2004年10月16日土曜日

ぼくの地球を守って

    私は原作主義者であることを公言し、なににしても原作が優れ、派生物(小説にせよ映画にせよアニメにせよ)は劣るのだという姿勢をがんと取っています。ですが何事にも例外はあります。それが今日ご紹介する『ぼくの地球を守って』。ビデオアニメとしてリリースされた『ぼくの地球を守って』は、原作序盤の浮つきを注意深く排除し、緊張感あふれるサスペンスとして展開します。むしろ冗長さが指摘される原作ですが、アニメは物語があふれる直前で踏みとどまりコンパクトにまとまりをつけることに成功しました。

私は『ぼくの地球を守って』は名前を知るだけで、読んだことがありませんでした。ですが、ある日テレビでシリーズが放送されるということを知って、つまりこのアニメから入ったのですね。ビデオに録って見て、なんという素晴らしい物語であるかと思いました。物語は序盤から波乱を含んで始まり、ですがはやる気持ちを抑えてむしろ静かでさえあります。その押さえられた波乱が解き放たれてからの展開の早さは、もう心をまるごとさらわれるかのようです。

アニメは物語の導入にあたる部分だけを語って閉じられます。冗長に過ぎアマチュア臭さが鼻につく原作の序盤をうまく捉えて、ですがアニメはそれ自身がひとつの作品として結晶しました。そしてこれより先は原作の爛熟が素晴らしい。序盤を過ぎ、自ら走り出し飛翔する物語『ぼくの地球を守って』は、緊張感にあふれるアニメを引き継ぐことにより、物語の全体を支えきるだけの推進力を生み出すことができる。こういっても言い過ぎではないと私は思っています。

私はおそらく原作を最初に読んでいたら、最初の数巻で投げたと思うのです。このアニメがあってはじめてこの漫画を知ることができたと、心から感謝したい気持ちでさえあります。

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