲得するとかね。グリセリンの都市伝説かよ! みたいなつっこみ入れたくなりますが、こういうゲームならではのギミック、抽象化がされてるからこそ遊べるものになっているともいえますよね。逆にいえば、これだけプレイヤー有利になってるからこそ、伝染病で人類根絶も可能になるといった感想を持っています。

ええ、そうなんですよ。これだけ病原体有利な設定になってるからこそ、感染の爆発から致死性持たせて一気に根絶も可能になる。現実では、たとえ変異し、特効薬の発見もおぼつかない、そんな厄介な性質を持った病原体が出現したとしても、一気に世界を滅ぼすまでの飛躍は起こり得ないだろう。たとえ一時的に感染の拡大を許し、大きな混乱がひきおこされたとしても、きっと収束させられる。そうした、ある種の楽観を得られたように思います。

そして反面、悲観なのですが、このゲーム、病原体に人心を不安定にさせる症状を付与することができるのですが、そっち方面に進化させると、暴動が発生したり、ついには感染者が処刑! されるに至ったりと、尋常じゃない末法の世が出現してしまうっていうんです。感染者の処刑がはじまると、感染が広がる前に感染者が減ってしまいクリアから遠くなってしまうのでとりわけ中盤では避けたいこの局面、さすがにゲーム的なデフォルメだよねー、みたいに思っていたのが数週間前。でも今は、これ、ありえる展開だな……。飛び込んでくる世界のニュース、日本においても噂、体験談のレベルですが、いろいろ見聞きするにつれ、感染者への攻撃という過激な行動もあながち飛躍した非現実的展開ではないんだな。人類の理性に対する信頼が揺らいで、ちょっとしんどくもなりますね。

このゲーム。私達をとりまく今の状況かんがみましても、ちょっと広くおすすめしていいものではないだろうとも思っています。ですが、ある程度状況を冷静にとらえられている人、精神的な余裕を充分に残している人なら遊んでみてもいいかも知れません。

けれど、もう毎日がしんどくてたまらないとか、不安に押し潰されそうとか、そういう人は絶対に触れちゃいけない。そんなゲームかもですね。それこそ数年前なら、ちょっと悪趣味、ぐらいですまされたろうけれど、なんとも難しい状況に陥ってしまって、遊んでいること公言するのも、ましてや人にすすめるのも、なにかひっかかり覚えるようになってしまって、だからこそ世界の状況、はやく正常化して、このゲームについても、ちょっと悪趣味、ちょっと悪ふざけがすぎるよね、それくらいの評価に戻ってほしいものだと願っています。

0 件のコメント: