2009年9月22日火曜日

「けいおん!」第3巻

 アニメ『けいおん!』のBlu-ray Disc第3巻、受け取っています。第3巻はアニメ第5話「顧問!」と第6話「学園祭!」が収録されて、ある意味ここからが「けいおん!」の本領発揮なのではないかという、重要な巻であります。それまでの、ゆるやか部活ものといった雰囲気は、さわ子先生の化けの皮がはがれるとともに一変し、いや、そんなにものすごく変わったわけじゃないけどさ、コスプレのような飛び道具はさわ子先生の持ち込んだ文化っていうのは間違いなさそうで、だからもし顧問がさわ子先生でなかったら、澪のパンツのトラウマも梓の猫耳もきっとなかったことでしょう。いや、制服はスカートだから、澪は回避不可か。そして、「学園祭!」は『けいおん!』前半の最大の山場であります。

「学園祭!」は『けいおん!』前半の最大の山場。アバンタイトル、緞帳があがり、さあ演奏するぞ、っていうその演出は、のっけからテンションを高めてくれて、さあいよいよだ、もう本当にわくわくさせるものがあります。しかし本編前半では主に文化祭の風景描いて、それは部活とは関係のないクラスでの出展であったりして、じらしてじらして、ただでさえ期待度が高いところに、じりじりと気持ちを高めてくれるといったところは憎くて、それでやっとこさ演奏だって思ったらPVになっちゃって、あそこでずっこけた人は多かったんじゃないでしょうか。実は私もそうでした。この演出意図、いったいどうしたものだろうって疑問に思ったりしたこともありましたが、全編見れば、あそこではあれでよかったのかも知れないって思うようになって、だからBlu-ray Discでの再視聴、心安らかに見ることができました。

さて、キャストコメンタリーとスタッフコメンタリー、今回も楽しかったです。キャストコメンタリー、「顧問!」ではさわ子先生に関するコメントが、「学園祭!」では自分の経験した学園祭語りが印象的で、しかしあの中高一貫校だったので学園祭は五年に一度だったというような話はまさしく衝撃的。そんなことってあるんだって、びっくりしました。こういった、学校ごとに違っていること。反対に学校が違っても通じるようなこと。パンの話とかね。どちらも聞いていて楽しいものがあって、特殊な事例と共感性の高い事例というのは、話を面白くするものなんだなということを再認識させられたようでした。でさ、皆から同意を得られるかと思って発言したポエムが、実はそうじゃなかったというの、あのくだりはおかしかったです。共感が得られると思ったのに、特殊事例だったっていうの。でも、ポエムとくくれなくとも、似たようなことはたいていの人はやってそうに思うのだけどな。どうなんでしょう。あ、私は短歌は詠んでたけど、ポエムは、ああ語学の課題で書いたや……。誰でも通過してきたものじゃないのですか。

スタッフコメンタリーは、第5話作画監督の植野千世子さん。第6話作画監督の池田和美さん、そして背景担当の田峰育子さん。普段しゃべることを仕事にしている人たちじゃないから、第5話の最初の方など、ちょっと遠慮がちだったりするのはしかたがない。けれど、だんだんにこなれてくる。第6話にはいるころには、もう気にならないくらいに自然になっていて、そして語られたことは、背景についての話題。このアニメの背景の、基本的な色調というかトーンというか、そういう話から始まって、夏だから窓が開いてるとか、最初の部員が入る前と、劇中で数ヶ月経過した今ではちょっと明るさが違うとか、そういった細かいところが語られるのは面白かったです。そして、学園祭の校内風景について。壁の張り紙や、天井にまで及ぶ飾りつけについて、そして土足可能とするためのシートなど、ただ見てるだけなら見落としそうなことにまで言及されて、そして作画の話なども同様に興味深かった。さわ子先生が音楽室に向けて駆けていく緊迫のシーン、眼鏡が透過光処理されてるとか、あとさわ子先生は基本的にストッキングはいてるとか、透過光処理は確かに光ってたけど意識してませんでした。ストッキングには気付いてたんだけどなあ。

衣装に関するコメントが多かったのはやっぱり女性スタッフだからでしょうか。スタッフ、キャストともに、コスプレについてのコメント、スクール水着が妙に人気だったり、それから舞台衣装の色合いとか。みなさん細かいところ見ていらっしゃるんですね。それから、さわ子先生の服がいつも似合っていていいとおっしゃってたのはどなたでしたっけ。人それぞれに気になるところがある。キャストにはキャストの視点があって、スタッフにはスタッフの視点があって、そうしたところがわかると、そうか、こういうところも意識したら面白いんだってわかる。あの、流背でしたっけ? 背景が流れる処理とか。その色にも気を配っていますというの。意識せずに見ているものがこんなにもあるのかって思う。けれど、おそらくそうした全部が雰囲気として静かに語りかけているのだと思う。それら、知らず感じていることが可視化される。そういう効果がコメンタリーにはあって、だから面白いのだと思うのですね。本当、最高でした。

コメンタリーで印象的だったのは、さわ子先生第三形態のですけど、あれ、ロックだったんですね。わかんないよ! そして、舞台で澪がこけるシーンの直前、あまりかわいそうなことにならないようにと考えて、描かれた観客が女性ばっかりだったりしますとか、こういうのいいですね。あと、ブレーカー落ちるところで語られたこととかも。いろいろ書きたいものはあるんだけど、全部書いたらきりがないから、コメンタリーについてのコメントはここらへんで切り上げます。

最後に、Blu-ray Discの画質について。学園祭の廊下、赤色で書かれた看板の文字が、テレビではちらちらして気になってたんだけど、やっぱりペタっときれいに表現されてますね。いい感じ。個々の映像が綺麗で素敵というのはいうまでもないことだけれども、中でもよかったのは律がMCについて実演してみせるところ。あの、制服がふわりふわりと膨らんで動くところ、めちゃくちゃ可愛いですね。って、これは画質関係ないか。あ、そうだ、「うらおん!」。澪のパンツづくしでした。あの、お絵描きは面白かった。憂とか、微妙にひどい。それと、プレゼントの話の短かさ、単純さ。あれもよかった。などなど。放送が終わって、さすがに以前のようなわくわく感はなくなっているのだけれど、それでもまだ楽しめる余地はいくらでもあるって感じです。そう、次巻には「クリスマス!」が! 来月が本当に楽しみですよ。

Blu-ray Disc

DVD

CD

原作

  • かきふらい『けいおん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • かきふらい『けいおん!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

0 件のコメント: