2017年1月27日金曜日

『まんがタイムオリジナル』2017年3月号

『まんがタイムオリジナル』2017年3月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』、山下さんがバレンタインデーのチョコレートを手にしていますよ。って、これ、自分用か! 小さな箱にトリュフがよっつ。いや、もうふたつ食べて、みっつ目いこうとしていますね。チョコレートカラーのワンピースも素敵ですよね。きれいなお姉さんです。『らいか・デイズ』らいかもチョコレート、グラスにポッキーいれて、一本おすまし顔で食べてるところ。『カントリー少女は都会をめざす!?』も、チョコレートを自分たちで食べてるところですよ。ええ、バレンタインデーはチョコレートのお祭り、誰にあげるとか、そういうイベントじゃなくなったって感じがしますね。

『きっと愛され女子になる!』、瀬戸口みづきの新作です。舞台は静岡、商店街にて惣菜の店を切り盛りする佐東さゆりが主人公。腕は確か、料理も好評で、けれど愛嬌がない。笑顔がない、花がない。笑うとピキパキ音がする。彼氏なんて当然いない。この人、ちょっとりん子さんに似とるな、そう思ったんだけど、彼氏がいないこと気にしたりするところとかはさすがに違いますね。りん子さん、達観しとるもんなあ。愛嬌のない女、さゆりのもとに飛び込んできたのが、愛嬌ばっちりの塩原志摩。キャバクラで働くこの子は料理の腕がからっきしで、そのせいでお客さんをとられちゃったものだから、なんとか料理できるようになりたい。そんなふたりの攻防、やりとり、それはさすがに面白くて、なんというか『ローカル女子の遠吠え』よりも、もっと一般向けに丸めたといった印象、感触のある漫画。愛嬌を得て、料理の腕をあげて、愛される女になりたい。そんなふたりの今後、楽しみです。きっと普通の道は歩まない予感がします。

『スズちゃんでしょ!』は、インフルエンザが猛威を奮う状況。梨乃ちゃんの学校も学級閉鎖。それで昼間に梨乃ちゃんがやってくる。でも、これで夜寝られなくなるとか、これ使命感なの? 楽しみだったりするから? ほんと、スズちゃん、この極端さ。姪っこがそんだけ好きなんだろうなあ。梨乃からしたらスズちゃんはお金持ち。でも大人となるとそれくらいはたいてい蓄えてるもので、というか、それでも少ないくらい……。うん、なんかわかるわ、スズちゃん。すごくよくわかる。しかし今回はちょっとした事件でした。食後、梨乃を風呂に入れている間、うとうとしてしまってたスズ。そうしたら、まさかの火事! ああ、子供って怖いよね。経験が少ないからね。誤ったことでも普通にやってしまう。その失敗を冷静に処理して、さすが大人だわスズちゃん、そう思ったんだけど、後から、危なかった危なかった危なかった、あの表情! ほんとね、わかるわ。これ、ほんと、後からくるよね。肝を冷やすエピソードでした。

『北斎のむすめ。』、恋の情のと、そうした機微のわからんお栄です。絵の出来がイマイチ。絵の女に、恋するトキメキが感じられない。夕飯を考えてる時の表情と同じだって講評に、まさかウキウキ晩飯気分の絵を描いてみせるとか! お栄さん、いいわあ。ほんと、恋より飯のほうが一大事。どうでもいいけど、お辰が可愛い。そして父ちゃんハートブレイク。恋文の真実、このくだり、すごいよ。めちゃくちゃ切れがいい。最高でした。そして吉原。揚巻、よいわあ。ともあれ、この吉原の面々、彼女らと男装栄のやりとり楽しい面白い、ほんと大好きで、しかし栄と高尾の髪の送りあい、色気もなにもあったもんじゃねえな。そして最後の高尾の言葉。この人にもなにかありそうな感じがしますね。ええ、遊廓ですから、訳有りなんて普通でしょう。高尾の訳、そいつはいったいなんなのか。

『ぎんぶら』、おかしすぎる! 温泉の星、ホッコリ。それはいいんだけど、気を抜くと死ぬ。湯に長時間つかると溶ける。いわく、人食い温泉。って、あかんやん! これ、強アルカリとかそういうのん? と思ったら、いやいやもっと酷いよ、人食いバクテリアが湯に住んでるのか! あかん、あかんよ! でもめっちゃ気持ちいいらしい。この湯に対する評価がそれを物語っている。ほら、あの雑誌でもこの雑誌でも、っていうけど、お、おじいちゃーん! そうか、おじいちゃん、食われてしもうたか……。ほんと、酷い。でも、めちゃくちゃ面白かったです。この後に語られる温泉の効用も、ほんと、ふつうのレベルで語れない奇跡のようなしあがりで、よくよくこうポンポンと面白いものが叩き込まれて、ねえ、すっかり魅了されました。切れのいい打撃に、ぼんぼんやられまくりましたよ。

  • 『まんがタイムオリジナル』第36巻第3号(2017年3月号)

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