2004年11月16日火曜日

ボラーレ! — ベスト・オブ・ジプシー・キングス

 ジプシーキングスのベスト盤はいろいろあって、そこからひとつ選ぶのもなんか迷ってしまうものですが、だったら私はこの『ボラーレ!』をおすすめしたいのです。『ボラーレ!』というのは、ビールのコマーシャルで一斉風靡をしたカンツォーネですね。しかもこの曲の人気は日本だけに留まらないようで、US盤でもUK盤でも『ボラーレ』がベストアルバムのタイトルに上がっているのだから、その人気の程が知れます。

アメリカでは英語じゃない歌は売れないというのが相場だそうですが、ジプシーキングスばかりはそうした逆境をものともしないのだと聞いています。フラメンカなギターバンドの音楽は、ダンスミュージックとしても人気で、一時などはダンスシーンを席捲したとかいう話です。

このアルバムの魅力は、そのボリュームではないかと思います。二枚組、フィーバーとパッションと題されたそれぞれのディスクに、ジプシーキングスの魅力がぎゅうぎゅう詰め込まれているんですね。ジプシーキングス漬けの生活を送れそうな分量といったらいいすぎでしょうか。いいすぎですね。

このアルバムでのおすすめは、各ディスクのラストを飾る『マイウェイ』と『ホテル・カリフォルニア』でありましょう。すごいですよ。あまりに演奏されすぎるものだからどこか馴れてしまったこの二曲も、ジプシーキングスの手になれば強烈なアパッショナータでもって立ち上がってくるようです。両方スペイン語で、聞いて理解できないという恨みはありますが、けれど言語を超えた力を持っています。リズムの力、歌声の力、それらがあわさって強靱なうねりになっているんですね。

これら二曲の他で私が好きなのといえば、『ジョビ・ジョバ』(このPVがDVD化されることがあったら絶対買います)、『バンボレオ』、『ニコラスのルンバ』、『カミーノ』などいろいろありますが、けれどどこを切り取っても魅力があふれるのがジプシーキングスのよさであります。実際、これがいいと思う歌は次から次に思い浮かんできて、収拾がつかないほどですから。

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