2008年3月23日日曜日

終末の過ごし方

  二日続けで『終末の過ごし方』取り上げます。いやね、昨日プレイしたDVD-PG版が呼び水になったとでも申しましょうか、寝しなに一から全キャラクリアをしてしまったんですね。といってもスキップ積極使用、既読は全部とばすというエコノミックプレイであります。それだとだいたい一時間ちょいくらいでCGコンプリートできるくらいのボリューム、ちょっと薄すぎる嫌いもないではありませんが、思い立ってまたプレイしたい、あるいはあの世界に触れたい、そんな時に再プレイのハードルが低いというのはありがたいことだと思うのですよ。プレイしたのはDVD版です。そう、馬鹿なことに、私はMSX除いたすべての版を持っているんですね。いや、ほんと馬鹿だわ。

再プレイしたのは、DVD-PG版ではオミットされている部分を確認したかったこともありますが、それ以上にストーリーを追いたい気持ちを抑えられなかったんですね。私にとってのベストである大村いろはルート。もちろん辿って、それから私には少々厳しいキャラである稲穂歌奈ルート辿って、そして宮森香織、バッドエンド、敷島緑と続いて、これで全部。

私にとって大村いろはルートが特別なのは、いろはさんの台詞、

「私が…君を守ってあげる。
この残酷な世界の全てから、君の事を守るの」

「わたしがこの世界でする——最期の約束」

のためであるといっても過言ではないんですが。いや、もちろんそれ以外にもいろいろいいところはたくさんあって、月の誕生説のくだりや、彼女のあまりにも儚げなるさまとその理由、そして投げ捨てられた鍵に彼女の覚悟が見えるような気がするところなど、とにもかくにも好きなんだ。いや、ほんと、まだまだ好きなところあるんだけど、きりがないからやめときます。

このゲームの気に入っているところは、ヒロインそれぞれが受け止めている終末、その思いようの違いがよく表されている、そこであると思うんです。私の苦手という歌奈にしても、終末を迎えるに際して彼女の思っていたこと、それを知れば切なさに胸がいっぱいになって、例えばいつか…… 綺麗って言われてみたいです……とか反則級だと思う。だって、そのいつかのないってことは、誰もが知ってるんだもの。ともあれ、皆が納得しているわけでない終末に、立ち向かうでもあらがうでも、もちろん受け入れるでもなく、ただただ日常を反復することで考えないようにしている、そのように見せている彼彼女らが、それでも内面にはいろいろ思うところを抱えているんですね。それがプレイヤーの選択次第で表に現れてきて、それが切ない、悲しい。あるべき未来が奪われているということの残酷さを思って、それがなにより悲しいんですね。

件のいろはさんの台詞、守ってあげるは香織がいうべきだったのではないか、というのは小池定路氏のおっしゃっているところなのですが、このあまりに際立って特別に感じられる台詞の存在が、私をしてもいろはさんを特別にしているというのは先ほどもいいました(それだけでないこともいいました)。おかげで正ヒロインである香織の影の薄いこと、薄いこと、と思っていたら実はそんなことなくってですね、やはり香織は正ヒロインの位置に置かれているんですね。というのは、香織ルートだけなんです。主人公知裕が自分の得たいと思うものに向かって、自ら行動を起こすというのが。他のヒロインのルートでは、むしろヒロインこそが能動的で、知裕はそれを受け身で迎え入れるだけというような、そんな構図であるんですが、香織ルートでだけ、知裕は自分の意思でもってヒロインに向かっていくんです。だからやっぱり香織は特別だったんだ。久しぶりの『終末』プレイで、改めて香織の正ヒロインとしての貫録を思ったわけですが、つまり過去香織ルートをそれほど読み込んでいなかったってことを白状しているわけですが、いろはさんそして緑ファンとしてはちょっと複雑だぞ。

このゲームは、終末という避けられない悲劇を迎えるにあたり、それぞれのキャラクターが自分の身をどのように処するか、もろもろの思いを決着させることができるか、そういう物語を読ませるものだと思っているのですが、他でもない知裕のもやもやは香織を選ぶことなしには解決に至らないんですね。過去の関係、そして悔い、それらが香織ルートでは寄り合わされて、知裕を走らせる。そうかあ、やっぱり香織こそが知裕の特別だったんだなあ。ちょっと悔しい。なにが悔しいんだかよくわからないけれど、けど知裕も悪いやつじゃないんですよね。これからは知裕のためにも香織ルートを読むことにしたいと思います。

以下、上にもましてかなり余談気味です。

以前、知人が乙女ゲームプレイしている時に、全キャラ攻略には本命に冷たくしなければいけない、ごめんよ、ごめんよ、と心の中で念じながらプレイしているという話をしていたんですが、実は私、他ヒロインとのエンディングを迎えた時の歌奈の絵、これが耐えられないんです。ひざを抱いて座る歌奈、髪形がいつもの結い上げたものでなくなっているところを見て、ああ、この娘は皆の前では無理して明るく振る舞っていたのかもなあ、そう思って、すまねえなあ、ごめんよ、ごめんよ、って唱えてしまって、けどこれは、そう思いながらも歌奈ルートをなかなか選ぼうとしない負い目があるからなのかも知れません。

さらに余談

緑はよいツンデレ。この時代にはツンデレなんて言葉はなかったし、妹ブームなんてのもまだきていなかったわけだけど、幼なじみの年下で、しかもツンデレ。記号化される前のツンデレ的ヒロインとしては実に白眉であると思います(というか、DVD-PG版プレイするまで、気付いてませんでした)。

この人の素直でないところと、それから目つきの鋭さ、好きなんです。だってかわいいじゃありませんか。

引用

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