2006年5月21日日曜日

クラウン仏和辞典

 こと辞書に関しては新しいほうがよいのです。時代が新しくなればともない新語も続々と増えて、昨今でいえばコンピュータ関連の用語なんかがまさしくそうで、辞書を引いてもわからないから、オンライン辞書を使って仏英翻訳し、さらにそれを英和訳して、単語の意味を調べるというようなこともしばしば。しかし、インターネットが出現して、本当に便利になったものだと思います。ってまとめてしまっちゃいけませんね。

外国語を、古典を読みたいがために習うのなら新しい辞書は特段必要ではないかも知れませんが、まさしく現在に書かれ、生み出されるテキストに対したいというなら、新しい辞書があるに越したことはありません。だから私も新しい辞書が出たと聞けば、適当な頃合いで版をあらためてきて、クラウン仏和に関しては、第3版にはじまり、第4版は予算の都合でパス、現在は第5版を使っています。ですが、つい昨年末に第6版が出ていたのですね。これは買ったほうがよいのかな、迷いますね。

辞書というのは不思議なもので、使っている間は別にそれほど不満も出なくて、いや違うか、不満は出るんです。だけども、なれた辞書であればそのなれているという感覚があるために他の辞書に移らせない。以前、『広辞苑』や『類語例解辞典』について書いたとき、最初に使った辞書がいわば原器となるというようなことをいっていましたが、だとすれば私にとっての仏和のスタンダードは『クラウン仏和辞典』ということになろうかと思われます。大学にはいって、第一外国語に仏語を選んで、そしてその時に手にしたのが『クラウン仏和』でありました。これ、きっと、『クラウン仏和』の編集に携わってらっしゃる天羽均先生がためでしょうね。うちの大学にですね、天羽先生が教えにいらっしゃってたんですよ。だから、私も先生に仏語を習っていました。その頃に使っていたのが第3版で、大学を卒業してもまだ第3版を使っていたのですが、卒業して数年して第5版が出るというのを聞いて、急いで買った。それからもメインの仏和として(つまり他にも仏和を持っています、二冊も!)『クラウン仏和』を使ってきて、やっぱり一番馴染んでいるのはこれかなあと思うことが多々あります。

いったいどこがいいというんでしょうね。残念ながら私にとっては『クラウン仏和』は、あくまでもスタンダードであって、普通であるから、どこがいいかとかはよくわからないのです。この辞書になくて違う辞書にはあるというものはすぐに思い浮かんでも、その逆というのは思い浮かばない。それはこの辞書が私にとっての基本形だから、この辞書にあるうちは他の辞書を使わない。だからわからない。そんな感じになってしまっています。

この辞書は学生時分から使ってきたから、巻末の活用表なんてのも結構覚えていて、頻出の不規則変化動詞の番号とか覚えてしまっていて、最近ではいちいち巻末付録に頼らなくてもなんとかなるようになりましたから忘れつつあるのですが、正直一時期などはこの辞書でないと不便だ、と思うことが多くて、だからやはり私にはこの辞書がスタンダードだという話であります。

初学者から中級者にかけて、まずは『クラウン仏和辞典』を手に取って大丈夫であるというように思います。それは私がたどってきた道で、とりわけ不都合を感じなかったのですから、きっとこの辞書で大丈夫なのだと、そんな風に思っています。

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