2019年7月9日火曜日

『まんがタイムきらら』2019年8月号

 『まんがタイムきらら』2019年8月号、発売されました。表紙は『スロウスタート』。水着の季節ですね。万年さんに肩車されている水着花名がどーんと画面中央に。その向こうには、ビーチボールかかげてるたまてが元気いっぱいで可愛らしい。右奥に、猫2匹をともなってサーフィンしている冠がいて、なんだそのドヤ顔! ほんと、この子、面白いポジション築いています。サーフボードに栄依子が描かれてるのがまたおかしいです。

スロウスタート』。扉、これなに? なんかジュブナイル向けミステリーっぽいイラストになってるんだけど、ああ、なるほど、本編読めば納得であります。その本編、志温の部屋の鍵がかからなくなってしまって、さあ大変。志温は、チェーンはかかるから大丈夫と落ち着いているんだけど、どんどん不安になっていく花名。あんまりに不安がるもんだから万年さんが番犬になるっていってくれて、一安心かと思ったら、万年さんもどえらい怖がってるじゃん! あのガタガタブルブル震えてる万年さん、その絵柄もあってだけど、なんか可愛い。ここで花名と万年さん、安心させる係が入れ替わるのがおかしくて、そして花名、武器を探してさすまたを入手! さすまたの使い方わかってない花名の奮闘、おかしいやら可愛いやらで、そしてさすまたを万年さんに、そして翌日、冠に試してみるあのくだり! ほんとおかしかった。あの絵面、さらに志温の驚きよう。もう、たまらん面白さでした。

『むすんで、つないで。』。仕掛け、舞台づくり、完了しましたね。なるほど、同い年の友達で、けれど年の差をつけたい、そういう不思議シチュエーションを作ったんだ。けれど第2話冒頭はそんな仕掛け云々はまだわからず、そのせいでちょっと陰鬱。だって、6年経ったんだよ? 高校生になったつむぎは花ノ子のこと、ずっと心の底に抱えたままでいる。冒頭から笑顔が見られない。色褪せた花ノ子の情報を求めるポスターも悲しくて、そして花ノ子の妹、白百合の存在。ああ、これ、つらいな。どこかしら似てることもまたつらい。つなぐもそうだけど、花ノ子のご家族、その思いたるやいかほどのものだろう。思うだにいたましく、それでもいやおうなく風化していく花ノ子の記憶、それはつなぐにとっても決して他人事ではなく、だんだんに花ノ子のことを忘れつつある自身に傷ついて、その心情、確かな筆致で描き出されるそれが、ぐっと胸に押し寄せてきて、もう泣いてしまっていた……、ところへ花ノ子登場でしょう! もう、びっくりした。そうか、そういう仕掛けか、そういうシチュエーション作りたかったのか、納得しながらも涙はとまらんわけで、ほんと、この止まらない悲壮感とひややかな納得感と、そしてつなぐ、花ノ子のやりとりのおかしさと、全部がないまぜになって、もうわからん、いやもう、おおいに期待しますよ。でも、ほんと、いろんな感情が多層積み重なって、この複雑さ。今後、どうなるのか、なにが引き起こされるのかさえ予想ができない。でも、まずは花ノ子を連れ帰って、親御さんを安心させてあげて欲しい。6年前の姿で現れた花ノ子だけど、今はDNA調査でもなんでもできるから、本人であること確定できるのはいい時代ですよね。

『星屑テレパス』。新連載になりました。で、ここでまたひとつ、大きな要素を放り込んできましたね。明るく元気で超人的な明内ユウ。実は宇宙人というこの子の正体? バックグラウンドいろいろを知りたい海果が、紆余曲折ありながらも訪れるにいたったユウの住んでいる基地。古びた灯台に住んでるんですか。この地下に巨大な宇宙船発着場があったりするのん!? みたいに思っていたら、ああ、ここにユウの今の立ち位置示されて、実は地球にくるまでの記憶がないというのですか。宇宙航海日誌の記述が頼り。最後のページには地球への航路変更と宇宙船の故障が記載され、けれどユウ自身にはその記憶がないというのです。なぜ地球へ向かおうとしたのか。なぜ高校生の姿で倒れていたのか。すべては謎の向こう。自分のことがわからないユウの表情ににじむ憂いの影。冗談めかして元気にふるまうユウだけど、そんな彼女の姿に、自分のことばかり考えてた海果の悔いと、そしてユウを助けたいという思いのわきあがるところ。そして、それを伝えるおでこぱしー。ユウのふと見せた弱気に、一気に高まった海果の感情が、ふたりをつなぎ、むすびつけたあの場面。ドラマチックでロマンチック。美しくもあり、切なさに胸のつまるようにも感じる、そんな素敵な展開見せてくれました。

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